アオハルなんかじゃなかった
今日のお昼前に高校の前を通りががったら沢山の生徒さんたちがいた。
親御さんたちの姿も見えたのでああそうか、今日は卒業式かと思い当たった。
私の地元の公立高校は三月一日に卒業式をするところが多い。
風は少々冷たかったがおそらく卒業生らしき子たちが校門の前でスマートフォンで写真を撮っている風景はそれなりに感慨深いものがあった。
そして不意に自分の卒業式の時の思い出が蘇ってきた。
私はお勉強が壊滅的に出来なくて素行の悪い生徒を集めたクラスの中でも最底辺のスクールカーストに属しておりロクなもんじゃなかった。
とにかく面倒なことが苦手で一番嫌いな言葉がクラス団結!だった。
たまたま同じ教室に詰め込まれただけの関係の人間全員と仲良くできるはずもなく、授業中以外はずっとウォークマンでその頃超絶好きだったブルーハーツや尾崎豊、筋肉少女帯と言ったロックを大音量で聴いていた。
クラスにはそこそこ仲のいい奴もいたが、彼女が出来たりすると当然そちらの方に意識が行くのであっちいけシッシッと追い払っていた。
一番の親友は隣のクラスにいた奴でそいつとは音楽の趣味が合った事から親しくなっていった。
朝の登校時間のだいぶ前に部活棟の裏でそいつがタバコをふかしながら弾く下手くそなギターを聴くのも楽しい時間だった。
今思っても両親には大変申し訳ないのだがあの頃は学校に行く意味が一ミリも見出せずにもがいていた。
その持て余した有り余るエネルギーでひたすら体を鍛えていた。
高校生の興味のあることと言えば女とタバコと酒である。
どれもこれもいまいち手を出し切れなかった自分が本当にダセェ奴だと自己嫌悪になってこのまま消えていなくなりたいと思ったことも一度や二度ではない。
そのうちに親友にもめでたく彼女が出来てそっちに夢中になっていった。
私も好きだった子に友達伝てにラブレターを渡したことがあるが玉砕だった。
フラれた理由は自分より頭の悪い子は嫌いなのと言うもっともな理由でぐうの音も出なかった。
何せ最底辺クラスの中でも常にビリを争う成績だったのだから誰も私の事を相手にする人はいなかった。
とにかく無気力と悶々としたエネルギーのせめぎあいで頭が爆発しそうになるくらいイライラした日々を送っていた。
そんな暗黒な高校時代もやがて終わりを迎える。
数学で0点を取るような成績だったのにダブらなかったのは不思議でしょうがない。
卒業式の日はみんなソワソワして写ルンですで写真を撮りあっていた。
やがて担任が最後の挨拶をして放課後になった。
クラスの女子たちは泣きながらずっと友達だよとか、絶対連絡するとワイワイやっていた。
私はこの仲良しごっこももう見なくていいんだなと思いつつロックを聴きながらああ、これがこの支配からの卒業なんだなと思うと少しだけ愉快な気持ちになった。
すると隣の席のラグビー部のやつがこれから打ち上げをするけどお前来るか?と聞いてきた。
私はクラスで完全に浮いていたのでいやぁ俺はいいやと断って教室を出ていった。
あの頃の何とも言えない空虚な日々とみんなと馴染まなかった自分の事を考えると何とネクラで自意識過剰なおポンチ少年だったかと身悶えしたくなる。
高校時代から付き合いのある友達は今で二人になった。
他の奴が何をしているのかは全く知らない。
初恋の子も今年48歳。
もしかしたらお孫さんとかいるのかな。
うへぇ、私も歳を取ったものだ。
そんな事が一瞬で頭をぐるぐる回った。
とまあ過去と現在がないまぜになりながら昨日の晩御飯。
昨日はとても寒かったのでお鍋にした。
豚のバラ肉と白菜、えのき、シメジ、豆腐を用意。
出汁はゴマ豆乳鍋の素を使った。
それだけだとちょっと少ないので鶏皮をしっかり茹でて冷水でゴシゴシ洗って水気をしっかり切って細切りにしてポン酢で和えてねぎを散らして鶏皮ポン酢を拵えた。
もう一品は大根のぬか漬け。
鍋を居間に運んでいただきます。
鍋の素を溶いて沸騰するまで待つ。
昨日は休肝日。
ぬか漬けが思いのほか良く漬かっていてポリポリと楽しく齧った。
鍋が沸いてきたのでお肉から入れて野菜も投入。
沸騰して煮えたらお肉から食べる。
ゴマ豆乳のコクのある味が豚肉によく合っていてなかなかいい。
妻はゴマ味が好きなのでこれ美味しいねと言って食べていた。
野菜にもよく合ったのでテンポよく具を追加しつつ食べた。
合い間に鶏皮ポン酢を食べると、んんんお酒が飲みたいと思ったが我慢我慢。
鍋をあらかたつついたら締めはリゾットがおすすめと書いてあったので、冷凍ご飯をチンして洗ってから鍋に入れて沸騰したらチーズをドサリとかけた。
ちょっと待ってかき混ぜるとトロリとチーズがいい具合になっていた。
お玉で掬ってレンゲで口に運ぶと激熱で火傷しそうになった。
ホフホフしながら味わうとゴマ豆乳の味とチーズの相性が抜群でかなりいいお味だった。
妻と二人でこれはいい締めだねぇといいながらフッハフッハと食べた。
少し節制したいので満腹になるまで食べずに腹八分目でご馳走様。
洗い物はチーズが固まって少々苦戦したがどうにかなった。
それからお風呂に入って久しぶりに電気毛布を布団に敷いて寝たら秒殺で朝が来た。
今週も何とかしのげたなぁと週末の解放感に浸っているのが今である。
卒業生の皆さんご卒業おめでとうございます。
親御さんも本当におめでとうございます。
若いうちはバカやって友達を大切にするのが一番、
じゃないと私の様にフォースの暗黒面に落ちる事になりますから…トホホ。