これが分かる人なら要らないであろう解説
実正規変換編
さて, 実正規変換$${F}$$は固有空間$${\bm{W}(\alpha)\oplus\bm{W}(\tilde{\alpha})}$$の正規直交基底$${\{u_1,v_1,\cdots,u_m,v_m\}}$$に関する表現行列が
$${\begin{pmatrix*}[r]a&-b\\b&a\\&&\ddots\\&&&a&-b\\&&&b&a\end{pmatrix*}}$$
となるのであった. この理由を簡単に説明する.
まず, $${\{w_1,\cdots,w_m,\overline{w}_1,\cdots,\overline{w}_m\}}$$に対し,
$${\begin{cases}F(w_i)=\alpha{w_i}\\F(\overline{w}_i)=\overline{\alpha}\,{\overline{w}_i}\end{cases}}$$
であったことを確かめておく. ここで$${u_i,v_i}$$の定め方及び, $${\alpha=a+bi}$$であったことから$${F(w_i)=F(u_i)+iF(v_i)}$$で, $${\alpha{w_i}=(au_i-bv_i)+i(bu_i+av_i)}$$より, 実部及び虚部を比較して,
$${\begin{cases}F(u_i)=au_i-bv_i\\F(v_i)=bu_i+av_i\end{cases}}$$
となるため, 表現行列は上のようになる.
一般の実線形変換編
一般の実線形変換$${F}$$とその固有値$${\alpha}$$について考える. 広義固有空間$${\bm{\tilde{W}}(\alpha)\oplus\bm{\tilde{W}}(\overline{\alpha})}$$の部分空間$${\bm{U}\oplus\bm{\overline{U}}}$$に対し, その実線形空間への制限$${U}$$を考えることができる. $${F}$$を$${U}$$の基底$${\{u_1,v_1,\cdots,u_q,v_q\}}$$について表現する行列は
$${\begin{pmatrix*}[r]a&-b&1\\b&a&&1\\&&&&\ddots\\&&&&&1\\&&&&&&1\\&&&&&a&-b\\&&&&&b&a\end{pmatrix*}}$$
となるのであった.
まず, $${\bm{\tilde{W}}(\alpha)\oplus\bm{\tilde{W}}(\overline{\alpha})}$$の基底として, $${\{w_1,\cdots,w_m,\overline{w}_1,\cdots,\overline{w}_m\}}$$をとり, $${w_k=u_k-iv_k}$$と定義されていた. $${F}$$の複素拡大$${F_c}$$については$${F_c(w_1)=\alpha{w_1}}$$, $${F_c(w_k)=w_{k-1}+\alpha{w_k}(2\le{k}\le{q})}$$となることがジョルダンブロックの形から分かる. これと, $${u_k,v_k}$$の定義から, 実部, 虚部を比較すると
$${F(u_1)=au_1-bv_1}$$
$${F(v_1)=bu_1+a_v1}$$
$${F(u_k)=u_{k-1}+au_k-bv_k(2\le{k}\le{q})}$$
$${F(v_k)=v_{k-1}+bu_k+av_k(2\le{k}\le{q})}$$
となり, 表現行列は上のようになる.
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