リゾットのお話

リゾットはイタリアの料理で,  米をブイヨンで煮詰めたものである.  一見日本のお粥やおじやに似たこの料理はこれらとどのように違うのか,  解説しようと思う.

まず,  使う米から違う.  リゾットに使われる米は当然といえば当然だが,  イタリア周辺で採れたものである.  中でもカルナローリ米は有名である.  これらの日本の米との違いは,  アミロースとアミロペクチンの比率,  そして大きさである.

日本の米はアミロース含有量が少ない.  平均的には20%程度と言われている.  日本を代表する米,  コシヒカリはアミロース含有量が16%とさらに少ない.(ちなみにもち米は100%アミロペクチンである.)
一方イタリアの米はアミロース含有量が30%弱と高めである.  例としてカルナローリ米は28%ほど含まれている.  また,  ジャスミンライスやバスマティライスなどは35%程度とさらに高くなっている.
実はカルナローリ米もジャスミンライスやバスマティライスも同じインディカ米の一種であるが,  カルナローリ米はリゾット用に品種改良されている.  また,  カルナローリ米と並んでリゾット用の米として有名なアルボリオ米はジャポニカ米の一種で,  日本の米と同じである. 
そして,  イタリア米は日本米と比べてかなり大きい.  中には2倍以上の差がでる品種もある.

ではこうした違いがどのようにリゾットへの向き不向きに関係するのだろう.

イタリア米はアミロース含有量が多く,  粒が大きいおかげで,  ブイヨンで煮たときベチャっとならず,  粒1つ1つが離れる.  また,  イタリア米はアルデンテに仕上げやすい.  これがリゾットに大切な要素だ.  米がくっついたり,  ベチャベチャになると,  失敗である.  一方,  アミロース含有量が多すぎるインディカ米は,  あまりブイヨンを吸わず,  今度は味の薄いものになってしまう.  こういった点から,  イタリア米はリゾットに最適なのだ.

日本米でリゾットを作った場合これはどちらかというと,  リゾットというよりミネストラになってしまう.  逆に言えばミネストラを目指せば日本米でも十分美味しいイタリアの米料理が作れるというわけだ.

最近は通販でイタリア米を買うこともできるが如何せん高価である.  そのため,  国産の「和みリゾット」という米が比較的安価に手に入るのでそちらも検討してみるといいだろう.  とはいえ,  本物のイタリア米を使ったほうが美味なのは間違いないだろう.  国内でもカルナローリ米は生産されているらしいが,  流通量は相当少ないように見える.  もっと手軽に入手出来れば良いものだが…

どうしても手に入らない場合は諦めてお近くのトラットリアなどを訪れることを推奨する.  ちゃんとしたお店ならばイタリア米を必ず使っているだろう.

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