アメリカン・ミュージック・ヒストリー※アメリカ音楽の黎明期
こんにちは。
本文に入る前に、エジソンが録音技術を発明する前(音源としては残っていない時代)のアメリカ音楽について簡単に触れておきたいと思います。
アメリカ音楽の最初のヒット曲と言われているのは、イギリスとの戦争中に流行した「ヤンキー・ドゥードル」(日本では、アルプス1万尺として知られています)で、独立戦争時(1776年前後)はイギリス軍がアメリカ軍を揶揄する内容にもかかわらずアメリカで流行したようです。(南北戦争では、北軍の歌、南軍は、ディキシー)
19世紀に入りアメリカ初の本格的音楽エンターテインメントとも言うべき「ミンストレル・ショー」が誕生し大人気になりました。南軍の歌になった「ディキシー」もミンストレル・ソングですが、アメリカ音楽の父「スティーヴン・フォスター」が、ミンストレル・ショーのために書いた「オースザンナ、草競馬」等も有名ですね。因みに1853年江戸にペリーが来航した際、幕府の要人にミンストレル・ショーを見せた記録が残っているそうです。
そしてアメリカ音楽史を語るうえで大変重要な出来事でもあった南北戦争(1861年~65年)後の奴隷制廃止をターニングポイントとし、エジソンが発明(1877年)した録音技術の進化によって19世紀末~20世紀初頭にかけて出現した黒人ルーツ音楽の「ブルース」「ジャズ」「スピリチャル・ゴスペル」と南部アパラチア周辺の白人ルーツ音楽の「マウンテンソング・オールドタイム」や「ヒルビリー・カントリー」、そして北部のポピュラー音楽「ティン・パン・アリー」等がレコードとして残せるようになり、またその後のラジオ、マイクロフォンの発明、普及も手伝いアメリカ全土に広まっていきました。
商業録音がスタートしたのは、1890年前後からと言われているので既に100年以上に渡る音源が存在しています。当初のレコードは、音質があまり良くありませんでしたが、1910年前後から大量生産できるようになり、1925年頃に登場した電気式により音質が大きく改善されるとレコード産業が一斉に開花しました。現在ではレコードからCDそしてネット配信へと変化してきましたが、音楽産業はこの時代には既に確立されていた訳ですね。
ミンストレルショーの最盛期は、1800年代中頃なのでリアルタイムの音源はなく、後年当時の音を想定して復刻されたものです。黒人音楽と言ってもブルースもジャズも誕生する前なので、意外とヨーロッパ的(白人音楽に近い)な音に感じます。
フォスターの曲のCDは、たくさんあり、クラッシック的なコーラスが多いようですが、個人的には1930年代に人気のあった「sons of the pioneers」のものがおすすめです。フューチャーされている「ロイ・ロジャース」は、歌うカウボーイとしてTVスターになりました。因みにエルトン・ジョンの傑作2枚組アルバムの「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」に「歌うカウボーイ ロイ・ロジャース」という曲入っています。大好きな曲です。
フォスターは、偉大な作曲家でしたが、当時は今のように音楽著作権や印税が確立していなかったため貧困のあまり家族も失い、失意の中37歳で亡くなってしまったようです。