見出し画像

#2友人の性格と片鱗

A子は写真が好きだった
撮るのも好きだし撮られるのも好き

年賀状には毎年スタジオで撮影するという家族写真がさまざまなパターンで何枚も載せてあった
行事のときにも、自分の子もいる中、私の子どもも撮影してくれてシェアしてくれるような優しい子だ

実際、ネットショップで写真を加工してカレンダーなどにして販売するようなこともしていたらしい
A子の可愛らしい世界観は統一感があって小物などもこだわっていてすごく緻密に作り込まれた雰囲気だった
そんなA子のインスタグラムにもたくさんのフォロワーがいたと思う

A子の夫もとても温和そうな人だ
優しくて子どものお弁当なんかも作り、たまに子どもの送迎もしてた

A子は人から良く見られたいと思う意識が強かったと思う
これは私にも当てはまることだけど、子どもぐるみで付き合うママ友に好かれたいのは当たり前の話だ
私とA子、B子、C子と4人で仲が良かったのだが、本当に心を許せる大好きな友人関係だった
この4人は家の経済的な感覚も似ていたと思う
そんなに余裕はないけど、子どもには良いものを与えてあげたいという感覚

周りから見て貧しく見えないようにすること
派手すぎないようにすること
手をかけてあげているようにみせること
自分の中にあるどす黒い部分は見えないように取り繕うこと
子育てがうまく行っていると思われるようにすること
いつも明るく楽しく
自分がみじめに見えないようにすること

やがてA子は近所でパートを始めた
平日の数時間と土日のどちらかか、または両方か
本当に隙間時間でシフトに入っているようだった
小さい子がいたら仕方ないし私も同じようなものだった
そのパートが楽しいのかそうでないのかはわからないけど、おそらくA子にとっては人に自慢できるような職種でもないし、ただシフトや場所の都合が良くて働いていただけのように思う

もう一つ、A子には趣味があった
それは材料を仕入れて自分で製作しネットショップで販売するあるカテゴリーのハンドメイド作品だった
こちらも趣味の範囲で多少の販売実績はあったと思う
私も個人で仕事を引き受けてものを作る仕事をしたことがあるが、在庫を持つことのリスクや睡眠時間を削って商品を作ったり、サイトにアップしたりととにかくやることが多すぎて、また単価も安くて思ったより稼げないことは知っている
所詮は主婦のハンドメイド
よほどのことがない限り売れっ子には程遠い
A子も趣味でやってるうちは良いだろうがこれで稼ごうと思ったら到底無理な話だった


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?