2020/7/8 アイ・トーニャとか
●実話をもとにした映画「アイ・トーニャ」を見た。
トーニャ・ハーディングという超やばいフィギュアスケート選手の話。
正直世界仰天ニュースでこの話は知ってたんだけど、周りの環境もこんな悪かったんだ…と思った。やっぱり悪い人は悪い環境が作るんですよ
作中の人物にすら「登場人物全員バカ」と言われる始末だけど、ラストには希望を感じた。人間の根本は絶対変わらないんだけど、だからこそ「天職」とか「運命の人」は存在すると思う。
●前にも書いた京大の無料講座を見た。
「メディアとコミュニティ」と「パンデミックの倫理学」を聞いたんだけど、2つとも面白かったなー
前者は「災害が社会の闇を暴く」話が良かった。
緊急事態のときには理屈じゃ説明できないような人間の行動がいっぱい出てくるけど、冷静に社会や歴史を見つめたら絶対理由がある。
「俺コロナおじさん」とかも結局余命僅かな人だった…みたいなオチがあったけど、「出来事”だけ”を見る」って結構危険なことだよな
異常行動と思いきや、資本主義に打ちのめされた高齢男性の命が最後にきらめく瞬間だったのです……
後者も面白かった。法律がどこまで人を規制できるのか?という話、まあとにかく見てくれ!!
●「呪怨」がポリコレ的観点から批判されているらしい。
問題点は
①出てくる女が美人すぎる
②女のお茶くみシーンが多すぎる
③被害者が全部女
④無意味なエロシーンが多すぎる
正直自分もこういうの気になっちゃうタイプだけど、呪怨にキレるのは違うだろと思う。
まず①は絶対おかしい。アホ。顔面に文句つけるのってもう「ブス」って言ってるのと同じだと思う。いくらホラーの世界だからって美人が生きてちゃダメなことはないだろ。
問題は②と③。
結論から言うとOKだとは思う。
自分の中の線引きでは、映画内で倫理的に問題があることが描かれること自体は何も思わない。ただ、それを「正しいこと」または「美しいこと」として描いたらアウトだと思う。
たとえば、「のぞき」を青春の1ページみたいに描くのはアウト。なぜなら性犯罪だから。しかし「性犯罪」として描いて加害者の人生が堕ちていくとかなら全然OKだと思う。
もっと具体的に言うと、新海誠作品はこの気があるので苦手。
しかし、「呪怨」は全てを「呪い」として描いていて、同時に平成の闇をあぶり出すというコンセプトでやっている。つまり描かれることは全て「闇」なのだ。
女にお茶汲みさせるのも弱者ばっか殺されるのも、この「嫌な感じ」の演出のためわざとやってると思う。何も知らないオッサンが「女だから殺したれ笑」って脚本書くわけがない。
もっと言えば、この話は舞台が平成初期である。
なら「価値観を古く感じる」は「時代考証が完璧」であることの証拠ではないか。1995年のくせにポリコレ完璧な世界って逆に気持ち悪い。
あと「鬼滅の刃」とかも見ててたまに思うけど、時代設定を近過去にしちゃうのってポリコレ対策として結構有用だと思う。コレクトじゃない時代の話なんだから間違ってて当然なので。
もちろんそれでも今の価値観で見たら不快になりうるのは変わりないけど、だからNetflixなんじゃん!!!!
地上波でやってから文句行ってくれ!!!!
で、まあ自分もちょっっっっっっっとは気になったのが④。
ただこの指摘で指されてるエロシーンって「娼婦が仕事してるシーン」なんだよな。しかも裸が映ってるわけでもない。だから許容範囲です。
さらにこのシーンは実際に起きた東電OL事件の再現でもあるので、下手に娼婦設定を変えたらなんの再現かわからなくなる。
で、「なんの再現かわからない」状態こそ「無意味」だろと思う。
平成の犯罪史を振り返る目的もあるんだから、事件の原型はとどめとかないと目的を失ってしまう。
何度も言うけど「君の名は」のほうが10000倍ヤバいと思う。地上波でも流れてるし。
●「ロスト・ボディ」を見た。
「よく騙したな!」という印象
これはダブルミーニングで、①展開のミスリードが巧い②脚本が粗だらけなのを隠すのが巧い の意味を含む。
まあ①は細かく言うとネタバレになるけど、とにかく展開が怒涛。怒涛すぎて「えーーーー!!!!」となっている隙に脚本の粗を全部忘れてしまう。
鑑賞後すぐの感想は「すご!!!」って感じなのに、後々考えると「いや、あれはやっぱおかしくない?」「そんなうまくいかなくない?」ってことがポンポン浮かんで来る。でもそのときには映画はとっくに終わっていて、映画の「見せ逃げ」って感じ。
2つの意味で騙されました。