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バターサンドを買った理由。

2022年5月14日、バトンズ・ライティング・カレッジ(バトンズの学校)の補講、そして延期となった打ち上げがあった。

補講の会場がある渋谷へ向かうため、地元の駅の改札口へ向かっていた。その途中、あるポップアップストアで足を止める。そのお店はちょうど改札口の目の前にあった。地元の駅に現れてから、数日が経っていた。

お店で売られているのは、バターサンド。プレーン、季節限定のフレーバーのバターサンドが入った箱が、それぞれ何箱か重ねた状態で整然と並んでいる。

このバターサンドは、わたしの大好物だった。普段の生活では、なかなかお目にかかることができない。今日のように、販売されているところを見つけると、ほぼ必ず買う。

どうしようかなあ。

商品の前で、思わず腕を組む。このバターサンドをバトンズの学校のみんなに渡すことを思いついたのは、前日の夜のこと。「ありがとうございました。10か月間、おつかれさまでした!」の気持ちを込めて、みんなに何か渡せたらいいかも、と思った。

ところが、いざ目の前にならぶ商品を眺めていると、「いきなり渡したら、相手を戸惑わせてしまうかもしれない、迷惑かも……」とネガティブな考えが頭の中によぎってしまう。けど慌てて、その考えをすぐに消し飛ばす。

大丈夫だ。そんな風に思う人は、あの学校にいない。

わたしがバトンズの学校に応募しようと思ったのは、「書くこと」のスキルアップもあったけれど、なにより「仲間」を渇望していたからだった。

ひとつの仕事を長く続け、自分を律していくうえで、師を見つけること以上に大切なのが、尊敬する友を見つけることです。本校で半年以上に及ぶセッションを駆け抜けた30人は、きっと生涯の仲間となり、友となってくれるでしょう。

https://college.batons.jp/

振り返ってみると、バトンズの学校の仲間は不思議だなあ、と思う。自分以外の31人、全員としっかり会話ができたわけではない。けれど、それぞれの受講生がどんな人で、何をしていて、何をしたいか――そういったものを知っている。

それは半年間、その時持ちうる力で必死に向き合った、32人分の7つの課題と、そのフィードバック。これがすべて共有されていることが大きいんだろう。課題とフィードバックを通して、みんなの人となりが伝わってきていたから。これから先の人生で、みんなのことを意識し、注目し続けていく。

お店のテーブルには、15個入り、9個入り、5個入り……とバターサンドが入った箱が並んでいる。ちょっと考えてから、15個入りの箱を3つ、持ち上げた。

ふと、わたしはこの日会える仲間たち全員と、バターサンドを渡すその瞬間、一言でも良いから言葉を交わしたいんだな、と思った。濃密な10か月間をともに駆け抜けた、バトンズの学校の仲間と。それを見守ってくれた人たちと。

紙袋に入ったバターサンドを持って、改札を通り、渋谷に停まる電車に乗る。車内の人はまばらだった。空いている席に座って、持っていた鞄と、バターサンドの入った紙袋をひざの上でぎゅっと抱える。

この大好物を渡したときにちょっとでも「大好きです」という気持ちが伝わればいいなと思った。

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(残念ながら、お渡しできなかった方もいますが……! これからも、みなさんよろしくお願いします!)

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