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回遊魚
マグロは死ぬまで泳ぎ続ける。
それを知ったのはテレビ番組を観てなのか、水族館に行った時に何か説明を読んだのか。はたまた学校の授業中だったのか。
きっかけはまったく思い出すことはできないけれど、幼少期に学んだことだ。
回遊魚のマグロは、眠る時でさえ速度を落として泳ぎ続ける。そんなふうに対応できるような体のつくりに進化している。
生き物として、その大きさ、カタチ、迫力にカッコよさを感じる。それに、マグロの刺身はおいしい。大好物。かなり好印象だ。
だけど、泳ぎ続けることに憧れたことって、かっこいいと思ったことって、一度もなかったな。むしろ「こわい」とすらおもう。止まれないって、どんな感覚なんだろう。
もしこれを人間に当てはめるとするなら、なんだかとても忙しないようにおもう。ガムシャラで、いつ休むんだろう? と心配になるような。
自分にとって、「時間」が大切なものだということを思い出す。時間は時間でも、もっといえばのんびりとした時間。何にも急かされないような、そんなこと。
思えば、就職活動のときも、「まじめに働けるから、もうなんでもいいかも」なんて投げやりな気持ちになりつつも、「残業が常態化していないか」「時間管理はどうなのか」ということはちょっと気にしていた。
忙しない人をみていると、畏怖の念は抱きつつも「そう在りたいか」と言われれば、「違うなあ」と、結構はっきり答えられる自分がいる。
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