イスレア王国の少年(3/3)
【第3話】
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夜になり、少年は城を全貌できる丘の上にいました。そこで少年は精霊の言われたとおりに念じました。
これまで国がやってきたことへの恨み、両親の復讐、国を変えたい気持ちを全て指輪にぶつけるように念じました。すると再び精霊は現れました。
「そなたの思い、すべて理解した。願い叶えよう。」
そう言った瞬間、城に火が付き、城が燃えていきました。そして外にいた王国兵や王家の人間にも突然火が付き、燃えていきました。
それを見た少年は、驚きました。あの精霊の言っていたことが本当に起こったからです。街は混沌と化していました。
燃える王国兵の断末魔、それを見た市民たちの叫び声、何が起こったかもわからずに、ただただ泣きじゃくる子供たち。それは少年の見てきた光景の中で最も残酷な景色でした。
少年の感情は驚きから恐怖へと変わっていきました。
「俺はなんてことを望んでしまったんだ。」
思わず出てきた少年の言葉でした。ですが横にいた精霊は言いました。
「大丈夫さ。燃えているのはすべて王国の関係者だけだよ。君の大切は市民は誰一人として死んでいないよ。これも国を変えるためだよ。」
精霊はとても嬉しそうでした。少年には理解ができませんでした。精霊は何を見てそんなに喜んでいるのかが。
「さあ。もうすぐすべてが終わるよ。そしたら君が国を立て直すんだ。いいね??」
そういって精霊は消えていきました。それ以降精霊が現れることはありませんでした。
城が燃え尽き、王国の人間がすべて灰になった後、少年は革命を起こした英雄として新しい国の国王になりました。
はじめは少年に疑問を持つ市民も多かったですが、少年のやり方を知っていくうちに市民は少年を信じるようになりました。
そして、新しい国が安定してきた時に、精霊が現れました。
「久しぶりだな少年よ。元気だったかい?」
少年は精霊との再会に心が躍りました。
「久しぶりじゃないか!元気だったさ!見てくれよ!私は新たな国王になったんだ!市民はみんな幸せに暮らしている。すべて君のおかげさ!」
成長した少年の口調は少し大人びていました。
しかし、少年は自分の功績を褒めてほしいかのように精霊に話しました。そこで精霊はこう言いました。
「そうかそうか。そなたの願いが叶って私は何よりだよ。でもね、今日はそんな事を話しに来たわけではないのだよ」
精霊は、少年の思いを突き放すように言いました。
「今日はね、代償を払ってもらいために来たんだよ。」
精霊は初めて会った時のような不気味な笑みを浮かべてきました。
「そなたは私の力を使って願いを叶えた。次は私の番だとは思わないかい?」
精霊の顔はどんどんと醜くなり、少年は鳥肌が立ちました。
「私は何をすればいい?」
怯えながらも少年は答えました。そして精霊は言いました。
「そなたの命だよ。私は城と大勢の人間を燃やし尽くした。それに見合った代償を払ってもらわなければならないんだよ!!さあ、そなたの命を味わわせておくれよ!」
すると少年はたちまち灰となって消えてしまった。
「これだから人間は大好きなんだ。絶望に満ちたあの顔を見るのは最高さ。なんで無償で願いを叶えてくれると思った?そんなわけないだろう。さあ、次は誰の願いを叶えてあげようかなあ!!」
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Written by D-JACKS
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