【前編】予告編/特報/トレイラー/ティザーの違い
映画の上映前に流れる「予告編」。
これが結構好きなのですが、そこには「予告編」と添えられているものもあれば、「特報」と書いてあるものもあったり、そもそも海外だとTrailer(トレイラー)だったり、何が何だか。
消費者としては全部「予告編」でいいじゃんという気持ちになりますが、違いがあります。
そもそも映画制作の話
映画好きの重要な情報源であるインターネット・ムービー・データベース(IMDb、1998年からAmazonの子会社が運営)というサイトがあるのですが、そこでは、映画関係者(監督、俳優など)ごとにページがあり、これまでのクレジット(出演歴など)が見れます。
以下はニコール・キッドマンのページの一部ですが、UpcomingとPreviousに分かれています。
これは今後の作品と過去作という意味です。
"Upcoming"を見ると、作品と役名の下にCompletedとか書いてありますが、これは各作品の現在の制作状況になります。
これが予告編の違いに関わってきます。
In Development
次のプリプロダクションの前段階で、ここは幅があります。
企画が立ち上がってるだけだったり、脚本は出来上がっていたりしますが、ここで制作がストップすることがかなり多い印象。
Pre-production/プリプロダクション
予算が確保され、準備が整っている状態。例えば具体的に撮影日が決まっている、など。
ここまでくるとそろそろ…という感じがしますが、ここでストライキとかぶつかると予算の都合でポシャったりする。
In Production/撮影中
すでに撮影に入っているもの。
安泰と思いきや、撮影だけしてお蔵入りがかなりある気がする。
Post-production/ポスト・プロダクション
主要な撮影が完了し、編集や音響などが進行中のもの。
編集が終わって関係者に見せたらつまらなくて編集やり直しになるとか結構よく聞く話。
Completed/制作完了
映画が完成し、リリースを待っている状態。まれに映画は完成しているのに公開されずお蔵入り、ということがございます。
(配給会社が決まらなかったり、降りちゃったりする)
Released/公開中〜
完成した映画がリリースされた状態。
最近は限定公開の後、配信されるという映画が増えました。
予告編とは何か
どの段階でもお蔵入りのケースがあるので、映画制作まじリスキーですね。観るのは楽しいけど、作るのは大変…。
映画制作のプロセスを確認したところで、「予告編とは何か」について紐解いていきましょう。
予告編もプロモーションの一部、ようは宣伝ですから、(当たり前ですが)公開前にリリースされます。
つまり、映画制作と並行して作られるわけですが、「予告編」は、上記のうちポストプロダクション、つまり、仕上げの段階で制作されるものになります。
一方「特報」は、それより前の段階で制作されるもので、撮影中かプリプロダクションの間に作られます。
たまに映像がほとんどないものがあるのはこのためですね。
実際の例を見てみる:『シン・仮面ライダー』
ここで実際の例を見てみましょう。
庵野秀明監督の『シン・仮面ライダー』。(公開は2023年3月17日)
予告編は2023年2月10日に公開されてますので、公開の約1か月前となります。
なお、公開後の2023年3月23日に「追告」なるものが公開されてます。
プロモーションの力の入れようがわかります。
「特報」は2022年5月13日で、公開の約10か月です。
実際の映像が使われてますので、撮影中以降に制作されていたことがわかります。
「超特報」なるものも作られており、これは2021年の4月3日に公開。
これは映像もなく、プリプロダクション時に制作されていたことがわかります。
超特報のみ25秒ととても短く、公開が近づくにつれ時間が長くなり、追告になると1分20秒になります。
特報より予告編のほうが長いことが多いとは思います。
ティザー/トレイラー、海外作品の例などについては後編にて!