親子丼
静かに店員がトレイを持ってテーブルに近づいてきた。トレイの上には親子丼と生卵、味噌汁、漬物がよそわれた食器が並んでいる。食券を渡して、たぶん5分も経っていなかった。
今日は外食でも良いな、と思いながら退社。駅に向かう途中に餃子の王将があったことを思い出して、店内に入るところまではいった。けど、中は想像以上に、順番待ちの人で溢れかえっていた。氏名と人数を記入する予約表をめくると、ずらっとチェックマークのついていない行が10行ほど続いている。
今日は待てない、と店を出る。まっすぐ帰ろうか。あ、そういえばさっき通り過ぎたなか卯、席空いてたな……。この間15秒くらい。
餃子とチャーハンの口になっていたけれど、親子丼もいいじゃないか。意外とすんなり切り替えられたので、Uターンしてずんずんと向かった。
実はこれがなか卯初体験。食券を手に取ると、しばらく視線が彷徨う。店員に渡すタイミングがよくわからず、いったん空いている席に荷物を置く。すぐ座らずに食券片手に厨房を見つめていると、隣の席の食事を提供しにきた店員が現れ、無事に渡す。
持っていた文庫本でも読もうかな、と手を伸ばした矢先にすぐ食事がきた。このスピード感はありがたい。
汁だくで艶やかな鶏肉と卵。そこに生卵を落とす。濃い橙色がうれしい。「オレンジ色」ではなく「橙色」がなんだか似合う。
これからちょくちょく利用させてもらうことになるだろうな、と思いながら完食した。
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