コンマ圏
コンマ圏の定義と考える理由を解説していく.
定義
$${\mathcal{C_0,C_1,D}}$$を圏, $${F\colon\mathcal{C_0\to D}}$$,$${G\colon\mathcal{C_1\to D}}$$を関手とする. このときコンマ圏$${F\darr G}$$は以下からなる.
対象は三つ組$${< c_0,c_1,f>}$$で, $${c_0}$$は$${\mathcal{C_0}}$$の対象, $${c_1}$$は$${\mathcal{C_1}}$$の対象, $${f\colon Fc_0\to Gc_1}$$は$${\mathcal{D}}$$の射.
射は二つ組$${< g_0,g_1>}$$で, コンマ圏の対象を$${< c_0,c_1,f>}$$, $${< c_0',c_1',f'>}$$としたとき, $${g_0\colon c_0\to c_0'}$$, $${g_1\colon c_1\to c_1'}$$で, $${Gg_1\circ f=f'\circ Fg_0}$$を満たす.
性質
コンマ圏$${F\darr G}$$に対し, 次のような関手$${P_0,P_1}$$が定められる.
対象$${< c_0,c_1,f>}$$に対し, $${P_0(< c_0,c_1,f>)=c_0}$$. 射$${< g_0,g_1>}$$に対し, $${P_0(< g_0,g_1>)=g_0}$$.
対象$${< c_0,c_1,f>}$$に対し, $${P_1(< c_0,c_1,f>)=c_1}$$. 射$${< g_0,g_1>}$$に対し, $${P_1(< g_0,g_1>)=g_1}$$.
また, ここには自然変換$${\theta\colon F\circ P_0\Longrightarrow G\circ P_1}$$が定められる.
コンマ圏の対象$${< c_0,c_1,f>}$$に対し, $${\theta_{< c_0,c_1,f>}\colon Fc_0\to Gc_1}$$を$${\theta_{< c_0,c_1,f>}=f}$$と定める.
コンマ圏はpullbackと似ているが, 射の合成が可換になる代わりに, 関手の間の自然変換を考える. こうすることで, $${=}$$よりも一般的な場合について議論できる.
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