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日本には何が必要なの?

過去記事に現状の日本を示したグラフ、貨幣の流通速度の重要性について書いてきました。

この2つの記事で重要なのは以下の通りです。
①量的経済対策の限界
②貨幣の流通速度の重要性(マーシャルのk)
③人口動態の変化(高齢化&労働人口の急激な減少)
④社会保障費の増大(年金、医療費、介護費)
⑤慢性的な労働力不足

これら5つの要因から導き出されるのは以下の通り。
①賃金の自然増(上記⑤要因)
・労働年齢層が減り、慢性的な求人争いで賃金は上昇する。
②中小企業の淘汰
・労働者が確保できない中小企業は自然淘汰される。
・すでに跡継ぎ問題が表面化している。
③GDPの低下
・中小企業の淘汰で、GDPの伸びは期待できない。
・また、消費者としての人口減、高齢化で若い消費中心人口が減るため、GDPは低下
④第一次所得収支増加(海外子会社の配当など)
・大企業、中規模企業は労働者と新しい市場を求め、海外移転、海外子会社、工場に走るしかない。このため、第一次所得収支は増加すると予測。

じゃぁ日本はどうすればいいの?

少子高齢化対策やDXで生産性向上とか観光に力を入れるなどは当たり前の対策です。当然やらなくてはいけないです。なので今日は視点を変えます。

積極財政、MMTの方がよく言う、需給ギャップ、GDPギャップについて今回は検討してみたいと思います。

日本で公的なGDPギャップは2つあります。内閣府が発表するものと、日銀が発表するものです。これが結構違うんですね。
GDPギャップとはWIKIPEDIAを引用すると下記の通りです。

産出量ギャップ(さんしゅつりょうギャップ、output gap)とは、経済学において、潜在産出量(潜在GDP) と実際の総産出量 (actual output) の差である。GDPギャップ(GDP gap) または需給ギャップとも呼ばれる。

ギャップは%で表す。+なら期待以上の成長。ーなら期待以下の成長。

つまり現実のGDPと潜在GDPの差です。日本で公的なGDPギャップは2つあるのはこの潜在GDPの算出に違いがあるからです。結構違いますよね↓

どうして違うのかは、詳しくここでは述べませんが、内閣府の潜在GDPは過去GDPのトレンドを少なくとも含みますが、日銀は純粋な産業の稼働を見ています。私は日銀の潜在GDPの計算の方が理にかなっていると考えています。詳しくはこちらを。

私の本音を言えば幅を持たせるため、異なる推計方法で2つのGDPギャップを公表していると思います。未来を予測するのは簡単ではないですからね。😅

GDPギャップから日本のすべきことは何かを考える

上記は経済産業省の業種別統計データから伸びの期待できる(実際に伸びている)業種のみをピックアップしたものです。興味のある方は下記リンクから覗いてみてください。ただし、膨大なデータのためご注意を。

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/excel/b2015_ITA_linkj.xlsx

大きく分類すると下記に分かれます。
①IT
②医療福祉
③ゲーム
④金融・クレジット(銀行を除く)
⑤自動車レンタル
⑥インバウンド(外国人旅行)

インバウンドはグラフを見て分かる通り実績が大きいので、説明は不要ですね。

①〜⑤もなんとなくイメージが湧くのではないでしょうか。少し分かりづらいのは④と⑤でしょうか?金融クレジットは端的に言えばキャッシュレスとEC要因です。自動車レンタルは、自動車を買わずに、必要な時だけレンタルする方や、カーシェリングが増えたということでしょう。

こういったビジネスが現在伸びている、そして将来も伸びると思います。こういう一つ一つの調査と検証が今必要なことです。もうマクロ経済でもなんでもありません。今の日本にはマクロ経済はいらないんです。こういった分野を探してマーケットを広げる。こういうきめ細かな作業と経済対策が消費を促し、貨幣の流通速度を少しづつ押し上げます。

他にはないの?なんか物足りない

そうですよね。これだけでは現状維持が精々。今の日本はこれだけでは伸びていけません。必要なのはイノベーションによる新しいマーケット創造です。

ここからは三菱総合研究所の資料を参考にしたいと思います。

どの分野が伸びる可能性があるのか、下表を使って見てみましょう。

10主要分野における15の将来シナリオ

冒頭に述べた下記の3つの課題を解決すること自体を、イノベーションにすることから考えましょう。

③人口動態の変化(高齢化&労働人口の急激な減少)
④社会保障費の増大(年金、医療費、介護費)
⑤慢性的な労働力不足

そう考えると、全ての案がなんらかの形でこれら問題の解決のためのイノベーションであると言えます。

下記の通り産業別、職業別の就業率を見ると医療福祉従事者が増える一方、製造業の従業員数がかなり下がる。製造業は日本の柱です。医療介護でAI、補助ロボット、在宅医療介護に軸にイノベーションを起こすことで、製造業の弱体化を防ぐことができます。そしてこの医療介護のイノベーションは世界中の高齢化の進む国へ輸出することができます。

産業別・職業別の就業者シェア

世界のイノベーション

最後に世界のイノベーションと日本を比較してみよう。イノベーションの最終形態は企業として利益を出し、持続可能な企業となることと定義するなら下記の通りである。

積極財政とは「現状を綿密に調査し、社会貢献と共に経済成長を促すことができる企業、業界を探索すること」そして「これら企業、業界に効率的に財政を活用すること」です。これによって需要が確約された分野へお金が流れ、貨幣の流通速度を上昇させることができます。量と速度の両方が上昇することで最も効率的にGDPを押し上げることができます。

ここにマクロ経済学の出番はありません。

終わり

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