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【雑木の庭づくり#03】つくりたい雑木の庭
つくりたい庭
私がどんな「雑木の庭」をつくろうとしているのかを、より具体的に書いてみたいと思います。と言いながら、自分自身の「つくりたい庭」を再確認するための覚書のようなものになりそうな予感がしています。
頭の中ではなんとなくのイメージはありますが、それを言語化することで、自分自身も「つくりたい庭」を整理できると思い、書いてみることにしました。少々お付き合いください。
———やさしく吹き抜ける風
視線を落とした時に、木々の間をそよふく風が目に映るかのような自然環境を、住まいに再現したいと考えています。子どもが庭の中に流れる風から「季節」の薫りを感じ、のびのびと育っていって欲しいと思っています。
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(写真:ガーデンスタジオ雅楽庭・新光園/お知らせ・ブログ)
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(写真:andokoumuten | Instagram)
———ちらちらと揺れる木漏れ日。
冬は日だまりとなって家と家族を暖め、夏は緑陰となって暑さを鎮めてくれる心地よい庭をつくりたいと考えています。今日の木陰と明日の木陰。一日として同じものがないのもまた、いのちあるものの揺らぎのようで、とても味わい深いものです。
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(写真:enzo_garden / Instagram)
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(写真:山一造園株式会社 | 施工事例)
———涼やかな緑陰。
緑陰は太陽の強い陽射しを遮り、涼しい場所を家族にもたらしてくれます。自然樹形の高木がつくりだす高い位置からの緑陰は、単なる日陰とは異なり、暗すぎない優しい木陰をつくりだしてくれます。そんな緑陰の中で、ゆっくりと深呼吸して過ごせる庭をつくりたいと考えています。
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(写真:enzo_garden / Instagram)
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(写真:山一造園株式会社 | 施工事例)
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(写真:andokoumuten | Instagram)
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(写真:hishidakoumuten | Instagram)
———想像を掻き立てる高木。
部屋の中から切り取られた景色に、生き生きとした高木の幹が見えたとき、その上に広がる枝葉の様子を想像させます。眼前に全容のわからない幹の姿が迫るがゆえに、その幹上で躍動する木々のいのちと四季の変化に高揚感を覚えます。見えない「先」の想像を楽しませてくれるような、高木の魅力に満ちた庭をつくりたいと考えています。
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(写真:hisidakoumuten / Instagram)
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(写真:hisidakoumuten / Instagram)
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部屋のどこにいても見える高木は「生活」を特別な空間にしてくれる。
(写真:hisidakoumuten / Instagram)
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(写真:hishidakoumuten | Instagram)
———葉雫に輝く地面。
冬の冷たいはずの雨さえも温もりを感じる雑木の庭をつくりたいと考えています。晴れの日も雨の日も、あるいは雪の日も。すべてを温かく享受できる庭にしたいと思っています。雨が降った後の雑木の庭は葉雫で地面が輝きます。それはまるで、一つの庭が、一つのいのちとなったかのように、静かに息づいているかのようです。こういった環境の中で過ごすことで、自分たちが自然と共に生きていることを毎日実感できる環境にしたいと考えています。
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(写真:小森造園 / 施工事例)
———生命が輝く芽吹き時。
柔らかく華奢な枝から力強く芽吹く姿は、なんだかいつも背中を押される気分です。窓辺やデッキから、日に日に変化する様子を観察し、木々の芽吹きの瞬間を味わうことのできる庭をつくりたいと考えています。
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(写真:enzo_garden / Instagram)
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(写真:saien28 / Instagram)
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(写真:自庭)
———清々しい青葉。
初夏の空に突き抜けるように伸びゆく青葉。木立の間から見える青空を、葉越しに仰ぐことのできる庭をつくりたいと考えています。
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(写真:小森造園 / 施工事例)
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一枚一枚の葉は真上からの光を受け止めるのに適した形と付き方になっている。
(写真:tanaka_ryokuseien / Instagram)
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(写真:saien28 / Instagram)
———燃えるような紅葉。
陽の照った紅葉を裏側から見ると夢幻の中にいるように感じます。裏紅葉もまた、自然が与えてくれた至福です。
ところで、個人的に最も好きな樹木の一つであるイロハモミジは、子どもを自分と同じ岩の上で育てようとします。競争のない岩の上ですが、土がないため、子どもはそのままでは生きていくことができません。そこで、種を落とす前に、栄養たっぷりの紅葉を岩の上に落として、それを土の代わりにするのです。そのためか、岩の上で子どもたちが芽生えているのをよく見かけます。それはまるで、田舎から都会へ出て行く子どもに、母親が持たせる手弁当のようにも思えます。
そういった木々のもつ特徴を知っていると、秋に燃えるように色付くイロハモミジの紅葉も、今まで見てきたそれとは異なる見方で目に映ります。「しばらくは親の葉の栄養で育つが、いずれは自分で強く生きていかなければならない。」そんなことを、紅葉を見ながら、やさしく子どもに伝えることのできる庭をつくりたいと考えています。
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(写真:小森造園 / 施工事例)
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(写真:小森造園 / 施工事例)
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(写真:小森造園 / 施工事例)
———天に枝張る冬木立。
一見寂しげな冬木立ですが、空に向かって伸びやかに枝を伸ばし、地面の中では強かに根を張っています。この姿もまた、逞しく美しく感じるのは自然樹形の木々でつくる雑木の庭ならではです。冬の空に映る逆光の樹形を存分に楽しむことのできる庭をつくりたいと考えています。
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(写真:enzo_garden / Instagram)
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(写真:自庭)
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(写真:自宅近くの公園)
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(写真:自宅近くの里山の雑木林)
上の写真の実際の雰囲気です。コナラやクヌギの木々が落とした落ち葉が、まるで絨毯のように広がり、そこに木漏れ日が降り、非常に落ち着いた雰囲気の雑木林になっています。
「雑木の庭」は一日にしてならず。
自然樹形をもつ樹木の力を最大限に借りて里山の風情豊かな雰囲気をつくるのが「雑木の庭」です。先にあげさせていただだいた雑木の庭の写真は、どれも決して1本だけの自然樹木で生きているわけではありません。周辺の木々と競合し、時には補い助け合い、共生関係の中で健康な命を繋いでいます。
雑木の庭空間。
すなわちそれは、暮らしの環境を良くするために、健全な木々の力を利用させてもらおうとする試みなのです。ですから、単に私たちの暮らしの環境を良くするために木々の声に耳を傾けることなく一方的に木を利用しようとする発想ではなく、「木々の恩恵を暮らしに生かす」という姿勢でい続けたいと思っています。
さて、自分自身がどんな「雑木の庭」をつくりたいのかを再確認することができた気がします。
「雑木の庭」は一日にしてならず———。
そんなことを思う今日この頃です。
ゆっくり、まったりと、木々の生長と同じような速度で、雑木の庭づくりを楽しんでいきたいと思います。