Favorite Music (Now&Then) 【8】 BLUEGRASS MUSIC HISTORY 1
大学時代「ブルーグラス ミュージック」を専門に演奏するクラブに所属し、1975年~1978年までの4年間、バンド活動していました。この話をすると、必ずと言って良いほど出てくる話しが
カントリーとブルーグラスの違いが良く分からないんだよねっ??
と、言う疑問!
実はこの問答、ブルーグラスは、伝統や形式に強い拘りのある音楽であるが故に、本場アメリカのブルーグラスミュージシャンでもジョークで茶化すほど、古くからあるテーマです。
一般的に言われるブルーグラスミュージックの特徴は、
(1)南部アパラチア山脈周辺から発展した白人ヒルビリー音楽を土台とし て、ブルース等の黒人音楽の要素も加味され、1945年~46年頃「ビル・モンロー」により確立された音楽
(2)音楽形式としては、アコースティック楽器を使ったストリングスバンドであり、基本的に電気を使用しない(いわゆるアンプラグド)
(3)使用楽器は、ギター、5弦バンジョー、フラットマンドリン、フィドル(バイオリンのこと)、ウッドベースが基本であるが、ドブロを使用する場合もある
(4)楽器、弾き方、リズム等、制約が多く技術的にも高度なテクニックを必要とし、即興性があることからカントリー界のジャズとも呼ばれることがある
と言う感じですが、あまりピンとこない方も多いと思います。
私見ですが、これはカントリーミュージックを理解していることを前提として、ブルーグラスミュージックの特殊性を数え上げているのですが、特別にカントリー・ミュージックに興味がある人を除くと、日本人の多くのカントリーミュージックに対する認識は、年配の方は、映画やテレビ等の西部劇で活躍するカッコ良いカウボーイが歌う音楽や、戦後一斉を風靡したハンク・ウイリアムス、少し時代を下ると、(エクボノかわいい子だったが~)で有名な「北風」、60年代には、リンゴ・スターがバック・オーエンズをカバーした「アクト・ナチュラリー」、そのあとは、ジョン・デンバーやオリビア・ニュートン・ジョンで有名な「カントリーロード」等のイメージが強いのではないかと思っています。
ところが、本場アメリカのカントリーミュージックは、どうかと言うと、これはもう広くて深い音楽で、ざっと挙げただけでもオールドタイム、マウンテンソング、セイクレッドソング等のヒルビリーという南部の田舎っぺと言われた音楽から始まり、カントリーダンス音楽、ウェスタン、ウエスタン・スウィング、ホンキートンク、ブルーグラス、ナッシュビルサウンド、ベーカーズ・フィールド、ポップ・カントリー、アウトロー・カントリー etc 。そして50年代後半のロカビリー(R&Bとヒルビリーの融合した音楽)や60年代後半からのカントリー・ロック等との関連を語っていくと・・・
このままでは、また範囲が大きくなりすぎてしまいますので、この続きは私が別テーマで書いている「アメリカン・ミュージック・ヒストリー」を参照いただければと思います。
さて話を戻してブルーグラスについてです。うわばみのように広くて深いカントリーミュージックというジャンルの一種なので、カントリーミュージック全般を正しく理解しないと、なかなか腹にストンと落ちないんじゃないかとも思いますが、今回はできる限りわかりやすくブルーグラスに特化して書いていくことにしたいと思います。
ということで、前置きが長くなりましたが、「ブルーグラス・ミュージック・ヒストリー」の本題に入ろうと思います。
1.ブルーグラスの確立(1940年代中頃~1950年代)
1920年代、ヒルビリー(現在のカントリーのルーツ)最初の大スターとなったジミー・ロジャース、カーター・ファミリーに代表される音楽を発展させ確立したのが、ビル・モンローです。最初のブルーグラスバンドである彼のバンド「ビル・モンロー& ヒズ ブルーグラスボーイズ」は、兄のチャーリー・モンローとのヒルビリーのデュオグループ「モンローブラザース」解散に伴い、1938年頃に結成されました。この時グループ名に「ブルーグラス」という言葉が出てきますが、速いテンポと楽器の妙技というブルーグラスの特徴は早い段階で見られたものの、試行錯誤が続いており、今でいうブルーグラスミュージックの確立は、戦後まで待たなければなりませんでした。
そして、いよいよ1946年、ブルーグラスボーイズに名ヴォーカリストのレスター・フラットと天才的バンジョー奏者のアール・スクラッグスが加わり、その画期的なスリーフィンガーピッキングでセンセーショナルを巻き起こし、ブルーグラスミュージックを特徴づけるテンポ、リズム、卓越したハーモニー、バンジョー、フィドル、フラットマンドリンのソロ・ブレーク等、すべての要素が揃いました。
この時のビル・モンローのテナーヴォーカルとフラットマンドリン、レスター・フラットの絶妙なリズムギターとリードヴォーカル、アール・スクラッグスの五弦バンジョー、そしてフィドルとウッドベースが加わった編成による歌と演奏こそが「元祖 BLUEGRASS」である訳ですね。
2.ブルーグラス創世期(第1次ブーム)
レスター・フラットとアール・スクラッグスが加わり、大人気となりましたが、1948年、立役者である2人は脱退し「レスター・フラット、アール・スクラッグス&ザ・フォギーマウンテンボーイズ」を結成します。このバンドは、フラットマンドリンのソロの代わりにドブロをフューチャーし、ブルーグラスボーイズを凌ぐ人気と実力でブルーグラス音楽の飛躍的発展に多大な貢献をしました。
一方、ビル・モンローは、自分が育て確立した音楽を持っていかれ、怒りは相当なものだったと思いますが、すぐにアール・スクラッグスの後任として、これまたバンジョーの名手と言われていたダン・レノを加え再出発をします。
創世期のブルーグラスを語る場合、ビル・モンローとフラット&スクラッグス、と並んでスタンレー・ブラザーズを欠かすことはできません。スタンレーブラザーズは、兄であるギターとヴォーカルのカーター・スタンレーと弟のバンジョーとテナー・ヴォーカルのラルフ・スタンレーを中心としたグループで伝統的なオールドタイム、マウンテンミュージック、セイクレッドソング(宗教的音楽・ホワイトゴスペル)等を得意にし、派手さはないものの玄人好みなバンドで、この3組がトラデッショナルブルーグラスの3大グループと言われています。
他にも第1次ブルーグラス全盛期に活躍した代表的なブルーグラスバンドとしては、「ダン・レノ&レッド・スマイリー」「ジミー・マーティン」「オズボーン・ブラザーズ」「ジム&ジェシー」「マック・ワイズマン」等が挙げられます。
ブルーグラスの始祖、ブルーグラスの形式や音楽性の特殊さは、この人の強い拘りと頑固さにも影響されているんじゃないかと思います
ビル・モンローと袂を分かち結成した「フラット&スクラッグス」は、実力・人気ともに最高峰。
ビル・モンロー、フラット&スクラッグスと並ぶ創世期の3大バンド。華やかさはないものの、トラディショナルブルーグラスの第一人者
アール・スクラッグスに匹敵するバンジョー・ピッカーのダン・レノと個人的に好きなギター&ヴォーカルのレッド・スマイリーのバンド
ミスター・ブルーグラス「ジミー・マーティン」の名盤
50年代から息の長い活躍。カントリー曲のブルーグラスカバーは絶品
トラッドだけど、泥臭くないブルーグラスバンド
純粋なブルーグラスもカントリーも熟し、特に人気が高いアーティスト
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