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アメリカン・ミュージック・ヒストリー    (20世紀ガイドブック)       水先案内人山崎 八州夫


「はじめに」

  今年は、昭和100年。昭和31年生まれの私には、時代の流れを元号で数えると、しみじみ実感が湧いたりします。
 一方、西暦(2025年)で考えてみると「いよいよ21世紀がスタートだね!」等と、少しワクワクしつつ新世紀に突入したのが、ついこの間のように感じられるものの、気が付けば21世紀も既に四半世紀が過ぎようとしています。
 振り返ってみると、それなりに年を重ねてきたので、当然ながらいろいろなことがありましたが、物心がついてから現在に至るまで、常に私の心に寄り添ってくれたのが、さまざまな音楽。
 その中でも、私がいわゆる洋楽に夢中になったのは1969年、そのころに初めて出会った、大好きなミュージシャン達が50年、60年以上経った今でも第一線で活躍していることは、同世代を生きている者として本当に感慨深いことです。
 ざっと挙げてみても、

BEACH BOYS、 ROLLING STONES、 BOB DYLAN、
PAUL McCARTNEY、JOHN FOGERTY、ELTON JOHN
昨年来日してくれた、ERIC CLAPTON、JAMES TAYLOR、
JACKSON BROWNE、DOOBIE BROTHERS,そして
渋い所ではSTEVE CROPPER、BILLY GIBBONS(ZZTOP)等‥

 正に、生きたLEGENDですね。

 昔ばなしになってしまうかも知れませんが、私たちの年代の多くが、多感な中学生から高校生にかけてラジオ(特に深夜放送)から流れてきた洋楽に大きな衝撃を受けました。まず、日本における毎週の洋楽ヒットチャートに心ときめかせ、気に入った曲を買いにレコード店へ行き、小遣いと相談しながらほしいレコードを買える範囲で優先順位をつけ入手したものでした。
 一番はじめはゼーガーとエバンス(典型的な一発屋でした)の「西暦2525年」次に1910フルーツガムカンパニーの「トレイン」これは日本でしかヒットしなかったですが、こういうパターンは結構ありましたね。そして、これは世界的大ヒットしたオランダ出身のショッキングブルーの「ヴィーナス」・・・等々、1969年~1972年位までの週間ヒットチャートは殆どフォローしていました。
 そのうち毎日のようにラジオを聴き、音楽好きな友達と話していくうちにシングルヒットチャートだけでは物足りなくなり、LPレコードを買ったり貸したり借りたりしながらビートルズのデビュー時、或いはエルヴィス・プレスリーの全盛時まで遡り様々なジャンルの音楽を聴くようにもなりました。


 1956年(私の生まれた年)エルヴィスの全米デビューに始まったロックン・ロールの時代は、64年のビートルズのアメリカ進出を契機とした「ブリティッシュ・インヴェンジョン」で世界を席巻し、一方アメリカは、西海岸周辺からヒッピー運動のフラワームーブメントが湧き起こると共に「サイケデリック・ロック」「フォーク・ロック」が登場し、そして69年8月に開催され「愛と自由と平和」を高らかに歌い上げた伝説のコンサート「ウッドストック」で、そのピークを迎えたのだと思います。
 しかしながらその後ローリング・ストーンズのコンサートでの黒人刺殺事件やジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、ジム・モリスンが相次いで麻薬の過剰摂取等による急死で、愛と自由と平和が幻想に終わってしまったことに加え、ビートルズの解散により喧騒の時代から内省的なロック時代に入った時期が1970年以降だと思います。そういう意味では、私の世代は「Nextビートルズ」「アフター・ウッドストック」の世代と言えると思います。


 今回、ロック時代のスタートとも言われている1956年生まれの私が100年以上にも及ぶアメリカを中心とした広義の意味での世界のポピュラー(クラッシック音楽以外全般)音楽史を自分なりの切り口でまとめてみたいと思ったのは、一人でも多くの人に伝え、感動を共有したいという強い思いからです。あまり難しい内容にはしたくありませんが、単なる昔は良かった、懐かしいだけの話にはしたくないのでタイトルは、「アメリカン・ミュージック・ヒストリー(20世紀ガイドブック)」と題し、「ミート・ザ・洋楽50年」を節目として最近の音楽も少しですが、つけ加えつつ50年間(中学、高校、大学の学生時代10年、サラリーマン生活35年、そして思い切って始めた「MUSIC BAR」5年半)の私的棚卸をすることにしました。

 アメリカ音楽は、知れば知るほど奥が深くこれからもライフワークとして探究し続けていきたいと思っていますが、このガイドブックは現時点で自分が知る限りの知識と経験を総動員した内容となっているので最後までお付き合いいただければ幸いです。


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