『どうぶつふっかつテレタビーズ』虹釜太郎
使いふるしたタオルを持ったまま息絶えるテレタビーズ。おなかをごっそり抜きとられたテレタビーズたちがいる施設がある。
うっすらと脳が灰色に近い真っ白になってるなあというのは寝ていないあいだかなり無呼吸が続いてるからかもと思ったらすでに死んでいた人間の盆時間半鐘の地でのすべてのものから色が飛んでいるある時間を乱暴に想起するつまらなさの繰り返しでそれは人間のあいだでよく反復されることだけれどテレタビーズの場合は長い間おなかの放映が止んだり、ときにはモニター自体がえぐりとられていたり腐っていたり、ある放送の濃度、その楽観的な受信の濃度がなんらかの原因で空気中から一定割合低くなり過ぎていると、彼らの永遠に続くかのような遅知覚やたのたのした行動群、そしておなかを中心としたぼんやりのぼやけ組合のあらゆる結晶化からのぼんやりした退行全体のほごほごしたらくだの動きたちは以前とは大きく変わっていって、それは人の脳がぼーっと死んでいくような百態とはぜんぜん違うあまりにたくさんの緩慢なぼやけあいの干潟の底のはじまりだった。
なんらかの原因によりおなかの放送がまったく止んだ個体は、緩慢でとろい動きがなくなっていって次第に攻撃的に速い動きになるわけではなく、しかし彼らの横を動くものへの視線はどんどん速くなっていったりもし、モニターがえぐられた個体は他のまだモニターを持つ個体の動きや人のこどものそれをミニチュア化して踊り倒す仕草の干潟のまわりをすみかとする虫を真似た動作をし続け、そうしている彼らの顔にはいままでみることのできなかった皺がつぎつぎよっていることもあるし、モニターが腐っているものはあきらかに平らである部屋や外でもどこでもなにかある一定方向に急斜がついているところに急いで近づき遠ざかって、彼らなりにとびきり急いではらばいになってずりずりずりずり落ちていってしまいそのまま帰ってこなかったりする。
そうしてそれにつられて医師たちもずりずり自然と身体が動いてしまうこともあるにはあるが、その傾斜をずるずるすべり落ちる、ときにはのぼり坂でさえずり落ちている彼らのぜん動をおもいだすとふと医師の身体も硬直する。
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