はじめまして、横山 瑞法(よこやま ずいほう)と言います。
山梨県にある南アルプス市という日本唯一のカタカナ名の市に住んでいるアラフォーの僧侶です。
僧侶になって17年目になり、日蓮宗法源寺と林應寺という2ヶ寺の住職をしています。
家族は、祖母・両親・妻・子ども(2男1女)。
そんな僕の昔話を少しだけさせてください。
お寺の長男として生まれたけれど坊さんになる気はなかった
僕は、祖父の祖父の代(5代前)から僧侶の家系に生まれました。
お寺の長男ということで、檀家のおばちゃんおじちゃんにはとても可愛がられて育ちました。
しかし、そんな檀家さん達の僕へ注がれる視線をよそに、子どもの頃からお寺の跡を継ごうと考えたことはありませんでした。
父は「寺を継げ」とかそういった直接的なことは一切いいませんでしたが、手伝いはめちゃくちゃやらされました。なんなら、お盆と年末年始のお経回りは、高校の時に得度(坊さんの仮免的な。坊さんにならなくても、せっかくお寺に生まれたのだから、それくらいやっとけと言われて渋々取った資格)した直後から、檀家さんの家を割り当てられて、以来ずっと続けていました。
直接言わないけれど「後を継いでくれたら嬉しい」くらいには思っていたのでしょう。
高校を卒業すると地元をでて東京の大学へ進学しました。仏教系の大学ではない理系の学部です。順調に単位も取っていったのですが、やりたくて進んだはずの学部もどうも自分に合わず。就活の時期になって忙しくなる周りの友人を横目に僕は、単位だけは3年でほぼ取り終わっていたので(留年だけは許さんと父から言われていた。うちの父はめちゃ怖いのだ)、ボケーっと過ごしていた。
そんな僕を見るにみかねてか、「悪魔のささやき」ならぬ「仏のささやき」「菩薩のささやき」が聞こえてきた。
「坊さんになるための学校に編入して、坊さんの資格を取るならあと2年東京で遊んでてもいい」
僕にとって申し分ない条件の提示。他にやりたいことも何も無かったので、あまり悩むこともなく、僕はこの「ささやき」に飛び付いた。
その後、なんとか卒論をやっつけて無事卒業。
日蓮宗の宗門学校である立正大学の3年に編入した。
そこでは、良き友との出会いもあり、適度に遊びながらも結構学んだ。
不真面目な僕も周りの友人に恵まれて、坊さんになる気持ちになってきた。
本当にありがたかった。
2年間を無事に終えて卒業し、その翌月から本山での修行に入った。
およそ1月強の籠りきりの修行を終えて、無事日蓮宗僧侶の資格を得て実家のお寺へ戻った。
しかし、戻っても僕のやるべき仕事なんてあまり無かった。
そもそも、それほど檀家も多くない寺でウチの父もずっと兼職をしていたのだ。
2年くらい色々なお寺に手伝いに行ってみたり、研修会に参加してみたり、坊さんの青年会に所属してみたり、ふらふら、ゆらゆら、寄るべもなく、絶賛モラトリアム延長線を過ごしていた。
そんな僕も一念発起、世界三大荒行の一つにも数えられるという、日蓮宗の100日の荒行にいくことにした。
詳しくは書かないが、想像以上に大変な、想像しなかったような大変なものだった。
この修行で最も学びになったのは「自分という人間の弱さ」だった。
この経験は今の自分の考え方にも大きな影響を及ぼしている。
そして、その後に結婚。
すぐに妻が妊娠した。
今までのようにフラフラ、ユラユラしていたら家族を食わせることができないと思い、本山で経営している社会福祉法人へ就職。
高齢者福祉の現場で働きながらも、先輩に恵まれ「地域福祉」という概念に出会う。このことが、今の自分がお寺を起点に地域・まちについて考える土台になっていると思う。
就職して6〜7年後に、住職である父が体調を崩して、急遽住職を交代することになる。
住職になることなんて、今まで坊さんをやってきたことのただの延長にあることだと思っていたがいざその職についてみると全然意識が変わってきた。
寺の代表、宗教法人の代表である住職になったことで、「お寺の未来」を本気で考えるようになり、それを突き詰めていくと「地域の未来」を考えるようになってきた。
そうなってくると、お寺と地域のことにもっと時間を使いたいと思い、兼職していた勤めを退職した。実際、タイミングとしても良かったと思う。当時、忙しすぎて僕は体調を崩しがちだったのだ。
そんなことで、本腰入れてお寺のこと、地域のことに取り組み始めました。
そんな矢先にコロナがやってきたりと、色々ありますが仲間にも恵まれて色々とやれている今がありがたいです。
僕の活動の諸々については↓のとおりです。
坊主道(ぼうずどう)
山梨県内の宗派を超えた僧侶のグループで、現在5宗派13名のメンバーが集まり、これからの僧侶のあり方やお寺のあり方を考え活動をしています。
現在は僭越ながら代表を務めています。
宗派を超えることで何が良いかというと、「余計なしがらみが無い」ということです。
宗派は違うけれど、思いを同じくする仲間たちとの活動は学びも実りも大きいです。
一般社団法人 SOCIAL TEMPLE
坊主道から発展する形で誕生したのがこの法人です。
僧侶に加えて僧侶以外の方々にもフラットに活動に参加してもらいたいという思いで設立しました。
多職種と協働しながら様々なプロジェクトが動いています。
私は理事を務めさせていただいたり、オンライン・広報事業部長という役割をいただております。
事業部長とかいうと偉そうですが、小さい法人ですし実働部隊として色々やっています。
法人のオンライン関係のことには大体関わっています。
山梨県のWEB制作会社「マニュアルズ 」と協力して、お寺のホームページ制作のお手伝いを「お寺の活性化計画」や法人で運営している仏教お寺メディア「お寺のじかん」や法人のSNSやサポーターグループの運営などなどやっています。
その他のプロジェクトにも裏方として関わっています。
Temple Morning(テンプルモーニング)
お寺で朝掃除の会テンプルモーニングを広める活動をしています。
お寺のゴールデンタイムである朝の時間を、みんなで味わおうというコンセプトで全国各地で少しずつ広がりをみせている催しです。
基本は朝のお経、掃除、お茶とお話の3本立てですが、それぞれのお寺の持ち味を土台に開催されています。
詳しくは下の記事をご参照ください。
2022年夏に近所の空き家をリノベーションした宿坊をオープンしました。
まだオープンから一年経ちませんが(2023.6現在)、3月くらいから外国からのゲストも来るようになり、少しづつですが地元に新しい人の流れができるようになってきました。
一般社団法人 十五社
ここ数年、地元地域で一緒に活動してきた仲間と2023年5月に立ち上げました。地域活性化に資する活動や事業に、1段2段ギアを上げて取り組んでいくために設立しました。具体的に何をやるかはあまりはっきり決まっていませんが、とにかくやっていきます。
おわりに
仏教・お寺・僧侶が、現代においてどのような形で社会と人々の幸福にポジティブに関わっていけるかということを考えています。
上記の活動もその実践として取り組んでいます。
まだまだ途中ですが、100年、200年後にも、地域に住む人たちが豊に暮らせるきっかけを今ここで始めていきたいと思っています。
2023年 6月 8日 横山 瑞法