アメリカン・ミュージック・ヒストリー第10章(1990年代全般・・・その2)
(2)90年代のヒットソングとビッグアーティスト
90年代は、若い世代だけではなくアンプラグドのアルバムが大ヒットしたエリック・クラプトン(ティアーズ・イン・ヘヴンとチェンジ・ザ・ワールドで2度もグラミー賞の最優秀レコードを受賞)やサンタナ、エルトン・ジョン(ダイアナ元皇太子妃への追悼歌「キャンドル・イン・ザ・ウインド1997」が3700万枚以上のセールスを記録)、ナタリー・コール、ボニー・レイエット等のベテラン勢や80年代組のホイットニー・ヒューストン(オールウェイズ・ラヴ・ユーのメガヒット)、スティング、ボンジョヴィ、ガンズ&ローゼズ、MR.BIG、そして90年代の歌姫マライヤ・キャリー他、セリーヌ・ディオン、アラニス・モリセット、シェリル・クロウ、ジャネット・ジャクソン、メアリー・Lブライジ、トニ・ブラクストン、ニュー・エディション、TLC、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ、スパイス・ガールス、バック・ストリート・ボーイズ、ボーイズⅡメン、リッキー・マーティン、SEAL、等が活躍しました。
又、前項のオルタナティヴ・ロックのところでも少し触れましたが、80年代メタルバンドの中でも、スラッシュメタル(ヘヴィメタル+ハードコア・パンク)の代表格のメタリカが、1991年にリリースした、通称ブラック・アルバムは、それまでの路線を変更し70年代ヘヴィー・ロックにも通じる、重々しいリフとグルーヴで、(従来のスラッシュメタルファンは、複雑な気持ちだったようですが)その人気はオールド・ロックファン層等へも浸透し、メタルとしては、爆発的ヒットになりました。何せ私でもリアルタイムで買ったくらいですから。そんな影響もあり、メタリカの他にも当時スラッシュメタル四天王と言われていた、メガデス、アンフレックス、スレイヤーも、一応聴いてみたりもしました。
こうしてみてくると90年代は、青年・壮年・熟年アーティストがバランス良く活躍した時期でもあるのではないかとも思えてきます。
個人的感覚では、80年代の派手で煌びやかなポップス音楽に少し疲れたのか、反動なのか、90年代は(後の項目でも触れますが)、アコースティック系、ルーツ系音楽が復権したような気もします。アンプラグドは、クラプトンに止まらずポール・マッカートニーの公式海賊盤(本当は、クラプトンよりこちらが先)、ロッド・スチュワートからニルヴァーナまで新旧問わずブームになりましたからね。
余談ですが、エリック・クラプトンは、勿論クリーム時代から好きなのですが、異論もあることは承知の上で敢えて言わせてもらえば、50歳を前にして発表した「アンプラグド」が、私的にはクラプトンで最も好きなアルバムとなり、Crossroads Guitar Festivalを含め、以降のクラプトンのアルバムやDVDは、ほとんど入手して聴くようになりました。クラプトンのライナーノーツでもお馴染みの大友博さんも書かれていましたが、アンプラグドでヴォーカリストとして認知するファン層が広がり「クラプトンさんは、ギターもお上手なのね」と言う実話が生まれたそうです。