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フィリップスの企業行動理論と知財

数回、心理学系の経営学を使って知財分析を進めました。今回はカーネギー学派の企業行動理論です。

サイモン教授の本では、例示のように高い壁で作られた迷路の中「蟻が限られた視線を右往左往しながら通る姿」を限定された合理性として説明しています。

サイモン自体は完全合理性の前提を持つ経済学を批判して、限定合理性を主張した人物でした。

認知出来る範囲の中で最善を選び行動を起こす。

つまり経営には瞬時の判断が必要となりますが、実際にはノロノロ、日系企業なら承認印のスタンプラリーや決済を受ける必要もあり、そんな決断出来ていません。

もうネタバレでしょうから正直に言うと、これまでの流れにはネタ本が有って「世界標準の経営理論 : 入山章栄著」です。今回はその【第2部 マクロ心理学ディシプリンの経営理論】

第11章 カーネギー学派の企業行動理論(BTF)│経営理論は名経営者の教訓を裏付ける

を読みながら実在の企業に当てはめした例になります。

経営と限られた合理性

限られた合理性なので、わからないなりに目標を立ててそれに向かって企業として進みます。

どうするのがベストなのか、景気のよい企業は名経営者の勘に頼っていますが、そういうと追試出来ないので今回はフィリップスのアニュアルレポートを例にどんな目標を持つのか検討してみ作ります。

PHILIPS

今回はタイムスリップして2014年の時点から見た視点と、2017年の対比してみます。

この頃から高収益を目標としており下記のように上から新しいエンジンを作り、

世界のリーダーの地位は拡大し、アンダーパフォーマンスなら撤退含め事業内容を区分して見えるかしています。

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実際に今ではヘルスケア以外全て社外にスピンオフしています。

また、当時のミッションはOur mission

To improve people’s lives through meaningful innovation

意味あるイノベーションを通して人々の生活を向上する

になります。ちなみにビジョンはOur vision

At Philips, we strive to make the world healthier and more sustainable through innovation. Our goal is to improve the

lives of 3 billion people a year by 2025. We will be the best place to work for people who share our passion. Together

we will deliver superior value for our customers and shareholders.と膨大な人々の生活を医療で改善していくことを目標としています。

数値目標は

Group financial targets for 2016

• Comparable sales growth 4-6%

• Reported EBITA margin 11-12%

• Return on invested capital >14%

以上、フィリップスのAnnual Report 2014 P14より

これをカーネギー学派はアスピレーション、自社の将来の目標水準と呼んでいます。

さて、フィリップスの今後の展望を見ると

視点

2014年の時点から見た視点を基準とし、2017年の結果の変化を見ると、都市化や慢性的生活習慣病は重要度がなくなります。

反対に新たに生まれたのが特許訴訟!

なお、縦軸が株主視点の重要さ、横軸のビジネスインパクトです。

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蛇足、フィリップスの最新 

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最新のアニュアルレポートだとこうなったらしいのですが、ビッグデータなとが新たに入っています。

また、ミッションも少し変わったようで2019年のアニュアルレポートでは、

Philips’ mission to improve people’s lives applies throughout our value chain

と、イノベーションからバリューチェーンに変わって表記しています。

目標としていたReported EBITA margin 11-12%を達成しているのが分かると思います。

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蛇足ついでにシーメンスも、10%を目標として、達成していない、電力事業や鉄道事業のモビリティにテコ入れをしていました。再掲して置きます。

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知財と限られた合理性

限られた合理性というのをサポートする存在として手前味噌ですが知財が有ります。認知範囲の拡大のためのサーチにより取りうる選択肢を探して行きます。

視点を拡げるために、特許分析して将来予測することが多々あり、ベンチマーキングとして競合他社の開発動向を公開特許や論文分析から洗い出します。

当たるも八卦、あたらねも八卦

ぐらいですが、やらないよりはやった方が良いレベルです。

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