これまで作ったMacまわりの自作ガジェットを紹介するよ
机まわりを少しでも快適にしたい。机自体の選択もそうだし、どんな周辺機器でコンピュータを囲むかによって体験が変化してくる。
筆者自身もMacと出会って以来、よりよい体験を求めて各社が出す新製品を人並みに試してきたのだが、時には存在しないものに対して物欲が湧いてくることがある。そんなときは自作しかない...!
これまで自作CMSの個人Webサイト“ひ to り go と”でいくつかの自作ガジェットを紹介してきたのだけど何年続けてもアクセスが伸びないし(正直)、記事が分散していて全体像が把握しにくい問題があるため今回は出張版としてnoteにまとめてみようと思う。
机の上の白黒液晶
筆者はわりと物持ちがいい。いまだにiPodをiPod Hi-Fiに乗せて目覚まし音楽プレーヤーとして現役で使っている。
そこで使うiPodは第三世代。カラー表示ができてより大きい液晶になった第五世代も持っているのにあえて第三世代を選んでいて、そこには理由がある。
普段は第五世代のほうが豪華なのだけど、
バックライトが消えた瞬間、見えない。第三世代の白黒液晶なら見える。
常にバックライトを点灯させておくのも目にうるさいし、ちょとした表示なら白黒液晶のほうが向いてるシーンって多いと思う。Macで音楽を聴くときにもこういう小さいディスプレイが欲しいな...
そんなことで作ったのがこのガジェット。
作ったといってもハードウェアとしてはSHARPの出してる白黒液晶パネルを“ちびモ”という制御基板につないでそこにMacからUSB経由で映像を送っているだけ。透明なカバーに内側から塗装してiPodっぽい透明感を実現。手作りだけどちょっとそれっぽくない?
映像そのものはmacOSが持ってるCore Animationというフレームワークで合成しているのでmacOSやiOSのアプリケーションを開発する感覚で好きな表示内容を作れるし、ちょっとしたUIアニメーションも簡単に実現できる。
iPod風の再生画面を表示したり
CPU使用率を表示したり。
ちなみに作ってから数年経過した現在、自力でやったちびモのはんだ付け作業が下手すぎたせいか電源が入らなくなってしまった。ちびモ自体ももう販売していないらしい。暇ができたら直したいと思う。
もうすぐ白黒液晶を採用した携帯ゲーム機“Playdate”も発売されるし、白黒液晶の価値が見直されていろんな製品が出てくるといいな。
MacBook Proが冷えて薄くなるスタンド
MacBook Pro 2019を買ったときにスタンドが欲しくなった。本体を机にじかに置くと視点が下がりすぎるし、当時はIntel CPU搭載だったのでMacBook Proをどう放熱するかが大きな課題。大きい放熱版で静かに冷やしつつ、同時に見た目もスタイリッシュにしたい。どうすれば...
そこで逆転の発想。スタンド自体を極端に大きくすれば逆に存在感が消えるのではないか。そこにMacがめり込めばMac自体の存在感も薄くなるのではないか。
大きめの板をMacBook Proの形で掘り、
ヒートシンクとファンを設置すれば…
できたよ! MacBook Proが冷えつつ、しかもMacBook Air並みの薄さになってる!
可動式パームレスト
机に向かうときの姿勢は重要。数分ならともかく長時間の作業にもなるとちょっとした体への負荷が蓄積して心配だ。
昔から世の中にはこれを問題提起する人がいて、その結果、両手が左右に分割されたキーボードとか天板が昇降する机が生まれた。
いやいや、まだ解決されていない問題がある。筆者が気になったのは「2つのホームポジション」である。
「キーボード操作」と「マウス操作」するときで誰しも片腕を行き来させているのだが、するとどちらかで両腕が左右非対称になってしまうではないか。人間の体は基本的に左右対称の姿勢が好ましい。しかも移動の負荷も蓄積すればばかにできない。このままではいけない...!
思いついた解決策は単純で、「キーボード・トラックパッド・左手」「右手」の2ブロックに分け、それぞれが独立してスライドすれば両腕が常に左右対称を維持できる。各腕の移動距離も半分になり負荷が軽減されるはずだ。トラックパッドを触るときには左手で修飾キーを押せる。
スライドレールを購入して自力で組み立てたのがこれだ。
動く様子をビデオ撮影したので見てほしい。肘を置いている部分は市販品のアームレスト。
可動式パームレストV2
可動式パームレストによって常に左右対称な両腕を実現できた。自慢するような気持ちでこの作品を人々に見せたところ誰もが「あ、うん...(この話題に触れてはいけない)」みたいな反応。なんだろう、あまりに無骨で負のインパクトが大きいらしい。
“冷えて薄くなるスタンド”で学んだことがある。めり込めば存在感が消える。レールだってそうだ。さっそく鑿でせっせと溝を掘って天板にレールを埋め込む。
ほら、だいぶかわいくなった。優しい木目でレールの存在感が緩和されたのはもちろんのこと、左手の連結部にあえて透明な素材を使用したら原理不明な感じになって気に入っている。木材と金属で構成されている全体とのギャップのせいか何も存在しないように感じるはずだ。
スライドレールそのものもより短くてスムーズに動く部品に変えたからコンパクトになり重かった使用感が改善された。慣れるとほとんど両腕の力を抜いたまま2つのホームポジションを行き来できる。
天板にレールを埋め込んですっきりと生まれ変わったこの作品についてはデスクをすっきりさせるマガジン主催者のGo Ando氏も一言だけ反応してくれた。大変光栄なことなのかもしれない。2020年5月のことである。
宙に浮く可動式パームレストV2
初代という試作を経て作られた可動式パームレストV2は完成度が高い。ある日、机に置いて使っているときにふと気づいた。「あれ、これだけあればよくない?」「机ってなんのためにあるのだっけ...」
これ単体で空中に存在すればいいけど机みたいな脚をつけると邪魔になる。重いものをスタンドなしで浮かすって聞き覚えがあるな... ディスプレイアームだ!
そんな思いつきでディスプレイアームにくっつけたら大正解だった。1万円を超える高級な製品になると重いディスプレイが軽い力で自由な角度にすいすい動かせる。それがキーボードにも相性抜群なのだ。姿勢の変化に合わせて頻繁に位置を微調整できるから、むしろディスプレイよりも実力を引き出せているのではないかとすら思う。
もちろんこれらの製品はそんな使用方法を想定して売られていないので自己責任でやっているのだけど、ディスプレイアームの先にキーボードを乗せたような見た目の製品が売っていることを後から知ったのでそこまでおかしい発想でもないのかもしれない。
こちらも“冷えて薄くなるスタンド”とともにビデオにしてあるのでぜひ見てほしい。
その後、GoProマウントでの拡張に対応させたりと進化を続けている。木材は加工しやすいのでアイデアをすぐに形にできるのがいいですね。
さらにパームレスト部分をバード電子が出してるセパレート型パームレストに交換したらより洗練された見た目になった! YouTuber のなおしまさんの声を反映した新色らしいのだけど、ロゴが入ってないからピッタリだったのだ。
そしてなんと、そのなおしまさんに反応いただいて幸せすぎる。
なおしまさんはただ買ったものを紹介するだけの YouTuber ではなく後傾デスクを半自作するような DIY 魂も備えた人なので一見の価値あり:
宙に浮く書見台と譜面台
ディスプレイアームで浮かせる作戦があまりにもうまくいったため、調子に乗ってMac関係なくいろんなものを浮かせてみた。
ここまで姿勢に合わせてくれる書見台がかつてあっただろうか。(大げさ)
姿勢が自由になったおかげで以前より読書に集中できる。角度を浅くすればiPadでの作業も快適だ。
必要なときには使いやすい位置に伸ばせるし、邪魔なときにはひょいとどかせる。以前から「狭い部屋を最大限活かすためには部屋が変形するしかない」と思っていたのだけどその理想に近づいた気がする。
正直なところ工作そのものは特別好きではないし既製品で済めばそれでいいと思っているのだけど変な物欲が湧いたらまた何か作ってしまいそうだ。そんな人生。
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