(全編無料)環境デッキと見る遊戯王マスターデュエルの歴史 6月上旬~7月上旬編ー破壊混沌渦巻く世界にシスターが現れたー
はじめましての方ははじめまして。
第3回となる遊戯王MDの歴史は6月~7月をお送りします。
個人的な理由のため、2ヶ月毎だったのを1ヶ月毎にします。
リミットレギュレーション改訂は…ありませ~ん!
例によって、何かありましたらコメントを下さるとうれしいです。
新パック実装
今月も例によって新規カードと新規テーマが実装されることとなりました。そのパックがこれ
ブレイブリー・ウィングスです。今回はこの1パックのみとなります。
ちなみにブレイブリーとは勇敢な、という意味で、ウィングスはご存じの通り羽根です。この名前ですので、最初多くのデュエリストはふわんだりぃずと勇者が実装された!?と驚きましたが、まさかの全く関係ないパックでダブルで驚くこととなりました。
このパックでは代行者、レプティレス、ヴァレル、ヴァレット、マギストス、ホーリーナイツと多くの既存テーマの新規が含まれており、マジックシリンダーとそれを活用できるリローデッド・シリンダーが入っていたりと鴻上了見ことリボルバーを意識したカードも同時に実装されています。ちなみに、リボルバーはマジックシリンダーは使ってもリローデッドシリンダーは使っていないらしいです。
そして新規に追加されたテーマがこれです。
エクソシスター:レベル4を主体としたエクシーズテーマながら、相手の墓地のカードが移動するという発動条件を満たすことで、十二獣のようにレベル4モンスター1体でエクシーズ召喚できるというテーマです。相手カード除外などのギミックを持ち、加えて相手の蘇生に合わせてエクソシスターを呼べるカードを発動することで、展開と妨害を同時に行うことが出来るのが特徴です。
このころのOCGはまさにティアラメンツ時代、そしてOCGでは墓地利用デッキのメタとも呼べるエクソシスターがちょうど環境で戦っていました。OCGで環境を走っているテーマということで人気もあり、またカワイイ女の子のイラストのため、イラストアドも高いと多くのデュエリストから厚遇を得ました。ただ、エクソシスターのキモとも呼べるマルファはまだ未実装であり、正直安定性という意味ではまだ高いとはいえませんでした。
また、新規カードとしてナイトメア・アドミニストレーターが実装されました。MD実装時ではまだOCGで発売されていないカードでした。OCGよりも先にカード名と効果が判明したことで、「MDでは海外先行実装があるかも」という期待がデュエリストの中で膨らんでいきました。
リミットワンフェスティバル開催
今月もイベントが開催され、今回はリミットワン、つまりすべてのカードが1枚づつしか入れられない所謂ハイランダー構築を強要されるフェスとなりました。1枚で高いパワーのカードを出せたり制圧能力の高いユニオンキャリアー・アナコンダ・フューデス・スキドレなどは軒並み禁止となりました。
全てのカードが1枚しか入れられず、どうしても初動の安定性などもかなり落ちやすいものとなります。故に、構築の段階でどのようなエースを予想しそれをいかに安定して出せるよう展開するか、あるいは初動札を増やすかに頭を悩ませることとなりました。
環境主流デッキ
幻影騎士団:1枚初動というデッキではないが、レベル3モンスター2体から展開をすることが出来る。レベル3には特殊召喚しやすいモンスターが多く、それらを活用することで安定してレベル3を2体供給するという形にすることで安定性を抜群に高めました。
オルフェゴール:終末・増援・スクラップリサイクラー・リサイクラーをサーチできるラプター・ラプターをサーチできる化石調査とスクラップエリア・おろかな埋葬と他のデッキより1枚初動がそろっており、またオルフェゴール自体が墓地利用デッキということで1枚から動けるため、高い安定性とそこから繰り出される展開力が強みです。
壊獣カグヤ:本来ならカグヤのバウンス効果と壊獣の強力なリリース効果でアドをとる後攻デッキですが、カグヤのサーチも安定せず壊獣も引ける確率が低いため、壊獣カグヤというよりはレベル8モンスターを並べてラビオンからヌメドラを狙うレベル8GSによる後攻ワンショットキルデッキという感じです。
鉄獣戦線:LLや十二獣要素を詰め込むことで無理やり回るようにした型です。エクシーズ故にアーゼウスも採用しやすく、十二獣の共通効果で複数回のアーゼウス発動が出来るなど盤面リセット能力が高いのが特徴です。ただ、リボルトも1枚しか入れられないため、リソースコントロールが通常よりかなり難しくなっています。
エルドリッチ:エルドリッチ罠自体が相互にサーチ(セット)し合うという関係で安定してエルドリッチにアクセスし、サモリミなどのメタカードをふんだんにいれることで妨害しながら戦うことが出来ます。一部では真竜ともまぜて真竜エルドとかもあったらしいです。
天威相剣:基本の天威相剣とはかなり違い、天威・相剣・電脳・竜星を中心とした幻竜族GS感の強いデッキです。構築によってシンクロ型や蘇生できる機械族を活用したバリラドン型などがありました。構築の幅が広く、どのテーマに寄せるかでかなり構築が変わるため、個性の出やすいデッキでもありました。
魔術師:EM・魔術師・竜剣士などのペンデュラムGS感が強いデッキです。EMと魔術師の高いサーチ能力、竜呼相打つとエレクトラムによる高いアドバンテージ獲得能力が魅力です。P特有の最低初動枚数の多さはありますが、初動の幅が広いため見た目より事故は少なく、エレクトラムに到達さえすればいろいろ動ける強みがあります。また、スケールさえ維持できれば次ターンも動けるのが便利です。
リミットワンフェス環境考察と所見
リミットワンフェスを語るうえで忘れてはいけないことが2つまり、1つがすべて制限カード故に初手事故が多発しやすいということです。そのため、多くのデッキが単一のテーマで安定した展開をするのが難しいと言えます。日頃は安定性が高いと言われているようなテーマも、その初動とそれをサーチできるカードなどを3積みすることで安定性を高めています。しかしこのフェスでは、初動枚数の少なさよりも、初動となりうるカードの組み合わせの多さが要求されるということです。
そして2つ目が手札誘発はほぼ期待できない点です。上述した通り初動が安定しないため多くのデッキが初動に成り代わりうるカードを優先する上、手札誘発もピン刺しのみのため、投入枚数の少ない手札誘発を引けるのは相当な上振れと言えます。故に、先攻にとっては初動がそろってさえいれば安心して展開しやすいということです。
これを踏まえたうえでの環境考察となります。
初動の安定性、妨害力なども踏まえて環境上位と言えるのは、レベル3さえ並べば展開できる幻影騎士団、1枚初動の種類が多い故にサーチカードも積みやすいオルフェゴール、十二獣特有の安定性で強く出られる鉄獣戦線、後攻ワンキル故に勝ち負けがはっきりしやすい壊獣カグヤ(レベル8GS)ではないでしょうか。
オルフェゴールの強みはやはり1枚初動の種類の豊富さでしょう。スクラップ系統とそれのサーチカード、終末と増援などにより1枚初動だけでも9枚以上確保することが出来、特にスクラップ初動の場合のラプター・ワイバーン・ゴーレムからの爆発力のある展開性能は圧倒的と言えるでしょう。加えて、バベルにより名称ターン1のあるオルフェ効果がまるで名称ターン2のように感じられる墓地発動効果は強力です。墓地にリソースがたまってさえいれば、オルフェ効果でデッキ・フィールド・墓地・除外をぐるぐる回せるためにロングゲームにも対応できます。
同じく鉄獣戦線は初動の圧倒的安定性に定評のある十二獣をフル投入することで1枚初動を獲得するだけでなく、回らない手札でも先攻ならドランシア、後攻ならアーゼウスによる捲りと先攻後攻どちらでも妨害と除去を兼ね備えることが出来ました。リボルトが1枚しかないためリソースの管理は難しいですが、アクセスが立てやすくライフカットが早い事と相手の妨害が少ない故にリソースが切れる前に短期決戦に持ち込むことが出来たのも大きいでしょう。
逆に幻影騎士団は1枚初動と言えるカードはガイド以外ほぼありませんが、レベル3モンスター2体から動き出せるという初動幅の広さがありました。レベル3にはPUNKギミックやデスガイドによるデッキからのレベル3供給の他、サイコシリーズ、彼岸や未界域など特殊召喚しやすいものがかなり多く、高い安定性がありました。ブレイクソード→レイダーズナイト→アークリベリオンのコンボにより露払いをしながらワンショットキルを狙える高火力もあるなど隙の少ないデッキでした。
壊獣カグヤは本来相手の高火力や制圧モンスターを壊獣やカグヤで退けながらアドバンテージを獲得する後攻デッキですが、このフェスでは先攻がまず安定しないデッキが多いために後攻でも強く出られること、そして先攻で安定して妨害を置けるテーマが限られていることが有利に働きました。複数初動ではありますがレベル8モンスター2体からワンキルを狙えるため、特殊召喚しやすいレベル8を多めに入れて誘発量を減らしても安心して後攻からワンキルしやすいことがあげられます。加えてワンキル狙い一本に絞れば、対面の展開と自身の初手からワンキルできるかはすぐわかるため、勝てない場合は即サレという切り替えがしやすいのも受けの良さの一つです。
リミットワンというかなり独自のレギュレーションでイベントを行ったため、今までにない構築を求められるなど非日常的なデュエルを楽しめる場ではありました。たった1枚しか入れられない中でどれをエースモンスターにしてそれに安定してつながるためにはどういう構築にするかなど多くのデュエリストが頭を抱えたことでしょう。
しかしやはり問題になったのが、「結局限定的レギュで安定して展開出来て勝てるのは環境にいる、あるいはいたようなパワーのあるテーマしかなく、既存のテーマが活きない」ということでした。
実際フェス環境的に見ても、オルフェ・幻影・鉄獣共に日頃からパワーのあるテーマであり、極端な例ではありますがA・O・Jや霊獣、テラナイトなどのもともとパワーや安定性のないテーマはリミットワンの影響で余計に安定しなくなるだけでした。逆に日頃規制されている強いテーマはみな同条件(制限カード)に落ちてくるために規制があっても禁止じゃなければ相対的に強く出られるということでもありました。
環境が大幅にインフレ加速し手札誘発を多数積むことが当然となったリンク召喚登場以降、1枚や幅の広い複数枚初動を持つ高い安定性かつパワーあるデッキや既存テーマの新規カードが大幅に増えました。その結果、それ以前のテーマと新規テーマでは一線を画す強さの差があり、フェスの限定的環境であっても、逆に限定された環境だからこそ、古いテーマや現代遊戯王にふさわしい新規を貰えなかったテーマは戦い抜くことが難しくなりました。
それ故にリミットワンフェスなのに対面でよく見るのはランクマでも見るようなテーマばかりであり、「ランクマの延長」と揶揄する人もいました。
しかし、リミットワンという特性上真竜自体はかなり数を減らし、真竜を見なかったことに喜ぶデュエリストもいたりしました。逆に言えば、コンセプト外から勝ちをさらっていく真竜がそれだけ嫌われていたという見方もできます。今回はテーマやコンセプトこそありませんでしたが、今後も真竜はどうなるか、どう規制するのかは注目の的であるということでもあります。
6月上旬~7月上旬環境考察
環境考察なんて書きましたが、最初に記載した通りリミットレギュレーションの変更はなかったために環境的な変化は新規カードのみになりますので、そこを少し掘り下げたいと思います。
まず新規テーマとして名乗りを上げたエクソシスターですが、ちょうど2022年6月はOCGで最悪最凶テーマのティアラメンツ環境と呼ばれており、エクソシスターは微力ながらも墓地メタという点で環境で抗ってはいました。しかし、残念ながら前述の通りこのころのMDのエクソシスターには最強の初動であるマルファが存在せず、エクソシスターは安定した1枚初動を持ちませんでした。エクソシスター自体下級モンスターが特殊召喚効果などを持ってはいますが、特定のモンスター同士の繋がり(効果適用的な問題)があり、なんでもかんでも初手エクソシスター2体から出せるというわけではありませんでした。
このころのシスターは基本レベル4を2体並べてミカエリスでバディスをサーチ、相手の墓地活用に乗じてバディスを発動するのが多かったです。他のテーマでは先攻以外では使いにくい俊足なカバ バリキテリウムを活用することが出来るのは大きな利点ではありましたが、マルファ・リタニア・マニフィカという現代エクソシスターから見ての強みが全て未実装であり、上述の安定性のなさからも現環境段階で使ううま味はありませんでした。バディスへの依存度が高い上にミカエリスが相手ターンのころにはただのバニラということもあり、バディスにうららを打たれたら妨害がほぼなくなってしまうという弱点があまりにもわかりやすいです。
他の新規カードもテーマを環境レベルまで上げるほどのパワーはなく、基本的に6月環境は5月とほぼ同じであると言えるでしょう。5月環境の詳しい内容は前回の投稿を見てください。
おわりに
リミットレギュレーションの変更がないために、環境に対する変化はありませんでした。新規のエクソシスターも弱点がこのころは多く環境には届きませんでした。ただ、未来実装されるであろうティアラメンツ自体を予想し、そしてイラストアドの高さからエクソシスターを集めるデュエリストは多かったです。
遊戯王の人気テーマは強さではなくイラストだとよくわかります。
例によって有料区間にはうちのぬこの写真1枚以外何も記載はありません。
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