アメリカン・ミュージック・ヒストリー第10章(1990年代全般・・・その1)
10.CD・デジタル技術の進化とミクスチャー音楽(1990年代)
1980年代前半は、良くも悪くもMTVという画期的な媒体によって音楽シーンは、活況を呈しましたが80年代も後半になるとMTVブームも落ち着いた感がありました。
日本の若者も80年代J・POPの人気で洋楽離れが進んだようにも感じましたし、私自身もウエストコーストやサザン・ロック等は、物足りないと言いつつも、80年代前半のPOPSは、それなりに聴いていました。
しかしながら、1985年の一大イベントの「USA・フォー・アフリカ」位から後の80年代後半は、心に残る洋楽が見当たらず、ぱったりと洋楽を聴かなくなったような気がします。
従って90年代も、リアルタイムでは一部の好みのアーティスト以外は、ほとんど食わず嫌い状態が続いていましたが、少し経ったある時期から良さがわかってきたような気がしています。
また、90年代は、デジタル機器や楽器の進化によって手軽に音楽が作れるようになったことで、自宅録音等も可能になりインディーズ・レーベルが増加しました。従来のジャンルやカテゴリーを超えたミクスチャー音楽が世界各地で誕生していきました。
(1) オルタナティブ・ロック(グランジ・ロック以降)
1990年代前半、80年代の主流ロックとは別に草の根的に地道な活動を続けるバンドに爆発的成功が訪れます。
ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」が全米1位になり、アルバム「ネヴァマインド」も大ベストセラーになりました。
このサウンド(パンクとハード・ロックの融合のようなロック)をグランジと呼びロック界にオルタナティヴ・ロック(もう一つのロック)旋風を巻き起こし、これを機にオルタナティブ・ロックは完全に90年代の主流ロックとなっていきました。
後に出てくるオルタナティヴ・カントリーも含め、この時代の新世代アーティストは、パンク・ロック経由で、いろいろな音楽に接していると思われるので、ロックやカントリーを演奏するにしても何処か、クラッシック・ロック世代とは違う味わいがありますね。
因みに何かで読んだ、「90年代を象徴するロック3曲」と言えば、ニルヴァーナの他にはベックの「ルーザー」とレディオ・ヘッドの「クリープ」と言われているようですが、当初はベックもレディオ・ヘッドもピンときませんでしたが、今ではこの説に、かなり納得しています。
上記に加えて90年代ロックには欠かせないバンドとしては、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、REM、ソニック・ユース、サウンドガーデン、グリーン・デイ、オフ・スプリング、ウィーザー、オアシス、ブラー等が挙げられると思いますが、個人的に最初に嵌ったのは、オフ・スプリング。
80年代のL.Aメタル、スラッシュメタル等は、いまいち、ついていけませんでしたが、上記のような90年代のポップ・パンクと言うか、メロ・コアと言うのかは、意外かもしれませんが結構好きで。あと、ウィーザーの泣き虫ロック路線も少々嵌りました。