ずかし

言語学者。たまに論文を出してます。

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パラグラフライティング講座

日本の人が書いた英語の論文でよく見かけるのは(当社比)「良い文を並べれば良い文章が書ける」みたいな構成のやつ。1000本立派な木を散らべても木造住宅はできないし、ただの木の山。どんなに1本1本こだわった材木であっても、家として組み立てなければ、ただの木の山。良い文を並べ散らしても、良い文章にはならない。どう並べて家を建てるかと言うのがこの記事の趣旨。 では、文章でどうやって家を建てるかを考えてみよう。 「ドトールは全席禁煙にすべき」が最終的な結論という設定で、それをどう書

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    • 必要な英文法 VII (名詞)

      前回の必要な英文法 VI では動詞を名詞みたいにするというのをやりました。動詞を名詞のようにする方法というのは他にもあって、話が長くなります。その前に、名詞の方を考えてみましょう。 必要な英文法シリーズでは今のところ、名詞に関しては「動詞に食べられるやつ」みたいな位置づけで、名詞とか名詞句とは何か、というのはあまり考えて来ませんでした。いい加減にしてきた理由は、それを考えるとそれだけで一つの話になってしまうので放置しておきました。今回はその話を考えてみましょう。 まず、「

      • 必要な英文法 VI

        必要な英文法 V までとはちょっと違った方向で動詞をいろいろ考えてみたいと思うのですが、その前にこちらを。 マリオは赤い、ってやつですね。マリオ=赤って事です。確かに赤い服ばっかり着てますね。 is とか are とか am とかって、be 動詞とか呼ばれたりしますけど、めんどくさいことは考えず、だいたい = だと理解しておきましょう。 = なので他動詞です。= の左と右にそれぞれ何かいりますからね。 じゃダメですよね。 とかじゃないと。  それでは普通の自動詞考

        • 必要な英文法 V

          必要な英文法 IV の続きです。 今日は他動詞に関してもっと考えます。というかもっと別の他動詞を見てみましょう。もっと別って何だよ?の前に、今までやった他動詞をもう一度。 自動詞:やる方 + 自動詞       (Mario sleeps.) 他動詞:やる方 + 他動詞 + やられる方 (Mario throws a turtle.) 自動詞は何かを「やる人」(Mario) だけな一方、他動詞は「やる人」だけでなく「やられる方」(a turtle) が必要という話でし

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          必要な英文法 IV

          必要な英文法 III の続きです。 まずはちょっとおさらいです。 動詞 自動詞:やる方 + 自動詞 他動詞:やる方 + 他動詞 + やられる方 修飾語(無くてもいいもの) 形容詞:名詞を(前から)修飾 副詞:名詞以外を修飾 前置詞句:前置詞 + 名詞(句)     で形容詞みたいになったり副詞みたいになったり だいぶ勉強しましたね。最も重要なことはもうすでに終わった気すらします。 今日は前置詞が「形容詞みたいになったり副詞みたいになったり」する話です。し

          必要な英文法 IV

          必要な英文法 III

          必要な英文法 II の続きです。 今日はいわゆる「修飾語」とか呼ばれるやつについて考えてみましょう。用語はどうでもいいです。 大雑把に、修飾語って「文になくても文法上困らないけど、言い足したいやつ」です。 の red は修飾語です。亀が赤か青かでいろいろ業務上の違いがあるのは重要ですが、文法上必要なわけではありません。現に、 って言えるので、文法上の必要なわけでは無いんです。亀という名詞についての詳細くれてるので「形容詞」と呼ばれます。形容詞という用語はどうでもいいで

          必要な英文法 III

          必要な英文法 II

          必要な英文法 I の続き。 前置詞の前にいくつか前置きが。 文法の「文」って何? とりあえずユルく定義しておきましょう。これが正しいとかじゃなくて、こういうふうに考えとくと、いろいろ辻褄が合いやすいという意味で。 ちょっと何言ってるかわかりませんね。例を見てみましょう。 この2つはよいですね。じゃあこれはどうですか? 「マリオが投げた」って、日本語では全然オッケーなんですが、英語ではダメ、完全にダメなんです。throw ってどうしても「他動詞」なんです。どういう事

          必要な英文法 II

          必要な英文法 I

          という日本語自体、日本語の文法に準じているのだ。語順をちょっと変えて と言ってしまったら別の意味になる。語順を変えただけなのに。 「英会話・には」と「英会話・なんて」だと、意味が変わるに決まってるだろ。それですそれ。それがわかるのはあなたが日本語の文法を無意識に運用してるから。 「単語の順序に関する決まりごと」 これを「文法」だと呼ぶことにしよう。 で、英語を運用する上で、知っておいたほうがいいやつを順次カバーしていくシリーズということで始めますかね。 日本語は割と

          必要な英文法 I

          読書感想文を書く

          読書感想文、どうやったら良いものが書けるだろうか?そもそも良い読書感想文というのが定義されてない。なので良いものを書こうとするのが無理。 一方で、読書感想文を通じてマトモな文章が書けるような練習するのは可能だし、少なくともマトモな文章が書き上がるという点において、「とりあえず書いてみる」よりは優れていると考えられる。 この記事では、他の記事を売りつけたりすること無く、主に親の視点からどのように読書感想文をコーチすればよいかをまとめるのが目的で、万一この記事に沿って書かれた

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          科学論文の読み方

          この記事についてこの記事では英語で書かれた科学論文をどうやって読んで理解するかと言うのを解説する。科学論文を読むというのは、一語一句英語を日本語に一生懸命訳して、翻訳作業をする事ではない。それは翻訳作業である。「科学論文を読む」というのはそこに書かれてある事を理解するという事であり、どの程度まで理解をしようとするかによって読み方は変わってくるので、その点に関しては 科学論文をどう読むか のところで触れる。 まず、科学論文はどのような形式や構造で書かれているかを理解し、その上

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          音韻論入門 III

          音韻論入門 I に引き続き、音韻論入門 II では隣の音に影響されて別の音になる、というのを見てきました。s の音が i の前では sh になるんでしたね。 「し」は "si" なんだけど "shi" と発音される。という話です。外来語でない日本語には「スィ」という音は無いですよね。"si" は "shi" になってしまうのです。 で、kas + itai が  kashitai と発音されるんでした。これを形式的に表現する方法があります。単に表記法を紹介したいだけです。

          音韻論入門 III

          アカデミック米国移民

          この記事ではアカデミックなキャリアを通して、米国に移民する方法の一つを紹介するが、それは数ある方法の一つに過ぎず、そして、それが可能な人にとって最適な方法かどうかは分からない。一つの可能な方法についていろんな事を考えるというだけの事であり、それ以上の事は無い。 「アカデミックなキャリア」とは米国の大学に行くとか、大学院に行くとか、すでに博士号を日本で持っているとか、これらを通じて、米国で雇用される事を指し、その上で永住までするためにはどういう方法があるかを考えてみたい。端的

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          音韻論入門 II

          音韻論入門 I では、隣の音に影響されて音が変化することに関して見てみました。新しい知識でしたか?そう感じるかもしれませんが、N と M の使い分け方を知ったのではなく、ご自分が使い分けていた事を知ったわけですよね。「自分が知っているということを知る」という言語学の魅力のひとつかもしれません。 今日のもそんな感じです。 調味料の話じゃありません! さしすせそ、サ行ですね。なんの変哲もないように見えます。五十音って割とよくできていて、アイウエオ (a,i, u, e, o)

          音韻論入門 II

          ことばの音の規則性:音韻論入門 I

          並び方、というのは言語においてだいぶ重要なことなんです。単語の並び方に関しては生成文法入門 で探っていっています。 今回この入門では、音の並び方の規則性について考えてみたいと思います。 そう言うと、とっかかりにくいので例を見てみましょう。 よく知っていることばですね。「ん」が2回ありますので注目してみてください。 実はこれら2つの「ん」は違う音なんです。 1つ目の「ん」は英語で言うところの M の音です。両唇を閉じて発音します。やってみてください。2つ目の「ん」は英語

          ことばの音の規則性:音韻論入門 I

          論理学入門 III

          論理学入門 I では記号論理学の基本を、論理学入門 II では述語とか量化に挑戦してみました。 この先、ちょっと記号の操作に関してもう少し広げていく予定です。記号の操作というと、数学っぽくてお嫌いかもしれませんが、小学校の算数レベルの事だと思ってください。小学校の算数といえば、 複雑ですね。嫌ですね。通分って憶えてます? 21+34+35+15 = 105 なので、これは 1 になります。最初から1って言えよ、って話ですが、しかし1だと分かったら1なので1だと分かります

          論理学入門 III

          生成文法入門 II

          前回の生成文法 I では、単語の並べ方に関して軽く見てみました。アリな単語の並び方にはどういう特徴があるのか、その線引き、記述をしようというのが生成文法のゴールです。 前回は「正規言語」に関してあまり深入りしなかったので、まずはそれを考えてみたいと思います。言語には使い物にならないのですが、そのせいか言語で例を示してもちょっとわからないので、チーズバーガーにします。 すごく単純なチーズバーガーを考えましょう。具材はバン、肉、チーズです。バンは上と下に1枚づつのみです。肉と

          生成文法入門 II