あるオイル交換の記憶
異世界はある。そんな感じがした。オイル交換。始まった。始まりまでにも極めてスムーズなところと極めてファジーなところとがあった。
所詮読書。これは蔑みでもその反対のものでもなく、「ただ単に」的な「所詮」の使い方。
まあたしかに、骨組みまではいかないだろう。『はじめての人類学』。
リトルネロ。私は書くこと、リトルネロ。
やけに懐かしいのはガソリンスタンドで働いていたからか。匂いという懐かしさ。しかしプルーストまではいかない。ただの懐かしさ。特に思い出されることもない。あるとすれば詩を以て。
やたらとガサツな音が鳴る。きらりんとしているのに星じゃない。異星ではない。目の前県道、おそらく県道。
一人で場を作れない。だから支配産業。みんなで一緒に。一緒にみんなで。一人は部品ではない。そう言うこと、批判すること、それらはおそらく一つの秘匿。
1000円ね。それ以上で以下でもない。そこにあるのは一つの単純な論理。私にはそう見えた。
愛想はない人だった。けれども悪い人ではなかった。別に良い人でもなかったが、それは良いことだと思った。また行こうと思った。
なぜかよくわからないが、明日からも生きていこうと思えた。かつて「これからはどうなっても大丈夫だ」と思った、そのことを思い出した。それをわざわざ書いた、その踏み込みをもう一度フィールした。近くのブックオフでこの箇所、そして二つ前の箇所までは書いた。そう、「フィール」は一つの逃走。Prod by Ramza。『PEASTA』。「Relax,Break」。
あのバイクショップに帰ったらまた書こう。ここからは怠惰。もしくは勤勉な怠惰。怠惰な怠惰。怠惰な怠惰な怠惰な……
『臨床とことば』(朝日文庫)を買ってしまった。河合隼雄と鷲田清一の対談。最近はかなり金欠で本を買うのをやめていた。が、なんだかあの出会いを保証するものに感じられて、おそらくそのような理由から、買ってしまった。
私はイヤホンで世界を作っている。作ってもらっている。もっと生身の世界制作。押し合いへし合い、そういうの。身体的な次元を感じた。まあ、あっちもショップがあるが。
汚れている本。けれど嫌な汚れじゃない。まあ、あの人の作業服もそんな感じだった。だから嫌じゃない。のかもしれない。
さて、冷静になってきた感じがする。態勢を整えた、と言ってもよい。もしかすると精神状態ゆえの錯誤かもしれない。しかし、そんなことばかりしていたら真実も掴めない。手がかりがない。ロッククライミング。ガインシガインシ。