【事例で解説】部署の業務の理想像を描くために・「前提」と「方針」を整理する方法
みなさんこんにちは林です。
今回はマネージャーの課題解決に必須の「理想像を描く(定義する)」ということについてまとめようと思います。
以前、下記のnoteの中で課題解決するために、理想を定義して現状と比較し、施策を立案する流れを書きました。
記事中の課題解決事例は、「オンライン商談で○○IDを獲得するために」をテーマに営業プロセスを分解し、現状と比較するというテーマでしたので、理想状態が比較的イメージしやすいものでした。
一方で、上記の例とは違い「まだ世の中に比較できるような例がない」ため、理想状態を定義するのが比較的難しいもの・部署、というものもあります。
今回はそんなケースを想定し、その場合の理想状態の描き方についてまとめます。比較的抽象度と難易度が高いテーマですが、イケてるマネージャーを目指す上でマストなスキルです。
僕が所属するPOPER社で昔、とあるマネージャーが経験したことをもとに、ちょっとフィクションさせてもらって、「SaaS企業におけるCSでの理想状況の設定」を題材にご説明します。
<ケーススタディ> カスタマーサクセスチームの理想状態を描く
▽ケース(状況)
・A社はSaaSモデルでクラウド型業務管理ツールを提供しています。
・一般的なSaaS企業がそうであるのと同じで、カスタマーサクセスが重要な観点であるため、日々そのあり方の改善に勤しんでいます。
・SaaS企業におけるCSは一般的に、テックタッチ・ハイタッチ、にわけられますが、A社は基本的にはテックタッチがベースです。
・一方、顧客から伴走支援のニーズが高く、一部の顧客に有償でCS担当をつけることにしました。
・あなたはその部署のマネージャーであり、今後半期の目標を設定する上でまずは「部署のあるべき理想像」を描く必要があります。
どうでしょうか。
SaaS企業で顧客に担当がつく、ということはけして珍しい話ではありませよね。一方でどんなことを、どのくらいの頻度でサービスとして提供するのかは各社かなり大きな差があります。
まだまだ日本におけるSaaSプロダクトの世界ではこの領域は、営業の世界ほど「一般的な成功の型」は普及していないように思います。
営業におけるセールスフォース社など「〇〇系の商材なのであればあの会社の仕組みから学べはよい」という会社もない。
さて、どのように整理を進めればいいでしょうか・・?
まずは部署の役割を「前提」として設定する
今回のケースに限った話でなく、
抽象的なテーマについて考えるときは、
1.そのテーマを考える上での「前提」を整理する
└ずっとぶれない考え、定義は?
2.前提を考慮した場合の「方針」を考える
└どんなことをすれば「前提」を満たせるの?
└最終的にはどこまでやるの?
※段階で整理するとよい。
3.方針を実現させるための施策を考える
└具体的には何やるの?
という流れですすめるとスッキリとまとまります。
「まずは前提を置こう」
という部分が慣れないと難しくきこえるかもしれません。
なので、「部署のあり方」という今回のようなテーマを考えるときは「自分の部署の役割とは●●をすることである」という定義を前提として置いてみてください。
下記の2つを意識しながら整理するといいです。
・自分たちがどんな存在であり、どんな役割なのか
・最終的には、誰に、どんな状態になってもらいたいのか
例えばこのように考えます。
▽前提整理
・我々はこんな役割を持つチームである。
▽方針
・ということはまずは顧客にこうなってもらって、
・最終的にはこんな状態になってもらうようサービスを提供すべきである。
・そのように考えると、その最終状態に至るまでに、○段階のステップがあある
▽施策
・方針で整理した各段階の理想状態はそれぞれこうだから、各段階ではそれぞれこんなことをするべきである。
実際にあてはめて考えてみましょう
上記の枠組みに、先程のケースを当てはめてみます。
もしよければみなさんも一回想像してからこの後を読み進めて見てください。
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▼参考回答
どうでしょうか。
もちろん前提の整理の仕方次第で何通りでもつくることができますが、例えばこんな感じです。
これが整理できたらおなじみの、
理想ー現状=課題 のフォーマットに落とし込んで目標設定や施策検討を進めることができます。
今回は新規の部署(チーム)を想定しているので、もし現状プロセスが無い場合は下記のように現状と課題をまずはハショって、整理することから始めてもよいと思います。
▽上記をもとにした業務プロセス設計例
ちなみに)このように考えを整理しておくとPDCAがうまく回ります
このnoteの本題とはずれますが、さきほどのように自分の考えを整理しておくとPDCAもうまく回ります。
先程の図をもちいると下記の3つのPDCAが存在します。
1.「前提、方針は間違っていないと思うけど結果が出ない」というときは施策の取り組み方や施策自体を変えてみます。
2.「施策だけの問題じゃないぞ」という場合は方針のあり方で変更が必要な場所がないかを見直します。
3.1・2をやっても成果につながらない、というときはそもそもの前提となる考え方自体を見直します。
一般的に「PDCAを回す」というと「1」だけに終始してしまうケースが多いように思いますが、そうでなく上記のすべてを必要に応じて回せることが真のPDCAだと思います。
とはいえ慣れていないと、この3つを常に意識しながら業務に取り組むことは難しいのでこのように図で整理しておくと定期的に振り返った時に思考の整理の手助けになります。
ビジネスのとても重要なポイントは「止まらずに走ること」です。
とにかく「何かが悪いからうまくいかない」わけなのでどれを変えるべきなのかを見極め、スピードを緩めずに走りつづけることができる企業が、成果を出しつづけられる企業だと思います。
まとめ
いかがでしたか?
ちょっと抽象的なテーマでしたが、
長いこと仕事してれば
「理想状態とか言われてもそんなのわからないよ・・・」と絶望することは1度や2度ではないと思います。
特に役職が上がり部署や事業を任せてもらえるようになったとき、それは急にやってきます。
唯一無二の正解があるわけでないため、
すばやく「正しい考え方」で自分なりの仮説を導き出すことが重要なのである点を忘れないでください。
もしこのnoteが、悩めるマネージャーのみなさんの手助けになったようであれば何よりです。
みなさん頑張りましょう。僕もがんばります。
それではまたの機会に!
今後も【まずはここから】マネージャーの仕事術マガジンに、こうしたテーマの記事をまとめていこうと思います。
悩み多きベンチャー企業のマネージャー達の救いになればという思いで書いてます。いずれ考え方・メソッドをまとめた参考書みたいものがつくれたらいいなーと思っています。
参考になった、という方は今後もお付き合いのほどよろしくお願いします!