リモートが無くて良かった

 早いもので五月も半ばを過ぎた。

 あれだけ楽しい楽しいと言ってホクホク顔で過ごしていたゴールデンウィークも過ぎてしまえば何ともあっけない。

 次の三連休は七月まで無いとなると気分も何となく華やがない。

 遊びに遊び惚けた連休明けのダルさと仕事に行くのが面倒だという感覚は誰しも経験したことがあるのではないだろうか。

 お休みの間の不摂生で狂いに狂った生活のリズムを通常モードに戻すのにそれなりの時間がかかっていた。

 いい大人になるとそれなりに責任もついてまわるのでそうそう簡単には休めないし、今日は仕事をする気が起きないので休みますと言ったら自分の席は無くなってしまうだろう。
 
 しかし若い頃の私は己の欲求にとても素直で休みたいと思ったら本当に休んでいた。

 まさか正直に気が乗らないので休みますとは言わず、その辺りは嘘も方便で体調不良で…とか適当なそれらしい理由をつけて有休を頂いていたものである。

 大体年に二回から三回はそういった自己都合休みを取っていた。

 もちろん仕事が立て込んでいる時やお客さんと約束がある時にはそんな事はしない。

 若手社員だとたまにあれ?これ俺っていなくてもいい日なんじゃないというのがたまにある。

 そんな日がねらい目だった。

 始業前の会社にラズベリー賞ものの演技で電話をかける。

 電話に出た人に事情を話してお大事にと言われたらお休み確定である。

 その瞬間に一気に何とも言えない開放感に包まれたものである。

 とりあえずすることと言えば二度寝である。

 布団にもぐって目を閉じると秒で眠りに落ちる。
 
 次に目が覚めるのはお昼前である。

 さすがにお腹が減るので適当に卵かけごはんなんかを食べて、さぁて何をしようかなと思う。

 ここで調子に乗って外に出かけて遊んでいると万が一会社の人に見られたら後で面倒なことになるので基本自宅で過ごす。
 
 この辺りが我ながら小市民だなと思う。

 その頃はまだインターネットがようやく普及し始めた頃で動画配信もそんなに盛んではなかった。

 レンタルDVDを借りにもいけないので何度も読んだ本を読み返したりしてまったりした時間の使い方をしていた。

 そのうちに日が暮れて晩御飯を食べて寝る時間になるとかなり気力が回復している。

 そして翌朝元気よくツヤツヤの顔で出社して昨日はすいませんでしたと上司に頭を下げれば自主休日ミッションコンプリートである。

 あれはまだ自分に学生気分が残っていたんだろうなとちょっと恥ずかしく思いだす。

 もちろん上司や先輩にはこいつズル休みだなとバレバレだったのは今となってはとってもよくわかる。

 あの頃はまだ牧歌的な風土が残っていたんだなぁ。

 働き方改革なんて言葉がまだこの世になかったころのお間抜けな若者のせこいお話しでした。

 それはそれとして昨日の晩御飯のお話しを少しだけ。

 昨日は鶏肉がメイン。

 鶏モモ肉を一口サイズに切り分ける。

 大根の皮を剥いて一センチの厚さに切り分ける。

 フライパンに油を敷いて刻んだニンニクを入れる。
 
 火をつけて香りが立ったらそこに鶏肉と大根を投入。

 しっかり目に炒めたらそこに水と砂糖、酒、醤油、みりんを入れる。
 
 沸騰するまで強火でアクを取りつつ火加減を弱火にして煮こんでいく。

 その間に汁物を作る。
  
 汁物は豚肉と玉ねぎと人参、ごぼうを使った豚汁。

 鍋に油を敷いて具を全部軽く炒める。

 そこに水を入れて昆布だしの素を入れる。

 これもアクを取りつつ具材に火が通ったら味噌を溶き入れる。

 仕上げに摺り下ろしたしょうがを加えてねぎを散らせば簡単豚汁の出来上がり。

 副菜は絹ごし豆腐に揚げ玉を乗せて醤油をかけたタヌキ奴。

 ぬか漬けは大根。
 
 鶏肉と大根の煮物も煮えたので晩御飯の出来上がり。

 妻を呼んでいただきます。

 昨日は休肝日。

 まずはアツアツの豚汁に七味唐辛子を振り入れてススッと飲む。

 豚肉の甘い脂とゴボウの風味がいい、他の野菜も存在感があってなかなかいい出来だった。

 つぎにタヌキ奴を。

 あっさりした豆腐にサクサクした揚げ玉の食感の組み合わせが面白い。

 ボリュームも出るので副菜としてかなり優秀な一品。

 合い間にぬか漬けを食べる。

 二日間漬けたのでしっかり漬かっており成功だった。

 ではメインの煮物を頂く。

 大根の芯まで良く味が染みておりジューシーだった。
 
 鶏肉もホロホロに煮込まれていてこれもまたいい。

 妻は大根が気に入ったみたいで重点的に食べていた。

 昨日のお互いの出来事をあれこれ話しながらご馳走様。

 ササッと片付けて少し夜更かししてドラクエを少々。

 今日は少し起きるのが億劫だった。

 まあ明日は土曜日なので山は乗り越えた。

 明日は余裕をもって優雅に一日を過ごそう。
 
 これが本当のおとなの週末なのでしょうな。

 

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