親への離婚報告
いよいよ、ダンナが実家に来て、うちの両親に離婚報告をする。
午前中に野暮用があったため、昼頃にダンナと待ち合わせ。
私は談笑はもってのほか、真正面でダンナの顔を見ることもツライ状況だ。
なにせ、私は今をもって離婚を受け入れられていないのだ。
ダンナは繊細だが、鈍感で天然だ。
いつもと変わらずに私と接する。
それをまともに受け止められない私がいる。
サッパリ、キッパリ、明るくなんかできない。
完全に「こじらせ女」だ。
ダンナとまともに会うのは裁判所での調停の日以来。
だけど、あの日は同じ空間にいただけ。
私は一瞥もくれなかったので、実際に対面したのは半年ぶりくらいだろうか。
実家に向かうまでに時間が少しあったので、2人でカフェへ。
まだ昼食をとっていなかった私はサンドイッチとコーヒーを注文。
ダンナは食欲がないということで朝食も取らず、カフェでもコーヒーに口をつける程度だった。
鈍感で天然なダンナであっても、今回ばかりは結婚報告以来の緊張感だったのであろう。いや、そうでなければ困る。
予告通りスーツ着用で実家にたどり着いたダンナ。
その格好には不似合いなほど暑い日だった。
ダンナは事前の下打ち合わせよりも、ちゃんと話していた。
「娘さんは一切悪くない」、という私へのフォローもきちんとしていた。
短期で癇癪持ちの父親は、努めて、時には笑みを浮かべながら冷静に気持ちを返していた。母親が言葉を詰まらせながら「離婚しないとダメなのか」と言ったことが聞いていてつらかった。
子供がいない夫婦は離婚するのは簡単だ。
だけど、悲しむ人がいないわけではない。
欧米のように、別れることや、籍を分かつことなんて痛くも痒くもないよー、というマインドが欲しい。
今までだいぶイレギュラーな人生を送ってきた私だが、今回の件を通じて世間体や周囲の反応を気にしている小さな自分に気づいた。
母親はいつもの母親で、帰り際にお土産をダンナに渡していた。
父親は、「これで会うのは最後かもしれないな」と送り出した。
その後、半日ほど二人で観光っぽいことをした。
周囲からしたら普通のカップルだが、離婚をする直前の二人なのだ。
10年以上夫婦としてやってきたわけなので、一緒にいることの違和感がない。喧嘩別れをするわけでもない。
結婚指輪が指に食い込んで外れないことが、悩ましい。
「これで会うのは最後かもしれない」と言った父に、書類にサインをもらうために間もなく再会することを伝えなければならない。
また、気が重い・・・(つづく)
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