【創作】 泡沫

これは一時の泡沫。記憶はおいていく。。

 自分を自分だと思う自我があるから、世界を認識できる。この世界はどうだろう。私欲のために平気で人を傷つける人がいるし、東京の駅は人が多すぎてみんな機嫌が悪そうだ。でも暖かい日光は心地よくて、新しく感じの良い人と出会うのは嬉しいものだ。

 こんな世界だ、正気でいる方が難しい。一度終わりへの恐怖を考えたことがある人は、わかるかもしれない。いくら考えてもどこまで考えても、人間であるかぎり認識できる世界には限界があって、「わからない」ことがわかるだけだ。ソクラテスか。
 考えてみてほしい。今あるこの世界は多分しばらくは続いていく。そのうち人類は滅亡して地球には人がいなくなるかもしれないし、明日にでも宇宙が暴れ出して火星も地球も飲み込んで全く別の世界が出来上がるかもしれない。そこには、記憶はなくても私とか親とか大好きな人とか、いるんだよきっと。この世界からいなくなることは、記憶がなくなることと同じくらいのことなんじゃないか。

 せっかく感情を持つ人として生まれたのだ、少しでも多く快い感情の中にいたい。そうは思うが、やっぱり怖いものは怖い。どうしようもない。いつか克服できる日が来るのだろうか。心穏やかに、明日を迎える幸せを持ちながら生きられるように。
 

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