7/10開催 Cの辺りイベントレポート|焚き火ブックカフェ vol.6『希望の歴史』再び
毎日暑くてジメジメする日が続きますが、皆さんお元気ですか?Cの辺りライブラリーオーナーのイシヅカです。
茅ヶ崎市のサザンビーチ目の前のコワーキング「Cの辺り」内の一箱図書館のオーナー同士の会話をきっかけで始まった、一冊の本を囲んで答えのない対話をモヤモヤと楽しむイベント「焚き火ブックカフェ 」も早いもので今回で6回目。
この6回目のテーマには一部の熱烈な要望により、前回に引き続き"欧州の知性"ことルドガー・ブレグマン著「希望の歴史」をふたたび取り上げました。
ちなみにこの本については、前回のイベントレポートでも詳しく説明していますので、まずはそちらを読んでみてください。
今回はこの暑さで流石に焚き火はしませんでしたが、今回集まってくれた参加者の心の中には、前回開催時から消えない疑問の火がモヤモヤとくすぶっていたとかいないとか….。
普遍的な問い「人間の本質は、善なのか?悪なのか?」について、世界中の事例を通して紐解いていくこの上下巻18章の大著は、なんと世界47か国でベストセラーになっている位、世界中で読まれています。
今回も常識(性悪説)を覆す、本書のエピソードをちょっとだけ紹介
著者のブレグマンさんは、私たちが残酷になりうる原因は、私たち人類の特技である「共感」が鍵だと主張します。
一体どういうことでしょうか?
共感できる相手には限りがあり、また距離が近く、自身に類似しているほど共感する。そして、度を越えた共感は、それ以外の世界を見えなくさせる。共感する仲間のためならば「それ以外」に対する攻撃もいとわなくなる。つまり、攻撃的になるのは利己的だからではなく、仲間を失いたくないから。
そうブレグマンは主張します。
この本には、その理論を支える実際の出来事がたくさん紹介されています。例えば、第二次世界大戦時に連合国軍から恐れられたナチスドイツ兵。彼らの粘り強く、時には残酷な戦いぶりの動機はどこにあったのか?
連合軍がナチスの捕虜を尋問して彼らの戦意の源を探ると、彼らが語る戦いの動機の多くは、実は「イデオロギー(ナチズム)」や「指導者への崇拝」などではなく、そのほとんどが「同胞である仲間であるドイツ兵や家族のため」であったとか。
この著者の主張から考えると、現在SNSやマスコミ上で起きているやりとりの一部も、同じように共感をベースにした構造になっていることにふと気づかされます。
今回のモヤモヤポイントの振り返り
そして気になるこの日のモヤモヤトークについて。今回の参加者からは、一体どんなモヤモヤが吐き出されたのでしょうか?
今回も冒頭に、この本の持ち主であるCの辺りオーナー池田一彦さんが、この本につながる身近な出来事を紹介。
一彦さんは、勤務していた大手広告代理店でマネジメントを担当していた頃のエピソードを語ってくれました。当時は過度な残業で心身を病む事例が社会問題となっていて、社内はそれに基づいた対策や管理をしていたとか。
この時も管理側の立場である和彦さんは、性悪説的な仕組みでの管理に難しさを感じていたそうです。
そんな参加者の身近な事例を皮切りに、この日のモヤモヤトークはスタート。
また今回もその内容を、あまりまとめずに列挙してみます(これが焚き火ブックカフェ方式で、決して僕がまとめるのをサボっている訳ではありません笑)
・リモートワークの管理は、性悪説に基づいてガチガチに管理すると管理側も管理される側も大変。性善説に基づいた管理の方がうまくいく
・性悪説に基づいた管理システムは、高度成長期においては必要だったが、現代においては次第に必要とされなくなってきているのでは
・受験勉強も「勉強しろ!」と親から言われるとやる気がなくなり、逆に言われないと不安になって勉強してしまう(管理されると逆に非効率)
・この本の中での善と悪の二元論的なレッテル貼り(良いオオカミ・悪いオオカミという比喩)に違和感を感じた。なぜその二つしかないの?
・人の本質を二元論的で捉えるのは、管理側が管理しやすいからなのでは?
・インクルーシブな社会(性善説的な仕組み)はお互いに考えることが多いから大変なことも
・人間は善でも悪でもなく、その状況で変わる存在である
・学校教育のルールも古くなっている。監視(=性悪説)に基づかない教育が必要なのでは
・経営者は実は大変なことが多いのに「お金儲けをしている」というバイアス(価値観の偏り)がかかっている
・なぜ少ない事例で、世界や人類を理解しようとするのか?それ自体に無理があるのでは(事例の選び方にも著者の価値観に沿った偏りがある可能性がある?)
最後に
この日は偶然にも参議院選挙の日。そしてその直前には日本中、いや世界中が衝撃を受けた痛ましい事件もあり、そのことについても皆の話は及びました。
いったい何が正義で、何が悪なのか?そして人間の本質は善なのか悪なのか?
イベントの時間を過ぎても、もちろんその答えは出ませんでした。この日も参加者たちは心の中でモヤモヤをくすぶらせながら、それぞれの帰途に着きます。
モヤモヤトークは続くよどこまでも。
このCの辺りでの「焚き火ブックカフェ」は不定期開催となっています。あなたの心にモヤモヤがある限り、テーマ本を読まなくても気軽に参加できる読書会です。
今後の開催予定は以下のサイトでチェックしてみてください。