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未知の外国語がわかる不思議な体験

まったく知らない外国語を理解できたことはないでしょうか。
海外旅行によく行く人であれば、少なからず経験したことがあるかもしれません。

ジェスチャーでわかることもありますが、ジェスチャーが一切なくても、知らない外国語を理解できることがあります。
文脈がはっきりしていると、未知の言語で話されてもかなり正確に理解できることがある。
それは私にとって衝撃的な体験でした。

最近ある動画を見て、ふと過去の不思議な体験を思い出しました。
それは「クロストーク」について説明しているNickの動画です。
外国語を何も理解できない初心者はどう勉強すればいいのか?
ウズベク語を学習するために調べている中で見つけました。


知らない言語がわかる体験

チェコ語

学生のときに1ヶ月ほどヨーロッパを一人旅しました。
プラハのバスターミナルからチェスキークルムロフに行こうとしたところ、英語が全然通じませんでした。

とりあえずバスの運転手に片っ端から声をかけ、チェスキークルムロフ行きのバスには乗れたので、バスに座っていた年配の女性に「隣の席空いていますか?」と英語で聞きました。
彼女は「全部予約席だからチケットが必要なのよ」とチェコ語で返事をし、会話が成立したのです。
知識が皆無のチェコ語で言われたことをなぜ理解できたのか…。
最初に経験した驚きの出来事でした。

チェコ語がわからないのになぜ理解できたと思えるのか?違うかもしれないじゃないか。
もっともな疑問です。勘違いの可能性ももちろんあります。
ですが、理解できたときは、たぶんこうなのかも?という不安はなく、腑に落ちた感じがしますし、理解できていることが大抵相手にも伝わります。

フランス語

同時期にフランスのアミアンに行ったとき、美術館の学芸員が突然話しかけてきました。
時計を指してフランス語で何か言っているのですが、さっぱりわかりません。
フランス語は第二外国語を履修していましたが、せいぜい数字程度の知識です。何もわかりません。

英語で「すみません、わからないのですが」と言うと、彼女はフランス語でゆっくり繰り返しました。
いや、ゆっくり言われたところで、フランス語はわからんわ!
「昼休みで美術館を2時半まで閉めるから外に出てくれない?その後に同じチケットで入館できるから。」
え……わかった…。なぜ…?
てか、フランスって昼休みに人を追い出して閉館できるの?うらやましい

中国語

ここからはすべて、ここ数年の比較的新しい体験です。
中国語(北京語)は大昔に大学の第二外国語を1年間履修していましたが、A1レベル以下の本当に基礎的な知識しかありません。
今では普段中国語を聞くこともまったくありません。ゼロです。

ソウルのゲストハウスに泊まっていたときのこと。
同室に中国の方が2人いました。
「日本語は漢字があるからまだわかるけど、韓国語は本当に何が書いてあるのか全然わからないよね」という話をしていて、わかるなーと思った瞬間、なぜ中国語の会話が理解できたのだろう?と後から気づきました。

帰りに成田空港から東京駅行きのバスに乗ったときのこと。
バスを降りる時って、運転手さんに「ありがとうございました」と言いますよね。
同じバスに中国の方が乗っていて「日本人って皆降りるときに『ありがとうございました』って言うね!」と(良い意味で)驚いているのが聞こえてきました。
そのときも、聞こうと意識すらしていないのに、なぜ自然に中国語の会話が理解できたのかが不思議でした。

昨年、中国経由でイスタンブールに行ったのですが、エアラインスタッフがカウンターの前で中国語でアナウンスをしていました。
「スーツケースに付ける荷物タグは、中国でさらに国内乗り換えがある場合は2枚記入して。乗り換えなしの場合と、国外への乗り換えなら1枚でいいよ。」
目の前のロシア人が「なんて言ってるの?」と聞いてきたので、たぶんこうだと思うと伝えました。が、なぜ理解できたのかやはり不思議でした。
その後しばらくして、見るからに欧米系の人には英語でも説明していましたが、内容は合っていました。

中国語の場合、ほんの少し単語を知っているので、そこから自動的に類推しているのかもしれないと思いました。
といっても、思い出せるのは「日本」「漢字」、「日本人」「都(全)」、「両(2)」「票(チケット)」「外国」くらいです。
荷物タグを何という名前で呼んでいたかもわかりません。

もしかして中国語って推測である程度わかったりするのかな?と一瞬調子に乗りましたが、何か話しかけられても、普通に全然わかりませんでした。
空港スタッフに、雑談で「これから日本に帰るの?」的な簡単な質問をされたときすら、まっっったく理解できませんでした。
(そのあと「去家?」と言われてもわからず、「Go home?」と聞かれてようやく理解。すまねえ。)

ウズベキスタン

ブハラ
ホテルでホテル代を支払おうとしたとき、受付が初めて見るお母さまでした(家族経営)。
彼女は電卓を叩きながら数字をタジク語でつぶやいていたのですが、1泊代のホテル代を計算していたようです。
部屋の奥にいた子供たちが、「彼女は2泊してるよ」「そうだそうだ」とタジク語で言っていました。
母親が「え?2泊なの?」と聞き返すと、私の対応をしてくれていた男の子(英語話せる)がやってきました。
これだけ「2」を繰り返されると、タジク語を生まれて初めて聞いた私でも、2泊のことなのがわかります。しかも「ドゥ」だったのでフランス語と似ていて一瞬で覚えました。
「Yes, 2 nights」と言うと、そばにいた男の子がえっ?という顔でこちらを見ました。そう何となくわかるもんなんだよ…。

ウズベキスタンでは何度もウズベク語で話す機会がありましたが、私がわからなすぎてまともに会話は続きませんでした。
しかし、たまーに人の会話が理解できることがありました。

ウルグットバザール
スザニのお店の人はウズベク語で会話をしている人が多かったです。
近くのサマルカンドはタジク語がメインだったので意外でした。
色々スザニを広げられて、私がいまいちな反応を示すと、「中くらいのサイズって言っているんだから、もっと小さいのないの。もっと安いの見せて」とスザニを広げている奥さん(?)に店主の男性が言っているのが聞こえました。

別のお店で店員の女性と値下げ交渉をしているとき、「ドルをスムにしてスムの端数は切ってあげてもいいよ」と、すぐ横で旦那さんが言っているのが聞こえてきました。
ウズベク語の数字や「安い」くらいはわかりますが、端数という言い方自体知りません。
ウルグットでは英語で話しかけられるので英語で答えていましたが、ウズベク語が聞こえてきたら、「まだ高いよー。もうちょい安くならない?」とウズベク語で希望価格を言いました。
(何語だろうがダメなときはダメでした。)
聞かれていると思っていなかったのか、だいたいびっくりされました。

他の都市でも、値下げ交渉中に店員同士でウズベク語で何か言うと、意味がわかることは多かったです。
OKかダメか、どこまでならいいのか、その場面で言うことがだいたい決まっているからだと思います。

ヒヴァ
縦二段にベッドがある夜行列車で、私は下のシートを予約していました。
同じ部屋にウズベク人の家族が乗っていたのですが、1人が高齢の女性だったため、上にのぼるは危ないと思い、席を交換しようか申し出ました。
ジェスチャーで説明してもなかなか伝わらず、そこに10代の孫らしき女の子が来たので、ようやく英語で説明ができました。

次の駅で他の家族も乗ってくるようで、彼らはその家族と電話をし始めました。
お母さん上のシートだったけど日本人が席を交換してくれたのよ。とか
日本って何語話されてるの?日本語じゃない?日本は日本語だよ!(←孫)とか
何人かに同じ話を繰り返していたので、意識せずとも聞こえてきました。

これらの経験に共通していると思うこと

①理解できるときは突然で、自分では選べない。
②語学力とは(必ずしも)関係ない。
③単純な単語ですらわからないことがある一方で、やや複雑な内容が理解できることがある。

→人は言葉そのものより、文脈で自然に推測して理解している可能性が高い

クロストークとは

先日YouTubeでレコメンドされた動画を見たとき、上記のような体験を思い出しました。

クロストーク
教師は理解できる英語で質問し、生徒は日本語で答える。

イラストを効果的に使うことで、たとえ英語をほとんど理解できなくても、何を質問しているかがわかるようになっています。
こういう学習方法があるのかと勉強になりました。

もちろん、単語を多く知っているほど理解しやすいでしょう。
でも本当に何一つ単語を知らなくても、文脈さえあれば、人は知らない言葉を理解することができるのだと思います。

サマルカンドからウルグットに行くためにタクシーに乗った時、運転手さんにウズベク語は伝わるけれど、話せはしないようでした。
タジク語で話しかけられたので、わからないという顔をしたら、「フロンス」「アメリカ」と言うので、ああ出身か!とわかりました。
その後、サマルカンドで同じことを聞かれたときは、すぐに答えることができました。一つだけタジク語を覚えました。
アズ クジョ:Where are you from?

クロストークきっと楽しい。問題は、学習中の言語でクロストークをやっている先生を見つけられるかですね。

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