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読書感想 | プロデュースの基本(木﨑賢治著)

私の仕事は地方公務員です。
公務員の仕事って、端的に表現すると(カッコよく言うと)なんだろう、もし転職するならばこの仕事で得られる自分の武器ってなんだろうと考えました。

ソファで自己啓発本を読みながら、ふと一種の「プロデュース業」ではないかと思いました。(プロデュースって響きがかっこいい!笑)

そこで、なにかのヒントになるのではと思い、「プロデュースの基本(木﨑賢治著)」を読んでみることにしました。



読みやすかったです!

著者は、沢田研二からBUNP OF CHIKENまでそうそうたるアーティストをプロデュースしてきた音楽プロデューサーです。
ものづくりの考え方やコミュニケーション術など、あらゆる職種で応用できる仕事術が書かれています。

著者の子どもの頃の経験や実際にあったやりとり、身近なもので例えを出してくれるので、なるほどと納得しやすく、惹き込まれる本でした。
著者の人柄や仕事への姿勢をイメージしやすかったです。

また、大見出し、中見出し、小見出しで見出しをたくさん使ってくれているので、途切れ途切れに読んでも内容を理解しやすかったです。

ただ、出てくるアーティストが、沢田研二やアグネスチャンなど名前は分かるけど曲を知らない人達が多かったです。世代ががっつり合えば、もっと面白かったんだろうなと思いました。

ものづくりの考え方に感銘を受けました

まず自分がいいな、ぐっとくるなと感じることが出発点。好きだな、いいな、と感じることは誰にでもあるはずです。ですが、自分がいいと感じたものをつくりたいと思う衝動があるかないか。そこが大切なポイントだと思います。

18ページ

第1章のあたまの文章です。

自分がいいなと思ったら、なぜいいなと思ったのか、自分の好きを「分析」すること、そして、いいなと思った自分の「感性」を強く信じ続けることが大切だと言っています。

とにかく自分の「好き」を分析することです。どうして自分はこれが好きなんだろう、と。それを考えているうちに、答えはいつか見えてくるものだと思います。

24ページ

こんなふうに強く信じ続けられる人は稀です。自分の感性を信じ続けることは、本当に難しいからです。だけど、信じなければ成功はおぼつかない。うまくいかない人はみんな、自分の感性を疑いながらやるからなんだと思います。

37ページ



マンガが好き、スイーツが好き、洋服が好き。私にもたくさんの好きはありますが、自分で作りたいと思ったことはほとんどないなと気づかされました。
仕事においても、業務分担で決められた業務をこなすばかりで、これいいな、と思っても自信が持てずに発信できずにいました。

また、いいなと思う感性を大切にしろという言葉もささりました。私はどちらかというと、他の人は同じように感じないだろう、一時の感情かもしれないと、自分の感性をないがしろにしてきた節があります。

感情的なものは、信じにくいと思っていたので、目から鱗の教えでした。

ただ、信じぬくためには、共感してもらうためには、理論も必要だと。自分の感性を分析して、論理的に説明できることが大切なんですね。

人間がつくるものは誰かが何かを意図して、その結果として完成しています。服でも時計でも、何でもそう。

38ページ

筆者は子供時代、「なんで」という言葉を連発する子どもだったそうです。今でもかっこいいものを見つけると「どういう発想の基に生まれたのか」と気になるとのこと。
普段から疑問を持って想像して考えることで、私にもものづくりのマインドが生まれるのかなと、少し期待の気持ちになりました。


ものづくりの法則

「新しいもの」とは新しい組み合わせのこと

45ページ

いいものにはだいたい定型があります。そのなかでいかに個性を表現していい作品をつくれるか、それが大事です。

80ページ

斬新なものも中身を分解すると既にあるものの新しい組み合わせであり、「ふつう」の中から生まれてくるのだと。


0から100を生み出すのではなく、10×10で100を作ればいいんだと思うと、新しい企画を考える上で、とっかかりのハードルが下がりました。
実際には、それが一番難しいそうですが…

斬新なものを作り出すには、全く新しい何かを見つけ出さないといけないと頭が凝り固まっていたので、自分の新しい指針となる考え方でした。

正論で人は動かない

一癖も二癖もありそうなミュージシャンやクリエイターを相手に仕事するのは、イメージするだけでも気を遣うだろうなと思います。

筆者は、人を動かすためには、感情的な面でもアプローチが必要で、そのためには相手を認めること、平等に扱うべきだと言っています。
特に交渉においては、感謝の気持ちを持つことが大切。直接に感謝を伝えなくても気持ちがあると言葉のトーンにのってきて相手に伝わるんだと。

また、上司にNOと言われて、相手に断りや急な変更をお願いしければいけない時は、「自分はそう思っていないけど、上司に言われたから…」と上司のせいにするのではなく、「自分が」といわなければいけない。上司を説得できなかったのだから、自分は上司と同じ意見であることにしないといけない。責任を負う必要があると言っています。

コミュニケーションは逃げてはだめだと感じました。また、どんな相手でもまずは受け入れる余裕を身につけないといけないですね。
仕事で関わる人は友達ではないと思うと、嫌なことがあっても割り切れる一方、配慮しない物言いになっていることがあるだろうなと思います。コミュニケーションはどちらかというと得意と思っていましたが、まだまだ考えさせられます。


プロデュースと公務員

公務員の仕事が一種のプロデュース業ではないかと思った理由として、調整ごとは多いけれど、実際の作業は少ないと感じたからです。

例えば、地域のお祭りイベントをする場合、各ブースは自治会など地域団体にお願いして、チラシは印刷業者にお願いして、テントは設営業者にお願いして、ステージ進行は司会者にお願いして…というように外部にお願いすることが多いです。
企画が決まれば、外部に協力を依頼し、打ち合わせや連絡調整を行い、イベント当日は進捗チェックやトラブル対応をします。

この本を読んでみて、プロデュース業と公務員業が自分の中でがっちり合ったわけではなかったですが、新しい発見がありましたし、純粋に面白かったです。

以上、読書感想でした!



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