
創作世界観「箱庭町」紹介
おかしな町で繰り広げられる、不思議でちょっとシュールな日常譚。
あらすじ
まだ肌寒さの残る春の朝。
進学の為、1人の少女が田舎からとある町へと旅立つことになった。
箱庭町。
それが町の名前である。
地図には載らず、詳細も不明。
町のことについて知っていることといえば、過去に父が訪れたことがあるということ、父が何気なく言っていた「あの町は面白い場所」ということだけ。
家族に優しく見送られ、少女は新しい生活を不安に思いながらも、意を決して町へと足を踏み入れる。
その町が、「不思議の町」であることも知らずに…。
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町内案内板
◇箱庭町(ハコニワチョウ)
何故か地図には載っていない。様々な空間と時空を寄り集めて作られた不思議の町。
人と人外が共存する。毎日不思議なことが起こるが、住人達はそれが普通だと思っている。
建っている建物はどれもこれも古く蔦が這っていて廃墟群のような雰囲気を感じさせるが、中は綺麗に改装しているので普通に住むことが可能。
(この町は訳有りだったり、忘れ去られたり、普通の世界で普通に生きられなかった人間や人外が大勢集まる場所であり、そういう物や建物も自然と集まって来る)
◇町役場(マチヤクバ)
見た目は古い洋館。屋根から大木が突き抜けており、建物の一部が崩壊している。町のど真ん中に存在する。
町長の職場。箱庭警護組織の拠点もこの中にある。特に用も無いのに中に入って来る住人が多い。暇を持て余した職員と同じく暇を持て余した住人がどうでもいい世間話をしていることが多く、賑やかで和やかな雰囲気が漂う。
◇箱庭警護組織・Schachbrett von Forsety(ハコニワケイゴソシキ· シャッハブレット フォン フォルセティ)
箱庭町を守る組織。警察のようなもの。箱庭町で起こった事件の調査、解決、パトロール、人(外)探し、草野球の助っ人、ご老人の生存確認及び話し相手等、仕事内容は多岐に渡り、警察よりもユルく活動している。武器も所持しているが、特別なことが無い限りは使用を禁止されている。
メンバー一人一人にチェス駒のコードネームが付けられている。
◇純喫茶 Schatz(ジュンキッサ シャッツ)
町の中心地、高校大学近くにある喫茶店。レトロな内装に昔懐かしのリーズナブルなメニューが年齢を問わず人気。オススメメニューは「スカイフィッシュのフライ」だが、店側が勝手にオススメしてるだけなので客から注文されることは少ない。
飲み込まれそうなほど真っ黒な色味をした「深淵の珈琲」が一番人気。
◇古譚博物室(イニシエガタリハクブツシツ)
町の至る所に突然現れる小さな博物室。今日博物室があった場所に、明日もあるとは限らない。
室内ではアンティークや誰かの遺品、魔法や呪いの道具、標本等が雑多に展示されている。
◇廃遊園地(ハイユウエンチ)
箱庭町と隣町の境目にある廃墟の遊園地。廃墟になって長い時間が経っているが、取り壊されていない。夜になると遊園地内の遊具が動いたり、音の外れた音楽が鳴ったり、誰かが出入りしていたりする。
◇水中廃墟(スイチュウハイキョ)
雨の後の箱庭町の水溜まりの中に、たまに見ることが出来る廃墟群。噂では死者の住まう場所とされる。時々、廃墟の中を誰かが出入りしている様子が見られる。
◇教会(キョウカイ)
箱庭町に突如出現した寂れた教会。中は暗く、どんなに外が明るくても僅かな光しか入らない。祭壇には像も絵画もなく、どのような神様が奉られているのかは不明。故に教会にやって来る者達は、各々の信じる神様に祈りを捧げている。
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住人紹介
◇冬森 小夏(フユモリ コナツ)

人間。高校へ進学の為、田舎村から箱庭町へ引っ越してきた少女。通称「夏ちゃん(なっちゃん)」。誰に対しても敬語で話すのが癖。田舎の外へ出たことが無い為、ちょっとだけ天然で世間知らず。箱庭町で不思議なものを見ても少し驚きはするが、「田舎の外はこんなものかもしれない」と自己完結する順応力カンスト娘。好物はいぶり漬けという渋い味覚を持つ。
◇フリューゲル・フォン・シャッフング(Flügel·von·Schaffung)

人外。箱庭町の町長。箱庭警護組織Schachbrett von Forsetyの創設者。
サボり魔。町長の仕事を放棄して町へと繰り出しては部下に捕まるというユルい日々を送っている。なんやかんやで楽しんでいる。
魔法使いと名乗る。自身の持つ不思議な力で箱庭町を創り出した張本人。誰よりも強い魔力を持つ筈なのに、やってることは魔力の無駄遣い。性格がノリの良い男子高校生。
◇琴原 瀧(コトハラ タキ)

人間。箱庭町の大学に通う青年。華奢な体型と顔でよく女性に間違われるが、れっきとした男。口が悪い。ツンデレなところがある。アルビノ。体の中に化け物を宿す。実家である琴原家が大嫌いで、数年前に実家から逃げ出したところを箱庭町の町長に保護された。困っている人を見ると放っておけず、無意識に人のお世話をしてしまうオカン(男)
◇アナザー(Another)

人外。瀧の体に宿っている化け物。老人のような話し方が特徴的でイタズラが趣味。琴原家では「琴原の子に取り憑き、その命と引き換えに名誉と富を与えてくれる神様」として祀られていた。数年前に瀧と共に箱庭町へ脱出。現在は瀧の中から生きて出る為の方法を探っている。
◇桜乃 霞(サクラノ カスミ)

人間。瀧と同じ箱庭町の大学に通う女子大生。テンションが高くノリも良く、可愛いものが好き。自称「愛の伝道師」。好きなものや可愛い子には素直に好き可愛い好きを伝えまくる。瀧のことが異性として好き。毎日のように告白するのに、全然相手にされていない。
◇黒瀬 雪治(クロセ ユキハル)

人間。箱庭町の隣町にある美大に通う青年。通称「雪(ユキ)」。グロいもの、ほの暗いもの、アンダーグラウンドなものが好き。描く絵もそれっぽいものばかり。麻霧の絵が大好き。とてもユルくのんびり屋な性格で、間延びした語尾を伸ばした話し方をする。時々「劇場」の裏方の話題を口に出すので、どうやら何処かの劇団に所属しているようだ。
◇夕麻 麻霧(ユウマ アサギリ)

人間。雪治と同じ大学に通う青年。ノリ良くたまに調子に乗ったりすることもあるけれど、肝心なところでヘタレを発揮する残念男子。絵を描くことと写真撮影が趣味。自分は平凡な絵しか描けないことを公言しているが、とても繊細な雰囲気の絵を描く。雪とルームシェアをしている。週に数回、真夜中に廃遊園地へと通っているようだ。
◇夢崎 菖(ユメサキ アヤメ)
人間。箱庭町内の中学校に通う少女。大人しく人見知りな性格で話せる人が限られるが、懐くのは割りと早め。
本が好きで、同じく本が好きな小夏や瀧とは仲良し。休日は図書館にいることが多い。
雨上がりに水中廃墟を探すことがよくある。彼女曰く「過去に水中廃墟にいた」。
◇奏(カナデ)
人外。箱庭町の高校が経営する寮を管理している少女。2羽の喋るカラスを従えており、寮管理の仕事を手伝ってもらっている。
お嬢様口調が特徴的。赤い着物に幼い容姿から、「座敷わらしみたい」と言うと怒る。
凝った料理を作るのが趣味。
◇名ノ羽 東雲(ナノハ シノノメ)
人外。箱庭町の高校で先生をしている狐面の女性。担当は数学。
分かりやすい授業方法で生徒からの信頼も厚いが、時々仕事のやる気を失って授業を勝手に自習にする。
酒豪。全く酔わずに延々と飲み続けられる為、箱庭町内の居酒屋をいくつか出禁になっている。
◇白元 風(シロモト フウ)
人外。箱庭町内で占い師をしている女性。よく当たると評判で、予約は一年先までいっぱいになっているほど。
基本的に傍観を貫く。町中で何か面白そうなことに遭遇すると、ニコニコ笑顔で特に口を出すわけでもなくずっと眺めている。
名ノ羽とは飲み仲間。同じく酒豪だが、出禁になる程飲み過ぎることはない。
◇光景弦祈(アキカゲツルキ)
人間。箱庭警護組織に所属する青年。組織ではSpringer(騎士)と呼ばれる。執事のように丁寧だが、人を巻き込むタイプの天然。
一年前に箱庭で起こった難事件を、その優秀さと天然さと勢いの良さとフットワークの軽さで見事解決した。
現在は廃教会に滞在している殺し屋師弟の監視役(?)をしている。
料理が趣味。時々純喫茶の手伝いをしている。有り余る好奇心でスカイフィッシュのフライを作り出した。
◇Krähe・Sucher(クレーエ・ズーハー)
人外。古譚博物室の管理をしている青年。町長の兄。魔法使いだと名乗る。
仰々しい口調が特徴的。
時折博物室に保存しているモノを、必要としているお客さんに渡すこともあるようだ。
町長に「お兄ちゃん」と呼ばれなくなったのが最近の悩み。
◇アトリ
人外。古譚博物室のお手伝いをしている少女型機械人形(オートマタ)。普段は丁寧な性格なのに、クレーエにだけは何故だか辛辣。
◇殺し屋(Mörder)
一応人間。箱庭町の教会に出入りしている青年。住人達から神父と(勝手に)呼ばれているが、その正体は裏社会の凄腕の殺し屋。…だったのだが、とある日フリューゲルの殺害を依頼され仕事に赴いたのはいいものの、残念ながら返り討ちに遭った。フリューゲルのかけた呪い(?)のせいで、お仕事が出来ない状態になる。現在は弟子のチビと共に、呪いを解く術を探す為箱庭町の廃教会に滞在中。常識がほとんど通じない箱庭町で頭を抱える日々を送る。
チビのことが気になる(?)
◇チビ(Kleiner)
人間。殺し屋にチビと呼ばれる少女。教会に出入りしている為、住人達からはシスターだと思われている。正体は殺し屋の弟子。まだ勉強段階なのでお仕事をしたことはない。言葉は話せず、筆談で会話する。
殺し屋のことは「あるじ」と呼ぶが、本当に主人とは思っていないようだ。
殺し屋と比べてとても素直な性格。常に無表情で何も考えてないように見えて実は考えているように見えるけどもしかしたら本当に何も考えてないのかもしれない。
正体を隠して小夏と仲良くなった。箱庭町での暮らしを楽しんでいる。
◇何でも屋(Nutzenmann)
人間。金さえ払って貰えたら、何でもやることをモットーとする青年。拠点としている裏社会から箱庭町に頻繁にやって来ては殺し屋をからかったり、殺し屋やチビに殺し以外の仕事を持ってくる。
支払われる金額によっては、人を平気で裏切る。
が、お金を支払うとあっさり戻ってくる。正に「現金な性格」。
掃除屋(putzfräulein)
人間。町中の掃除を生業とする女性。普通の掃除から殺し屋の仕事の後処理まで何でもこなす。箱庭町と裏社会どちらにも属しており、あくまでも中立の立場にいる。チビのことを気に入っており、何かと世話を焼く。殺し屋は嫌い。
リジー(Lizzie Borden)
人間。殺し屋。本質は殺人鬼に近い。何でも屋に拾われて以来、何でも屋を「お兄様」と呼び慕う。
裏社会組のことを、自分で考えた名前で呼ぶ。
曰く「名前はその人の本質を表す為に重要なものだから」とのこと。
たまに箱庭町に遊びに来る。チビと遊ぶのが好き。正体を明かさぬまま小夏とも仲良くなった。
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派生作品
(随時変更、追加予定)