2020/7/5 ドロステのはてで僕らとか
●今日は映画館ハシゴDAYでした
●1本めはもののけ姫。
個人的にジブリは意味わからないから苦手なんですが、映画館で見たことは一回もないので見てみた。
「意味わからないから苦手」ってかなり雑な偏見だけど個人的には真理だと思っている。ジブリって「神話」っぽくて、「物語の祖」って感じがする。
たとえばアダムとイブがりんごを食べた…というところの「りんご」は別にミカンでもブドウでもいい。「なぜりんごなのか」という問いには一切答えない。チェーホフの銃的な意味のもたせ方を全くしない。
ただ、神話においてそれはなんの問題もない。
だってそれが祖だから。
神話のあとに作られる物語にはりんごに「禁断の果実」とか「楽園追放の予感」とか意味をもたせられるけど、じゃあなんでりんごにそんな意味が???と聞かれたら「神話がそうだから」としか言いようがない。
りんごと楽園追放に物理的なつながりは一切ないけど、神話が芸術的なつながりをゼロから作っている。
で、ジブリもこのゼロイチ型の物語だと思うんだよな……
もののけ姫においても、シシ神が夜はデイダラボッチになる理由とか全くわからない。伏線を為す設定でもない。「そうだから」としか言いようがない。
だからジブリの”影響を受けた”物語を見て比較するのは楽しいけど、なにかに意味を見出すのが好きな自分にとってはジブリそのものの面白さは見いだせなかった……
ただ、別に映画の面白さは理屈の部分だけでない。音や景色とか右脳的な楽しみ方もできるはずで、そのエンタメ性をMAXにしてるのが映画館だと思う。ということで、映画館で見たら僕でも楽しめるんじゃないか!!
結果、疲れた。
まず、音がでかすぎる。
話のスケールがデカイので仕方ないけど、ちょっと不快なレベルだった。
で、やっぱり自分は考えずに感じるのが無理な人間で違和感あるシーンがあるとすぐ即興で考察してしまう。脳も疲れた。
ラストの「ともに生きよう」のシーンは良いな~!!!!と思った。「ともに」って同居って意味ではなくいんだよな…結局混ざり合うことのない二人だから。
なので世間ほどは感動できなかったと思うけど、「生きます!!!!!!!!!!!!」という気にはなる。
これ参考になったな。もうジブリは考えて見るのが無駄なんだと思った。
エボシがサンの親説は確かに思ったけど、劇中に答え合わせが全然ないからなんやねんとなったんだよな。でも「なんやねん」で正解なのだと。
●2本目は「ドロステのはてで僕ら」
ヨーロッパ企画制作の映画。一部界隈でカメ止め的な話題になってたんだけど、たしかにめちゃくちゃ面白かった。
何も知らずに見たほうが良いので抽象的なことしか書かないけど、とある小道具がまじで大発明。こんなおもしろいシステムあるんだ……
あとこれ演劇でやっても面白いだろうなと思ったけど難易度高すぎるか。
何回もやり直せる映画だからこそできた、ある意味奇跡の一本。
演劇って「一回きりしか見られないプレミア感」が長所にされがちだけど、同じ公演何回もやるから本当に一回しかできないことは演劇じゃ表現できない。撮り直しの概念がない分ある程度”簡単な”ことをやらなきゃいけない。
でもこの映画がすごいのは、ワンカット(演劇的な手法)をやってるのにめっっっっっちゃ難しいことをやってのけてるということ。正直粗はあるというか「ここおかしくない?」「ここは説明してくれないんだ」ってなる要素はあるんだけど、もう”やった”という事実がスゴイ。
話の面白さと同時に、奇跡的にめちゃくちゃ難しいことが実現した瞬間が見られる凄みもある。