クォンタム・ファミリーズを読んだ
ありがたいことに読書習慣が抜けずに続いているので、色々読んでいる。先日はクォンタム・ファミリーズを読んだ。
村上春樹のいくつかの著作に共通して表現されている「三十五歳問題」の存在を下敷きにして展開するSF小説。主人公の葦船往人は三十五歳を超えて燻っている挫折した元小説家。現在は大学教員として口に糊しつつ、妻との不和や鬱病を抱えて生活している。妻との間に子供はいない。そんな往人の元に、彼の娘を名乗る人物からのメールが着信する。メールの日付は27年後。往人は半信半疑のまま未来の