同人誌装丁まとめ / 2023
はじめに
2021年の夏頃に初めて同人誌を作りました。
そこからもうすぐ3年が経ちます。
最初は「本ってどうやって作るんだろう」「そもそも何から始めたらいいのだろう」と手探りで、周りに助けてもらいながら何とか形にした記憶がありますが、今では年に何冊も作るようになり、「次はこんなの作りたい!」とか「こういうのもやってみたい!」なんて思いながら楽しく本を作っています。
今回は、自分への備忘録として、またこれから先同人誌を作ろうと考えている人へ少しでも参考になればいいなと思い、今まで作った同人誌の装丁をまとめてみることにしました。最初に言っておくと、とっても長くなると思います。一人で喋ることがとことん得意です。
まずはじめに、原稿作成の時は基本的に縦式を使用しています。その他は大体CLIP STUDIO PAINTです。もっとやりやすい方法があるんだろうな、とは思うのですが、これに慣れてしまっているのであまり変える気はありません。
これから紹介する同人誌は全て2023年に発行したものです。また無配も含みます。
My Dear
まずはとっても可愛い1冊からです。JUNE BRIDE FES .2023にて頒布をしたので、名前通り結婚・花嫁を意識し、色合いもピンク系、また箔押しにシャンパンゴールドを使用して華やかなデザインにしていただきました。カバーはもちろん、表紙も本当に可愛くてお気に入りです。タイトルがたくさんのお花に囲まれているのもとても可愛いです。
カバーにマットPPをかけているので、より上品に見える気がします。箔の色もとっても可愛いです!ちなみに箔押しの線が細く、少し掠れてしまっている部分がありますが、これは私のミスです。印刷所様からはしっかり確認のご連絡もありました。そのまま行ってくださいとゴーサインを出したのは私です。
巡りめぐりて
間違いなく2023年に作成した同人誌の中で一番時間のかかった本です。というのも本文内に挿絵のように写真を混ぜたくて、色々試行錯誤しながら作ったためです。難しかったです。ですが、頑張ったお陰で本当に本当にお気に入りの1冊になりました。同人誌を作り始めた頃から、こういうのを作りたいとずっと考えたいたので形に出来てよかったです。
季語をテーマにした短編集ということで、カバーには花、また雪のようなモチーフを入れてもらい季節感のあるデザインに。表紙には線オブジェクトで空気感や雨の質感を表現しています。また本文内に写真などを使用しているため、全体的に淡い色で仕上げていただきました。使用した季語も薄く入っています。
季語をまとめた本や、美しい言葉の辞典を読むのが好きで、そういう本を参考にして作りました。本文内には参考文献も乗せています。
写真は全て私が撮ったものです。過去に撮ったものをレタッチしたり、この本のために撮りに行ったり。写真も趣味なので、自分が撮った写真を使って本を作るのも夢でした。
「二次創作と写真」
趣味であるふたつを合わせて、ひとつの物を作るのは本当に楽しかったです。季節感を感じられるものが基本的に好きなので、理想的なテーマでした。
ひとつ改善点を上げるとするなら、写真のレタッチをわざとざらっとした質感にしてフィルムカメラのような雰囲気が出せればな…と思ったのですが、印刷された時にそれが顕著に出てしまって粒子加工はいらなかったかなと感じました。
ちなみに写真の加工・編集はLightroomを使用しています。大体いつも粒子を50くらいまで付けています。サイズは35、粗さは40くらいです。
同人誌ではあるけれど、同人誌っぽくない本を作りたい、から完成した本です。そのためサイズもいつものA6(文庫)サイズではなく、B6サイズにしました。単行本のような感じにしたかったです。レイアウトもいつもより余白をしっかり持たせています。
ハードカバーだとさらにそれらしい雰囲気が出るかな、とも思いますが、金銭面的に難しかったので断念しました。なにより、本文フルカラーでも価格が変わらないワンブックスさんだからこそこの本は出来たので、優先順位を付けて作成していったらこうなった、という感じです。
見開きの中心部分の重なりは、勘でいきました(何にも参考にならなくてすみません)。最低限ノドの幅などは考えましたが、あとはこんなもんだろ!みたいな感じです。あとは多少ズレても変に見えない写真を選択することで回避しました。結果、何とかなりました。
ユートピアの夢に
イベント時の無配です。
中綴じ本作るぞ!と意気込んでいたら、いつもの癖でくるみ製本を選んでいたらしく、届いた時にちょっとびっくりした本です(届くまで気付いていなかった)。
A5サイズの本はあまり作る機会がないですが、(個人的に)一番同人誌感があるような気がして好きです。なので無配はA5にしようと決めています。
水彩絵のような素材はてんぱる様からお借りしました。文字を入れるだけで可愛く仕上がるので本当にありがたいです。
シュガーアンドキッス
珍しく自分で表紙とカバーのデザインをしたものです。タイトルも自分で書きました。多分100回くらい書き直しました(もっと多いかも…)。
カバー用紙はロベール 110kg ホワイトとも迷ったのですが、黄みがどれくらいなのかわからなかったので結局アラベールにしました。表面のざらっとしたナチュラルな質感とは裏腹にパキッとした白なので、ふんわりと柔らかい印象にしたい時はアラベールじゃないほうがいいかもしれません。
表紙は打って変わってピンク色です。OKミューズラフィーネなので、パール系のきらきらが可愛いです。ただ、ベースの色が薄すぎたため文字があんまり見えなくなってしまったのが反省点です。これならタイトルだけでも逆に可愛かったかも?なんて思っています。
Serenade
日光企画さんのホワイトオンデマンドで作成しました。正方形にしたことによって、より可愛らしさが増した気がします。素材をお借りして表紙を作ったのですが、想像以上に細かい部分まで印刷されていて、出来上がりを見た時に感動しました。またミランダあいのラメも一色ではなく何色か混ざっていて(ピンク・ブルー・シルバーあたり)、とんでもなく可愛いです。
入稿する時は白く印刷したい部分を黒1色でデータ作成すれば大丈夫です。私は100回くらい色反転しなくていいんだよね?と確認しました。
青と夕凪
初めてのクリアPPでした。そのお陰で過去一文庫本らしい同人誌に仕上がりました。余白と繊細なデザインがとっても可愛らしくてお洒落です。加工などは他と比べて少ないですが、すごく気に入っています。
表紙はキュリアスホワイトを使用しているため、傾けるときらきらと反射します。ベースがほとんど白なので、上から色を印刷しても綺麗に出るところが魅力的だと思います。困ったら選びがちな用紙ですね。同じくミランダスノーホワイトもわりと選びがちではあります。
Only our secret
イベント時の無配です。
今度こそ中綴じ本作るぞ!と意気込んで、間違えずに作れた本です。表紙やカバーデザインを自作する場合は基本的にBOOTHであれこれ探します。フォントとかも結構あるので、見ているだけで楽しいです。
Bouvardia
表紙にイラストがあるだけでかなり同人誌感が出ますね。なので仕様も同人誌感を目指して(?)A5サイズにしました。ちなみにイラストは妹にお願いしました。
裏面がマットなゴールドなので上品な華やかさがあります。誕生日の記念本として作ったので、雰囲気的にも合っているのかなと思います。また表紙にマットPPをかけているので、しっとりした雰囲気も出せていたらいいなと思っています。私はマットPPが好きなので選びがちです。ですがものによっては反ってしまう用紙もあるので、その辺りは印刷所の用紙紹介の部分を確認したほうがいいと思います。ちなみにファンタス・ゴールドはそんなに反りませんでした。
以上、2023年に作った同人誌装丁のまとめでした。案外、箔押しを1回しかやっていなかったことに驚きでした。今年もすでに原稿を進めていて、5月に新刊2冊出す予定なのですが、その2冊とも箔押しを入れようと思っているので今年は箔押しの本が多くなりそうです。それはまた年末か、来年あたりにまとめたいと思います。
さいごに
2023年は自分の予想よりも多く同人誌を作った年でした。また巡りめぐりてやSerenadeなど、作ってみたいと思っていた装丁にチャレンジした年でもありました。
2024年はより細やかなところにも拘りたいなと思っています。一番はフォントですね。筑紫オールド明朝が好きなので、基本的にはそれになると思いますが、話の雰囲気に合わせてタイトルや本文のフォントを少し変えてみたりするのも楽しそうだなと考えています。実際、今進めている原稿のひとつはリュウミンにしてみました。見比べてみるとまた印象が変わって面白いです。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。どこかにまとめておきたいと思っていたので、ようやく形になってよかったです。自分のためでもありましたが、少しでも参考になれば嬉しいです。
今年もたくさん、好きなものを作っていきたいと思います。
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