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【レビュー】『ニューエクスプレス ウズベク語』(白水社)

今日、練習問題も含めて全ページ一周しました。これからまた何周かしますが一旦ここで感想をまとめたいと思います。

結論

最初の一冊には最もおすすめです。
そのまま旅行で使える表現が多いので、ウズベク語のほんのさわりだけわかればいい、というライトな層の要望にも合うと思います。内容がページ数(155ページ)の割に濃く、基礎文法を一通り知りたい人にも適しています。
紙面の都合だと思いますが、文法解説は短いです。『大学のウズベク語』方がわかりやすいかもしれません。しかし大学〜の方は文法解説だけで、文脈のあるテキストがありません。どちらか一冊だけならニューエクスプレスの方が実用性は高いです(そのまま使える表現が多く、文脈があるため覚えやすいという意味で)。真剣に学びたい場合は両方買って損はないです。


日髙晋介 著『ニューエクスプレス ウズベク語』

白水社、2024年1月発行
4180円(税込)

1課の構成(全20課)

1ページ目:左ページに会話文のウズベク語テキスト。
2ページ目:右ページに日本語訳、ピックアップ表現、単語リスト。
3〜4ページ目:文法の説明
2課につき1回、見開きで練習問題がある(動詞活用、作文、翻訳、リスニング)

購入した目的

最初の目的:ウズベキスタンに旅行に行くため。旅行で使える表現や基本文法を覚えたかった。
現在の目的:B2レベルが目標のため基礎固めに。

1冊終えるのにかかった時間

1か月半。(中断期間を含めると3か月半)
最初の10課はさほど文法も複雑でなく、事前にYouTube動画(1か月でなんとな〜くマスターするウズベク語)で学んだ内容の復習にあたるため、2週間ほどでさっとさらえました。後半の10課は旅行から戻ってから着手し、休み休み取り組みながら1か月以上かかりました。

個人的におすすめの進め方

もちろん最初から順番に進めていくのが理想ですが、挫折しそうになった場合、次のような進め方がおすすめです。

①左ページの会話文を聞いて発音練習(できれば覚える)
②右ページの表現&単語リストを聞いて発音練習(できるだけ覚える)
③会話文に関係のある文法事項だけを確認する(あとは無視)
④20課まで終えたら、最初に戻って飛ばした文法説明も追加で確認する
⑤練習問題を解く

なぜ「挫折しそうになった場合」と縁起でもないことを言うかというと…私自身が最初にちょっと挫折しかけたからです。
なぜなら、文法のページでは、最初に提示された会話文に直接関係のない文法まで解説されているのです。正直に言うと、「この説明はなんのことだ…?」と最初戸惑いました(すみません……この本は大好きです)。
それで上記のような進め方でとりあえず先へ先へ進めていき、一回最後の20課まで先に本文(会話文)と関連する文法だけを確認しました。その後にようやく、飛ばした文法の説明も読んで練習問題を解き始めました。その頃になると、よく使うウズベク語の文法は頭に入っているので、他の文法解説を理解する心の余裕が生まれていました。

一番大事なのは、理解できなくても先に進めることです。最初から100%理解できる人はいません。

難易度

前半はやや簡単に思えました。ウズベク語は不規則変化が非常に少ないです。後半にいくにつれてやはり複雑になり、逐一覚えるしかない不規則変化もついに出てきます。
人称変化がある外国語を学んだ経験があれば、独習で一冊終えるのは難しくないと思います。私はヨーロッパ言語の学習経験しかありませんでしたが、その知識の応用で大筋理解できました。

最後の4課くらいは消化できていません。違う表現で似たような意味になるものが多く、それぞれどう使い分けるのか区別がつきませんでした。これは(私の理解力の問題もありますが)紙面の都合上どうしようもないと思います。むしろ、このページ数でここまで多くの文法事項を収めてもらえたのはありがたいです。詳細を理解できなくても、文法の全体像は最初に知っていたほうが後々のために良いと思うので。

良かった点

会話文が実際に使える

例文として掲載されている留学生サトシの会話文は、実際にそのまま使える表現がたくさんあります。定番の「日本から来ました」や、レストラン、タクシー、バザールでの会話など、覚えておくと便利でした。

文脈がある

会話文は話の流れがつながっているので、単発の例文よりも理解しやすく、記憶に残りやすいです。特にウズベク語は一単語も知らない人がほとんどだと思います。何のなじみもない言語を、単発の例文だけで学習していくのは難易度が高いです。
そのような仕様のアプリはいくつかありますが、初心者の段階でつながりのない文章を覚えていくのは苦痛すぎて、私には無理でした。

改善を望む点

※ほとんど著者とは関係のない、出版社に対する要望です。

音声収録が少ない

基本的に、会話文とそこに含まれる単語にはすべて音声が付いています。
文法解説のページや問題文にも多くのウズベク語の例文があるので、それらのテキストにもすべて音声を付けてほしかったです。特に初学者にとっては、正しい発音を耳で聞いて覚えることが非常に重要だからです。
メジャー言語であれば、ネットで調べれば単語の発音はすぐにわかりますが、ウズベク語の音声は見つからないことが多いので、なおさらあると助かります。

利便性(電子書籍化・音声アクセス時のログイン)

こんなことにまでいちいち文句言うのか、という声も聞こえてきそうですが…。正直な気持ちを…。今後ニューエクスプレスシリーズの電子書籍化を早く進めていただきたいです。
CDを読み込む機器がないので、音声はオンラインで聞いていますが、毎回IDとパスワードを入力してログインが必要なのが地味に…すみません…めんどくさい……。せめて一度入力したらIDとパスが記憶されるといいのになと思いました。
一括zip DLはできるので、PCでiTunesなどに入れてスマホで同期をするのが一番使いやすそうです。(欲を言えば…スマホやiPadからのアクセスが簡単だと助かります…。)

2周目以降の使い方

さすが定評あるニューエクスプレス。購入してよかったです。
2周目は会話文の発音練習を徹底して、全ページ一度は暗唱できるように覚えようと思います。5分後には忘れるでしょうが、忘れてもどこかには蓄積されるはず。
音声はディクテーション(聞いて書き取る)の練習にも使えそうです。ディクテーションは負荷が高いので、全ページやり通せる自信はないですが…。これらを終えたときには、少しは理解度が上がっていることを願います。
『大学のウズベク語』も購入したので、そちらで文法を復習しつつ、忘れた頃にもう一度ニューエクスプレスの練習問題をやりたいと思います。

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