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からだもよろこんでいる。

「なにかいいこと、ありました?」

トレーナーさんの問いかけに、思わず「えっ?」、と声を上げた。その一瞬、ウォーミングアップでおこなっていた腹筋を刺激する運動の回数がわからなくなる。

パーソナルトレーニングが始まるとき、まずはトレーナーさんに日々記録している体重、体脂肪率などの身体記録、そして食事の記録(LINEの「Keepメモ」に写真を投稿している)を見てもらっている。そこから、次のトレーニングまでの食事の摂り方や運動について話し合う。

「ここの数字が、すごい変化していたので気になって」

身体記録を見ていたトレーナーさんが指摘したのは、5月15日と16日の記録だ。そこの数字が全体的にここ最近の中で一番ガクッと落ちていた。

それぞれ、前日にバトンズの学校の集まりと、THE COACH Academyの同期によるオフ会があった日だ。そういえば両日、あまり食事制限のこととかは気にせず飲み食いしていた。次の日、体重計に乗るとき覚悟していたんだけど、むしろ数字が良かった。すぐ信じられず、体重計のエラーではないかと、2回体重計に乗りなおしたことを思い出す。それを伝える。

「楽しかったですか?」

思わずきょとんとしてしまう。ストレートな質問に、一瞬ひるんだ。

「楽しかったです。でも、どうしてそんなこと……?」

尋ねると、数字を見続けながらトレーナーさんは言う。

「たまにお客さんで、楽しいこととか、嬉しいことがあった日の翌日に、数字が落ちることがあるんですよ。たぶんストレスがかからないからかもしれないんですけど……」

たとえば、推しアイドルの握手会に行った日、お子さんにすごくうれしいことを言ってもらえた日など、その次の日に実際ガクッと数字が落ちた人がいたという。「科学的な根拠はわからないんですけど、そういう日があること自体が、すごく大切なことだと思うんですよね」とトレーナーさん。

そうか、心だけじゃなくて、からだごと喜んで、楽しんでいたんだ。マスクの下でニヤニヤする。いいことだ。まあ、その後の数字はちょっと右肩上がりになったけれど。

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のん
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