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空を舞ったぼうけんのしょ。
私が小学生の頃はテレビゲームの全盛期だった。
男ばかりの三人兄弟だったのでそれはもう夢中で遊んだものである。
最初に買ってもらったカセットは忍者が主人公のアクションゲームでその一本だけだった。
母はテレビゲームをするとバカになるという迷信を信じていたので私たちが遊んでいると苦い顔をしてあれこれ理由をつけてやめさせようとした。
そういう時にはそこそこで切り上げて虎の子のカセットを持って友達の家に行っていた。
まだゲームは一日一時間という名人の語った呪いが親に浸透する前だったので思う存分遊ぶことが出来た。
人数が集まるとみんなが持ち寄るカセットも充実するので普段遊べないゲームを堪能できるのがたまらなかった。
世界を席巻した髭の配管工のアクションゲームが発売される前はプロレスやサッカー、ゴルフなどのスポーツゲームが人気だった。
時間はたっぷりあったのでトーナメントを組んで勝負をしていた。
私はどんくさかったのでいつもビリかブービー賞だった。
そのうちに勇者がドラゴンから世界を救うRPGが発売されて大人気になった。
パスワードさえあればどこの家でも続きが出来るのが画期的だった。
我が家はそんなに裕福ではなかったのでカセットを買ってもらえるのはお正月と誕生日の二回しかチャンスはなかった。
お正月は大作ゲームの出る時期でのどから欲しいソフトが売り切れで手に入らないこともよく合った。
そんな時に父は名前も聞いたこともないカセットを買ってきてくれることが多かった。
クリスタルの啓示によって世界を救う旅をしたくてRPGを所望したら全く関係ない親鳥が小鳥に餌をあげるだけの何が面白いのかわからないカセットを買ってこられた時は正直がっかりした。
そのうちに国民的ソフトになった勇者の冒険を描いたカセットの三作目を誕生日に買ってもらった。
序盤から目の離せない展開で私たち兄弟はサルのように夢中になった。
そのうちに船を手に入れて大海原を冒険していた時である。
ちょうど夕飯時だったので一旦セーブする必要があった。
ところがこれがなかなかタイミングよく城に辿り着かない。
あとちょっとだという時にいきなり、こら!いつまでやっとるんじゃ!!と父の怒声が響いてファミコンをテレビから引きちぎった。
そしてそのまま庭に投げ捨てたのである。
私たちはああっと思いながらも激高した父が怖くて何もできなかった。
その日のご飯は気まずいし庭のファミコンも気になるしで喉を通っていかなかった。
翌日の早朝に目が覚めてすぐに庭に出て救出した。
恐る恐る動作を確認したが昔の機会と言うのは頑丈なので無事に起動した。
しかし勇者たちが冒険をした記録はきれいさっぱり消えてしまっていた。
その時の絶望感たるや、なかなかのものがあった。
ファミコン以降、あらゆるゲーム機とお付き合いしてきたが今でもまだゲームをしている。
おそらくこの趣味は一生ものだと思う。
三つ子の魂百までとはよくいったものである。
そんな懐かしい思い出を振り返りながら昨日の晩御飯の事を少し。
昨日は買い物をせずに帰宅した。
冷蔵庫を開けると、鶏むね肉があったのでこれを使う。
まずはむね肉を包丁で開いて平らにする。
それに砂糖と塩を摺りこんでしばらく放置。
その間に副菜を作る。
新玉ねぎをスライサーでスライスする。
ツナ缶の油を切って小さめのボウルにあける。
そこに叩いた梅干しとマヨネーズを加えて梅ツナにする。
玉ねぎをお皿に盛ってその上に梅ツナを乗せて真ん中に卵黄をあしらって鰹節を振ったら新玉梅ツナサラダの出来上がり。
汁物は新ジャガイモのみそ汁をパパッと作る。
では鶏むね肉を仕上げていく。
砂糖と塩を洗い流してキッチンペーパーでよく拭く。
それを一口サイズに切り分ける。
下味に塩コショウをして小麦粉をはたいておく。
フライパンに火を点けて油を少し多めに入れる。
火を点けて温度が上がったら鶏肉を数個ずつ入れる。
フライパンを傾けて揚げ焼きにする。
最初は弱火でじっくり熱を通して仕上げに強火で揚げる。
こんがり揚がったらキャベツの千切りを敷いたお皿にのせていく。
味付けはレモンと塩でサッパリと。
二回目も同じように揚げ焼きにする。
おーし、出来たと言いながら妻を呼ぶ。
昨日のお酒は安定のレモンサワー。
氷をグラスにギッチギチに詰めてサワーの素を注いで炭酸水をシュワワと。
ルネッサーンスと懐かしい乾杯の音頭をとってグビグビ。
氷と炭酸の効果で飲みやすさマックスである。
あっという間に飲み切ったので二杯目を作る。
そして新玉サラダを食べる。
梅干しの酸味とツナの旨味が合わさってそれだけでも勝負できる味である。
そこにサクサクした食感の新玉ねぎが合わさるとワハハと言いたくなるくらい美味い。
モリモリと食べて二杯目のレモンサワーも空になる。
三杯目は少しペースを落として飲もうと思うのだがのど越しの良さに勝てない。
いかんいかんと頭を振って鶏の素揚げを食べる。
表面はサクッとしており中はジュンワリと脂が染み出る。
レモンと塩というシンプルな味付けがよく合っている。
これもお酒と相性がいいなぁと困っちゃうと言いながらニヤニヤが止まらない。
みそ汁でインターバルを挟んでモリモリ食べてごくごく飲んだ。
妻は鶏の素揚げが気に入ったようで今日のヒット賞ねと言っていた。
何でも良いから妻の心に刺さればその日のご飯は大勝利である。
ご機嫌で食べてお腹いっぱいになったのでご馳走様。
いやぁ、食べた食べたと言いながら片づけをしてデザートにアイスを食べてしまった。
最近と言うかいつも食べすぎのきらいがあるので気を付けなければと思う。
とはいえ毎日夕方になると何か美味いものを食べたいと思うのはもう性分なのだろう。
うーん、今日のテーマはヘルシーかしら。
豆腐とか…いいですよね。
何となく献立が見えてきたので買い物行ってきまーす。