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小学校中退の人生。
「なんで学校に行かないとだめなんだろう?」
小学校4年生の時、そんなことを考えてしまった。
ここから僕の人生は盛大に脱線してしまう。
父親に相談してみた。
「なんで学校に行かないとだめなの?」
一般的な家庭なら
「余計なことを考えずに行かんかい!」
で終わるだろう。
しかし、我が家の父親は違った。
「その問いが生まれたのなら、行かなくてもいい。」
予想外の答え。
哲学者かよ。
そして、僕は小学校を4年生で中退した。
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しかし、中学校までは義務教育。
小学校〜中学校は中学校の卒業式が終わった後に登校した。
はじめた会った校長先生に固い握手をされ
「うん。うん。君ならきっと大丈夫。」
と言われた。
不安だけど謎の自信があった。
それから長いフリーター生活がはじまる。
近くのコンビニバイトから始まり、
海苔の入った箱を15時間延々と積んだり
地元の刑務所に防犯カメラを運んだり
パワハラの森みたいな居酒屋でチキンカツを揚げつづけたりした。
バイトしながら格闘技したり友達と好き勝手遊んでいた。
お金も未来もなかったけど
平和で楽しかった。
そんな、僕も
彼女ができた。
3回の告白を経てやっと付き合うことができた5歳年上の彼女
僕は18歳のフリーターだった。
半同棲をしながら
「必要最低限のお金を稼ぎ晩ごはんを作って彼女の帰りを待つ」
という半ヒモ生活を続けた。
そんなある日、
彼女が通帳を見て泣いていた。
給料のほとんどが毎月の生活費に消えて、働いても働いてもお金が貯まらないって泣いていた。
「このままじゃだめだ」
それからアルバイトの時間を3倍にした。
苦労不足の人生にはめちゃくちゃきつかった。
そして、お金を貯めてwebデザインの専門学校に入学した。
最初は授業がまったく分からなかった。
小学4年生で学校に行かなくなったから、当たり前なんだけど、とにか頑張った。
そして2年後、素晴らしい人たちに恵まれたこともあり、奇跡的に地元の広告代理店にウェブデザイナーとして入社することができた。
5年間働かせて頂いて、ウェブ制作だけじゃなく広告のさまざまな事を学ばせて貰った。
ありがとうございます。
その後、
思い切って中古の家を買った。
親父とお袋も呼んで一緒に住むことにした。
そして
30歳で独立しフリーのウェブデザイナーになった。
当初はいつ仕事とお金がなくなるかビクビクして暮らしていたが
気づけばまだ何とか続けることができている。
そんな時ふと考えることがある。
小学校4年生のときに親父が言った言葉だ。
「その問いが生まれたのなら、行かなくてもいい。」
小学校を行かない理由を小学生に分かるように説明できる大人はとても少ない。
たいていの人は
「大人になれば分かる」
と言ってしまう。
小学校に行くことは99%の人にとっては「あたりまえ」のことだけど
僕にとってはそうじゃなかった。
親父はそんなこどもの問いを大人と同じ用に扱って自分の言葉で伝えた。
これは同じこどもを持つ親として、なかなか勇気があるなぁ〜と感じる。
奇遇なことに今の仕事は
「あたりまえを疑うこと」
が大事だったりする。
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今住んでいるところは、近くにとてもキレイな湖がある
そこで家族とよく散歩をする。
息子は来年、小学生。
繋いだ小さな手を見ながら、
いつか僕と同じような質問してくるのかなぁーと想像してしまう。
きっといきなり来るだろうし、ドキドキしちゃうけど
もしその時がきたら、僕がしてもらったように自分の言葉で
大切にしっかりと答えたいと思う。