普遍射と随伴
定義
$${\mathcal{C,D}}$$を圏, $${F\colon\mathcal{C\to D}}$$を関手とする. このとき, $${\mathcal{D}}$$の対象$${d}$$に対して, $${F\text{から}d\text{への普遍射}}$$とは次からなる.
(i)二つ組$${< c,f>}$$で, $${c}$$は$${\mathcal{C}}$$の対象, $${f\colon Fc\to d}$$
(ii)同じ条件を満たす$${< s,k>}$$に対して, ある$${\mathcal{C}}$$の射$${h\colon s\to c}$$が一意に存在して, $${f\circ h=k}$$
定理
各$${\mathcal{D}}$$の対象$${d}$$に対して, $${F\text{から}d\text{への普遍射}< Gd,\varepsilon_d>}$$が存在するとする. このとき$${G\colon\mathcal{Ob(D)\to Ob(C)}}$$は対象$${d,d'}$$と射, $${f\colon d\to d'}$$に対して$${Gf}$$を$${\varepsilon_{d'}\circ h=\varepsilon_d}$$となる一意な$${h}$$として定めることで関手にできる.
証明
$${d_0,d_1,d_2}$$を$${\mathcal{D}}$$の対象, $${f\colon d_0\to d_1,g\colon d_1\to d_2}$$を$${\mathcal{D}}$$の射とする. このとき普遍性から, $${G(g\circ f)}$$は$${\varepsilon_{d_2}\circ FG(g\circ f)=G(g\circ f)\circ \varepsilon_{d_0}}$$であり, 一方$${\varepsilon_{d_2}\circ FG(g)\circ FG(f)=Gg\circ Gf\circ \varepsilon_{d_0}}$$であるため一意性から, $${G(g\circ f)=Gg\circ Gf}$$.
対象$${d}$$と恒等射$${id_d\colon d\to d}$$に対し, $${\varepsilon_d\circ FG(id_d)=G(id_d)\circ \varepsilon_d}$$であるが, $${id_{Gd}}$$は明らかにこの等式を満たすため, $${G(id_d)=id_{Gd}}$$.
よって, $${G}$$は関手.
定理
この関手$${G}$$は$${F}$$の右随伴. $${F\dashv G}$$となる.
証明
$${\mathrm{Hom}_{\mathcal{D}}(Fc,d)\cong\mathrm{Hom}_{\mathcal{C}}(c,Gd)}$$を示す.
$${f\colon Fc\to d}$$を任意にとると, そこに射$${h\colon c\to Gd}$$が一意に存在するためこれが$${\mathrm{Hom}}$$の全単射となる.
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