SNSにおける活動家の動向
ここ数か月、トランス活動家たちの振る舞いがどんどんファシズムに近づいている様子をリアルタイムで見せつけられてるような出来事があまりにも増えてきたので、どんなことがあったのかを記録としてまとめた。
ここでいう「トランス活動家」とは、「トランスジェンダーへの差別解消」のために活動している当事者やアライのことを指している。
もちろん全員がそうではないのだが、一部のトランス活動家の動向がやや暴走し始めているようにみえるのだ。
【追記】12/7
①「トランスwiki」の後継ともいえる「トランス差別に関するアーカイブ」(=通称トランスlog)
②「女性スペースを守る会はヘイト団体」発言に対して投稿削除や謝罪を要求したが、発言者側は義務の不存在を求めて横浜地方裁判所に提訴したこと
について追記した。
フォロー罪 いいね罪 RT罪
「フォロー罪」「いいね罪」「RT罪」とは「ある人に対して“トランス差別者”というレッテルを貼って、その人をSNSでフォローしてたり、その人の投稿にいいねを押したりRTすることに対して適用される罪状」である。
その判断は主にトランス活動家によって行われ、さらに「いいねを押すことによってトランス差別に加担してしまいました」「トランス差別に反対します」などのステートメントを出すことを求める場合もある。
(わたしは購読してないが)白饅頭氏が有料note記事にしていたのでアンチフェミ界隈にもその名がそこそこ知られるようになったのではないかと思う。
「いいね罪」による糾弾
開発者氏がいいねしたツイートが韓国の方のアカウントによって韓国語に翻訳され、全公開のふせったーで晒される事態にもなった。
自分が「いいね」を押しただけでなくて、自分の投稿が“トランス差別主義者”にいいね/RTされることも罪にあたるらしい。
・自分のpostが“トランス差別主義者”にいいね/RTされた罪
・つくたべ批判いいね罪
・りゅうちぇる批判いいね罪
までもあるようだ。
「RT罪」による脅迫/侮辱
被害を受けた当事者である田楽心(田中ラッコ)氏本人がnoteで経緯を詳しく説明している。
『美とミソジニー』出版や展示に対する圧力
『美とミソジニー』という本に対する一連の出来事である
・辻愛沙子さんへの注意喚起とそのバックラッシュについて
・「正当な怒り」の火(「トランスカルト」と呼ばれる私たち)
・ジュンク堂凸
に関しては、すでにnoteの記事にまとめたので参照してほしい。
『#TERFと呼ばれる私達』出版のためのクラウドファンディング中止
「#TERFと呼ばれる私達」という電子書籍を出版するためのクラウドファンディングが7/30に始まり、クラウドファンディングを開始した当日のうちに、しかも6時間経たずに目標金額を達成した。
しかしながら、以下のようにトランス活動家たちからの問い合わせが多く寄せられたせいか、出版プロジェクトが中止されることになった。
【追記】ここで紹介したクラウドファンディングに対する一連のキャンセルを含めて「『TERFと呼ばれる私達』出版の記録」という記事を書いたのでリンクを貼っておく。
GCチェッカー
GC Checkerとは https://isgc.app/ というアプリケーションのことである。
※GC=Gender Criticalの略。
このGCチェッカーにTwitter IDを入力すると、あらかじめ設定してあるアカウントにいいねを押したりリツイートをしたことや、特定のワードを用いた投稿がピックアップされる仕様になっている。
特定のアカウントや単語を自動的に抽出するので「トランス差別」にあたるかどうかの精度はあまりよろしくないようだ。
ツイートをRTしたりいいねを押したりする前に、このツールでGC(=Gender Critical)なアカウントと絡みがないか事前にチェックして、もし該当するアカウントだったら、たとえ自分が共感する内容であったとしてもRTやいいねを控えるようにするのが「差別に加担しない」ってことになるのか?
自分の意見を見失ってない?「デジタル隣組」って言われてるよ?
トランスwiki
トランスwikiとはあるTwitterアカウント(@transwiki_page)(このアカウントは既に削除されている)によって制作されたwebページである。(このページも既に削除されているため、トップ画面のスクリーンショットを載せる)
なかでも「トランス差別に関係している団体・企業」や「トランス差別に関係している人物」として、特に名前を出して活動している人たちの名前が載っていて、ジェンダークリティカルな意見を表明している人たちだけでなく、ある本への書評が雑誌に掲載された人や、某ヒップホップグループ名や、普段トランスアライ的な発言をしているような人たちの名前も載っていたので、双方の立場にある人たちを大いに混乱させた。
「リストに載るべきかどうか」を議論しているが、そもそも「このようなリストがあることの是非」については考えていないのだろうか。
「トランス差別関連人物」の証拠として貼られている情報も、ほとんどがトランス差別の根拠としては乏しいありさまだった。
氏名や所属機関が掲載されたため、誹謗中傷・風評被害をうけたと警察に届け出た人まで現れた。
警察沙汰になったためかどうかは知らないが、トップ画面には
「この情報は当事者やアライへの情報提供を目的としており、TransWikiは当該の団体・人物に対していかなる裁定も行っていません。マイクロアグレッションに該当する内容も含まれます」
との文言が追加された。
個人的な考えとしては、たしかにトランスwikiは「トランス差別に“関係している”」と書いてあるので明確には「差別者」として名指しはしていないが、wiki管理者の恣意的な選択によってトランスアライまでリストアップされている。
そのことによって、「意見が違う人と少しでも対話をしたら/仲間内の振る舞いに対して苦言を呈した場合でも掲載する」という牽制や見せしめのように機能してしまっているので、このトランスwikiは言論の自由を脅かしかねないのではないだろうか。
「トランスフォビア辞典」の魚拓リンクを貼る。
「トランスフォビア辞典」の内容は、海外情報ベースのせいかわたしも初めて知ったようななじみのない単語ばかりだったし、それよりもまずは「トランス」の定義やどういったことが「トランスフォビア」に該当するのかなどの記載をしてほしかった。
混乱を引き起こしたトランスwikiや@transwiki_page であったが、9月18日にはいつの間にか削除されていた。
【12/7追記】トランスログ(トランス差別に関するアーカイブ)
と思っていたら10月半ばには「トランス差別に関するアーカイブ」が公開されていた。
トランスログ、トランスwiki作ったのと同じ人が作ったのかな
諦めてなかったんだね……
トランスwikiが消えてたのが9/18ごろで、トランスログの更新でいちばん古いのが9/20ごろなので、トランスwikiを消したタイミングとトランスログを更新し始めた時期がほぼ重なっているようだ。
トランスログ(=「トランス差別に関するアーカイブ」)は現在も稼働中で、順次新しい個人/団体/会社が追加されている。特に実名を出して活動している人が選ばれているようだ。
今回、『「社会正義」はいつも正しい』という本を翻訳出版したことによって早川書房や編集者や翻訳者もリストに入れられている。
「トランス差別に関するアーカイブ」では、トップページには情報提供フォームがあり、その形式が斬新だったのでかなり驚いた。
トランス差別に反対します
女性スペースを守る会がViewpoint(統一教会メディア)のライターである日野智貴の主催する日本SRGM連盟と共同声明を行ったことは事実です
女性スペースを守る会が盗撮AVマニアの三浦俊彦東大教授と自由討論会を行ったことは事実です
女性スペースを守る会元共同代表の永田マルが「性自認の差別もアウティングも許さないくなるなら(原文ママ)、もう秋田県の温泉には行けなくなるな」と発言したことは事実です
統一協会のフロント団体であるUPF-Japanに5年にわたって勤務していた小林貴虎が女性スペースを守る会の賛同者リストに入っていることは事実です
女性スペースを守る会はヘイト団体です
のすべてのチェックボックスにチェックをいれないと情報提供が送信できない仕様になっている。
この選択肢じたい、誹謗中傷の恐れがあるだろう。
【12/20追記】translogs.orgのサイトは消されたのか、確認できなくなった。
【12/7追記】「女性スペースを守る会はヘイト団体」
トランスログの情報提供フォームにあった「女性スペースを守る会はヘイト団体」という発言に関しては、女性スペースを守る会が発言者に投稿削除や謝罪を要求したが、発言者側は義務の不存在を求めて横浜地方裁判所に提訴しており、ニュースになっている。(魚拓 https://archive.md/wftCB)
発端となったツイート
「女性スペースを守る会」の記事
カルチュラルスタディーズ学会
9月16日〜18日に成城大学およびオンラインで開催された「カルチュラル・タイフーン2022」において、「トランスフォビア」としていくつかのTwitterアカウントや論文が取り上げられたため、論文を執筆した当事者である千田有紀氏(=ぽんたcafe氏)が斉藤正美氏に対して以下のような質問をした。
ちなみに『現代思想』に掲載された千田有紀氏による論文『「女」の境界線を引きなおす―「ターフ」をめぐる対立を超えて』は、以下のサイトで公開されているため、どういったことが「トランスフォビア」に該当するのか、関心がある人はぜひ各自で確認していただきたい。
いまのところ返答はないようだ。
「文芸界の若手への執拗なハラスメント」というtogetterまとめ
#栗原裕一郎氏による業界パワハラに抗議します
#トランス差別に反対します
というハッシュタグとともにTwitterでこのtogetterまとめが拡散された。
唐突に「裁かれることもなく」という言葉が出てきた。
「差別者とは議論しない」といいながら「裁く」、つまり魔女裁判を行いたいということにならないか……?
このtogetterはコメント欄も読んでほしい。
トランス男性に対して意見を表明するよう迫る
「踏み絵」を迫っている現場にみえる。
「優しく投げたのに」……優しく投げるのならスクショを晒してリプライするのではなくて、DMかLINEかメールにしたほうがいいのでは……
自分の求める答えを得られるまで公の場で問い詰めてまた「総括」するのだろうか。
相手の内心の自由を尊重せずに、意見の表明を強制するのはハラスメントではないか?
「本棚にある本をすべて見せてください」
望月もちぎ氏のもとに「本棚にある本をすべて見せてください」というメッセージが来たことがnoteの記事になっていた。
「本棚の本全部見せろ」……令和によみがえった特高警察なのか……?
そもそも電子書籍で買ってる場合もあるし、図書館やkindle unlimitedで借りてる場合もあるし、本棚の中身を見てどうするの?
該当の本がなかったら「安心した」ってなるの?
で、もし該当の本を所持していたら「やっぱりトランス差別者だ」ってなるの?
批判するために読むことすら許されないのか?
思想をチェックする側も、本のタイトルを出すとむしろ話題になって炎上商法になってしまうので、「(トランス差別的な本がないかチェックするので)本棚の本をすべて見せてください」っていうやり方に変えたのだろうか。
人の本棚を確認することがトランス差別解消につながると信じてるんだろうか。
暗に脅迫しながらこうやって踏み絵を迫るのは、本当に当事者のためになってるのか疑問だ。
自分と興味や関心が似ている人が勧める本は自分にとっても面白い場合が多くて、本を選ぶうえでとても参考になるから本棚をみせてくれるのはありがたい。
しかし、「差別的だと指摘されている本を読んでいるのかどうかを明確にしておく意図」があるうえで「本棚にある本をすべて見せてください」(ただし場合によっては関係している出版社などにも抗議させていただく)
と相手に迫るのは、相手の善意で本棚を公開するということから大きく逸脱して「検閲する側/検閲される側」の間で明らかに権力勾配が発生している。
そして、たとえ相手の意向に沿うように本棚の写真を送ったところで、どんどんエスカレートしていった先には「該当の本を隠してるかもしれないので、実際に家を訪問しますから確認させてください」「本の購入履歴を見せてください」「図書館の貸し出し履歴を見せてください」までいきかねない。
まさか「図書館にあるその本の気に入らない部分を破いたり汚したりして読めなくする」「書店に並んでいるその本をわざと破損して商品として売れないようにする」までやらないよね?
わたしのこういった意見に対して
という意見を引用RTでいただいた。たしかに「安心」というよりは「服従」を求めているのかもしれない。だからあのような、慇懃でありながらもアグレッシブな言動をしてしまうのだろうか。
おわりに
わたしはトランス活動家の動向をSNSで観察してきているが、数年前の表立った罵詈雑言や脅迫が減ってきた代わりに、ある特定のトピックに言及している本に対して出版や販売を妨害したり、いいね欄をみてつるし上げたり、個人に対して公に意見を表明するように迫ったり、思想チェックをしたいので本棚にある本をぜんぶ見せてくれなどという方向に変化していっているように感じる。
この流れはいったいどこまで進んでしまうのだろう。
「トランス差別反対」と唱えながらこのように振る舞い続けることが果たして「トランス差別解消」になるのだろうか?
こういった動きに対して、ブレーキをかける人がトランス活動家たちの中からでも、いい加減現れてほしいところだ。
必要なのは「服従による証明」ではなく、わたしは「対話」や「議論」だと思う。