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台風コロッケ?カレー?

 台風がいよいよ近づいてきた。

 今の所(午前四時現在)は小康状態で風も雨も穏やかなものである。

 しかしすでに暴風圏内にはかかりつつあり油断はできない。

 さて、台風と言えばコロッケである。

 由来は確か四半世紀くらい前に投稿サイトで台風だからコロッケを16個買ってきたという書き込みが起源だったと思う。

 その文章が拡散して今では台風コロッケという言葉があるくらいである。

 確かにコロッケならば停電していても温めなくても食べる事が出来るし、何となくホッとする気分にもなる気がする。

 私は揚げ物が苦手なので家でコロッケを作ったことがない。

 もっぱら惣菜で済ますか母が作ってくれたものをチンして食べるくらいである。
 
 ちなみに妻は台風コロッケの事を知らずに何それ?そんな習慣があるんだと興味深げだった。

 私が子どもの頃は台風が来るとその日の晩御飯は決まってカレーだった。

 学校が台風対策で給食を食べたら集団下校をして家に帰ると玄関からカレーのいい匂いがする。

 お帰りと母に言われて、今日はカレーだねと言うと台風が来ても作っておけば安心でしょと答えたものである。

 昭和の頃は台風が来ると結構な高確率で停電が起きた。

 昼下がりに猛烈な風が吹くとバチンと音がして家じゅうの家電や照明の電源が切れた。

 ご飯はガス釜で炊いていたので何とかなった。

 台風の日は父も仕事にならないのかいつもよりもうんと早く帰ってきた。

 そして台風がひどくなる前に晩御飯を食べようという事で五時ごろには食卓を囲んでみんなでカレーを食べた。

 窓を閉め切って雨戸も占めているので家の中は真っ暗で懐中電灯とロウソクのほのかな明かりを頼りにカレーをお代わりしたものである。

 その頃は家の水道は井戸水だったのでくみ上げるポンプが停電で動かないので断水してしまっていた。

 洗い物なんかは事前にお風呂に水を貯めていたのでそれで何とかしていたみたいである。

 父は食ったら寝ろというので子供部屋に布団を敷いて兄弟で眠ろうとした。

 しかし時間はまだ夕方の六時半とかでありとてもじゃないが眠ることなどできない。

 部屋もムシッと湿気が多くて寝苦しいことこの上なかった。

 それでも一生懸命眠ろうと努力してウトウトしてしばらくすると夜になっていた。

 外は暴風が吹き荒れて粗末な木造住宅だった我が家はグラングランと揺れた。

 懐中電灯の明かりを頼りにトイレに行って両親の寝室を覗くとろうそくの明かりを点けて父がラジオから流れる台風情報を真剣に聴いていた。

 ああ、やっぱり普段とは違うんだなと緊張感をもってモソモソと自分の布団に潜り込んだ。

 外はゴンゴン、ガンガンと物が飛ばされる音がひっきりなしにする。

 ゴウゴウと吹き荒れる強風に恐れを抱きながらギュッと目を瞑ったものである。

 それから再び目が覚めたら辺りはまるでそれまでの物音がウソのように静かになっている。

 台風が通り過ぎたんだなと安心しているとしばらくしたらまた風も雨も強くなってきた。

 いわゆる台風の目に当たっていたタイミングだっただけで恐ろしい一夜は明け方まで続くのであった。

 やがて朝が来て雨戸の隙間から明るい光が漏れているのがわかる。

 おっ、これはと思って雨戸をあけると外はすっかり明るくなっていた。

 いわゆる台風一過で雲の切れ間から青空も見えている。

 庭には風で飛ばされた落ち葉やゴミなどが散乱しており昨夜の風の強さを想像させた。

 停電はまだ戻っていなかったがガスは使えたので朝ごはんもカレーだった。

 台風にビビって食べるカレーと安心して食べる二日目のカレーとでは味が確かに違っていたように思う。

 そんなわけでわが家の台風ご飯はカレーライスであった。

 あれはあれで、緊張感と子どもならではの台風に少しワクワクするという不謹慎な思いがないまぜになってなかなかいい思い出である。

 今日は家から出ないであるものでご飯を作る。

 台風コロッケも台風カレーもいいが、ウチでのスタンダードは何にしよう。

 とりあえず今晩のメインは焼きそばかなぁ。

 皆さんも台風の時にウチはこれを食べていたという思い出の味はありますか?

 

 ただ今午後五時過ぎ、台風は風の影響はほとんどありませんでした。

 その分雨が降り続いており今も目の前が霞むくらいの豪雨が時おり降っております。

 今晩にかけてまだ油断はしないで対策をしようと思います。

 これから進路に当たる皆様方もくれぐれもお気を付けくださいませ。

 

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