解決編・後編(9/25~9/26)
解決編・後編となる。
やや長くなるが最後まで見届けていただければ幸いである。
この物語は事実である。
あなたにとっても事実であったなら、嬉しい。
古来より「道徳の教科書」には空虚な理想論の能書きだけが書かれているモノとされている。されているが、大人になると少しずつ言わんとしていることは理解してくるものではある。
こんなところで理解したくなかったが。
白は黒になり、黒は白になる。
神はオセロゲームを楽しんでおられる。
人間は自分のルール内から飛び出した創作物を認めないという習性がある。理由はルールあっての娯楽だから。当たり前です。もっともこの話が完全にルール無視かというとそうでもなくて、むしろルールに収まっている部分が多いのが大変に厄介なところ。
「物語を畳む」のに何も難しいことはなく、全部、最初から説明すればいいだけということがわかる。骨格がしっかりしていればそれだけで済む。そして大抵の場合、現実はどんな創作物よりも強靱な骨格を有している。
嘘というのは信用して貰うためにつくもので、そのためにはリアリティが必要となり、大きい嘘でも小さい嘘でも相手をそれなりに納得させる要素が必要なのは当たり前だが「どう聞いたって嘘だろ」という場合、以下の二点に集約されると思われる。
・嘘をつく才能がない
・全部、本当なので何も遠慮してないだけ
後者の場合、信用して貰おうという努力すら放棄する場合もあり厄介。
以下、それぞれの疑問への質疑応答となる。
「保険の処理が終わってないから進められていません」というところだろうか。三日は言い過ぎだが、逆にどんなに遅くやっても半年もかからない。かける意味もない。やってない、ということは何か理由があってやってないということである。
これは後述する。
これはあとでも話すが、バイク屋さんとしても予算内に収めるための苦肉の策であったようだ。なんであちこち飛ぶんだよ! の理由は「インターネットで探したから」なのはかなりやられたと俺は思った。
「バイク屋さんは手作業と人脈でなんとかする」というイメージが強すぎたところがある。よくよく考えてみれば、俺もみんなもインターネットの知り合いなど、何の脈絡もなく関東一円どころか日本中や世界に散らばっていたりするだろう。
まあただ、普通、そんなことせんけど。
めんどくさいし時間かかるし、自分の店の儲けにもならないし。
そもそも、「バイク屋さんがバイクの作業工程のうち一つ二つを、違う業者に外注する」って結構、おかしいからね。それこそ、岐阜のボーリングじじいブラザーズとかのエンジン内部の話とか、そういうのなら分かるけど。
ハーネスとかスプロケットとかの話だからね。
まあ、それも後述する。
「画像送りますから」はあくまでバイク屋さんが個人的に「俺に」送ると言っているだけのことで、対物超過の処理上、バイク屋さんが直接送るということはないそうだ。それをするのはアジャスターさんの仕事。そらそうだよね、確認にきて撮影してんだから、アジャスターさんの仕事だよね。
じゃあなんで俺に送って来ないの? と言えば進んでないから。
じゃあなんで進んでないの? と言えば保険の処理が終わっていないから。
今にして思うと、アルプスの持つ謎のポリシーと思われていた(というかアルプスなんてやつはいないとまで言われていた理由の一つ)「完成してないバイクの画像なんか送ったって仕方ないだろ」にも、「サボりの言い訳」とはまた別の意味が含まれていたのではと言うか、「保険屋さんがオッケー出してない画像なんかどう変わるか分からないんだから送っても仕方ないだろ」という意味だったのではないかとも若干、思われる。
まあ、理屈は分かるが、かなりドライな理屈なわけで、もう少しウェットな考え方をしていただけていたら違った展開もあったのではないか。
被害者から加害者に変わるという手品。
サスペンス感が凄い。というか続編の展開。
俺はこの話をなるべく続けたくないのだが。
「単に無意味な動きをして無意味なくせに目立つ」という動きをするやつはどうなのだろう。捜査を攪乱させるためだけに生み出されたような奴だ。だがそれも早々に「こいつの動きは無視すればいいんだ」と判断できればいいのだが、残念なことに「ダイナモが好き勝手な動きをした」よりも「バイク屋さんが誤魔化そうとして苦しい嘘をついている」の方が、人は納得してしまうものなのである。
「ダイナモが勝手な動きをした」は面白いかもしれんが別に誰も得しないし目的も動機も見えない。だが「バイク屋さんが時間稼ぎの言い訳で誤魔化そうとしている」にはある程度の「利」や「動機」が見いだせてしまう。
誰にも利がない。そんな話ばかりが続いていた。
誰かには利しているに違いない。その構図を俺は必死になって考えていたとも言えよう。
正直、ちょっと、悪いことをしている気すらしてきていた。
申し訳ないというか。俺が謝る筋合いではないのだが。
別に「納得した」と胸を張って言えばいいのだが。
大体、俺だって直前まではそういうテンションにはなっていたのである。ただ単に、先に納得してしまっただけだ。このnoteを書いている理由の一つでもあるが、ちゃんとこういういきさつがありましたと記録しておかんと、なんか後味が悪いというか、うしろめたさみたいなものが湧いてくる。
この「ダイナモ・アルプス問題」に関して話が分からなくなる一因でもあるのだが、ダイナモや葛飾(結局どこやってたのかは知らん)などはネットで探した店だが、アルプスだけは「バイク屋さんの知り合いの店」(店ではないが。大工さんだが)であるというところで、まるで全員がバイク屋さんの友達かなんかのように錯覚し、身内で回して何を企んでんだ、とますます疑惑が深まった。
全部知らん人、ならまだ分かりやすかった。
アルプスは知り合いなので、割と突っ込んだところ(例えばセッティング等)までコメントしてくる訳で。ただ南アルプス市ではなく、豊島区とかもっと近所に引っ越してきて欲しいとは思う。大工さんの仕事は都内にもたくさんあるはずだ。
結局、あのやり方では何をどうしても利益には結びつかない。
俺が強引に夜逃げだなんだと言っていたのも、それくらいしか浮かばなかったからでしかない。
「なんでこんなに時間がかかってんだよ」というおそらく最も大きい疑問に関しては「保険屋さんの処理待ち」という全然面白くないが当たり前と言えば当たり前の答えが返ってきた。
まあ、普通、半年もかからんけど、保険屋さんにも何か拘りがあったのだろう。俺に代車のフォルツァを半年、貸しっぱなしにしても構わないという何らかの、拘りが。
というか「代車のフォルツァを半年貸しっぱなし」というのも何なのか分からない。勿論タダではない。多分、フォルツァの新車を俺に買ってあげるより遙かに金がかかっている。そんな中、保険屋さんとて引き延ばす理由など一つもない。
何なんだ、とならざるを得ない。
まあこれは一貫してそうなんだけど、俺も何も毎日進捗報告しろと言っているわけではなくて、節目で連絡してくれと言っていた。何でしてこないんだ、それは当然の憤りかと存じる次第だが、状況としては「保険屋さんの処理が終わるまでは節目もクソもない」という有様だったことは情状酌量の余地がある。
もっとも、それで俺の猜疑心がヒートアップしたわけで、なんでもいいから送ってくれてたらいいのにね、と思うばかりである。
報告というより事情を説明してくれていたら。
これに関しては「俺が正しかった」というつもりは別にない。俺はあらゆる可能性を模索していたのだから、時々、核心に触れることがあったというだけだ。それに無根拠に信じることにするというのは試合放棄に等しい。そして信用する根拠は何もなかったのだから、そう言われてもしかたない。
この話に「根拠」などほとんど見当たらないのだが。
大体、このダラダラダラダラ続いたnoteを見ていただければ分かるとおり、俺はなるべく簡潔に纏めようとしていたのにシーズン3まで続いた挙げ句のザ・ファイナルである。これ以上、なんとも出来ん。
これはインターネット話題として顕著な特徴だと思うが(というかさらに言うとTwitterでのことになるが)どんな話題でも長くて一週間から十日くらいの話にしないと気軽さとか全部失われてどんどん重たくなっていく。
炎上騒ぎだってそんなもんで勝手に鎮火する。
飽きっぽいと言うより、情報量としてそのぐらいの日数に纏まった分が適切なのだと俺は思う。本一冊、映画一本、面白かったよと紹介するのにストーリーを全部言わなきゃならないみたいな手間暇がかかってくる。
俺も別にウケたくてこんなnoteを書いている訳ではない。
お付き合いしていただいたことに対するせめてものお礼であり、半ば義務感であると言える。
俺はこういうのがけして嫌いではないので、それはいいのだが。
改めて見て欲しい。ここに書いてあることは全部真実。
何が何だか、分からない。全部説明されたのに、分からなくなっている。
これは「俺は嘘をついていない!」もあるのだが、同時に「俺、ひょっとしてアタマがおかしくなってます? なってませんよね? 幻を見て妄言を喚いていたわけじゃないですよね?」という確認、いわゆる「正気の保証」(オタクの好きなやつ)というやつを担保して貰えて助かったという面もある。俺は間違っていない。
では全体像をもう一度、纏めてみよう。
こんなところだろうか。全体像といきさつは、これで概ね、掴めたと思う。少なくとも俺は納得したし、立会人のお二人も納得した。というか、目蒲さんの方などかなり親しげにバイク屋さんと経営事情や愚痴などを笑いながら話しているのを俺は見た。
もはやユルユルである。悪い人はいなかった。
ただみんなが少しずつ失点を犯していた。
悪意はなかった。
結局の所、この半年間にタイトルを付けるとしたら完全に「HIGH&LOW THE MOVIE」であり、俺が大好きな映画と同じ筋書きの体験を出来たということでもあり、俺の気持ちを簡潔に纏めると「まるで地獄にいるみてえだったよ」の一言になりアタマから離れねえんだよ! ということともなる。
まあ最後は丸く収まったのである。
琥珀さんも大暴れして気が済んだのである。
目を覚ましたのである。
しかし考えてもみて欲しい。
絶海の孤島、連絡手段も移動手段もなく嵐で閉じ込められている。
そこに謎の変死体が発見される。
容疑者に「お前がやったんだろう」と質問を投げかける。
返ってくる答えは「いや、いきなり勝手に死んだんです」とか「縄がぴゅーっと飛んできて首に巻き付いて窒息死するのを見た」とか「この島には犬神の呪いという伝説がある」とか「前世の報い」とか言われてみなさいよ。どいつがどの目的で嘘言ってんだよ! ってなりません?
どんなに怪しい奴がいても「動機がないんだよな」とか「こいつそんなことして何が得するんだ?」とかで考えて考えて考え抜いて、当然、読者も考えて考える。その結果「全部本当。犬神の呪い」って言われたら、もう、それは、何? どういうこと? それはそれで確かに筋は通っているんだけど、なんか腹立ってきた。そういう感じになりませんか。
しかもみんなに悪意までなかったってなんだよ。
全員が正直村の住人かよ。
まあ、正直だからと言って異常行動を取らないという理由にはならないので、別にズルいわけではないが、なんかこう納得いかねー! という気持ちになっても、これはもう、仕方ない。
悪人がいなかったのは、いいことである。
結果としてバイク屋さんと変な喧嘩をすることにもならず、良かったのである。金だのなんだの、そういう泥仕合はこちらも望むところではない。
あとは俺が泣き崩れながらバイクの鍵を受け取るだけである。
こうして、この異常な半年間は、ひとまずの決着を迎えたのであった。
長々とお付き合いいただき、感謝したい。
本当にありがとうございました。
この物語は第三者立ち会いの下、話し合いによって保証されている事実である。
あなたにとっても事実であるべきだと、俺は思うがそれはどうだか分からない。むしろ事実とは? という哲学的な思考に入り込む恐れがあるが、頭の体操だと思って受け入れて欲しいと願う。