エルの店(9)
エルさんの店は「脚」に関する店だった。
靴下や靴もあるが、脚のケアやネイルもしてくれる。
ダサくて陰気な17歳の私は、エルさんに言った。
「私は、私を変えたいのです。お勧めはありますか?」
私の言葉を聞くと、エルさんは
「うちは、脚に関する本も置いているの。」
そう言って、この本を持ってきた。
「このお話を知っている? あなたが変わるのに役立つと思う。
ピッピは左右違う長靴下を履いているの。
ピッピにちなんで、左右違う長靴下を お勧めしますね。」
赤い靴下も素敵だけど・・・・・
ほら!このトランプ柄の靴下も素敵!
そして左右別々に履いてみると、ああ、楽しい!
思わず笑顔になれそう。 どう?
私はすべてに大満足で、長靴下と本を購入することにした。
エルさんは、
「本はサービス。」
と言って代金を受け取らなかった。
私はエルさんに、この店に入ることが
「死ぬまでに実行したい100のこと」その1だったと打ち明けた。
「なんて素敵なチャレンジでしょう。あなたの幸運を祈りますよ。」
こうしてダサくて陰気な17歳は、
エルさんに背中を押してもらって、次の冒険に乗り出すべく店を出た。
つづく