いつまで格闘技をつづけるのか悩む
先週の日曜日、空手の試合に出場した。
僕は仕事をしながら年に2回くらいのペースで大会に出ている。
正直、ウェブディレクターの仕事とまったく関係ない競技だけど
20年以上続けているので辞めるという感覚が麻痺している。
とはいえ、先日の試合ではじめて派手な一本負けをした。
胴回し回転蹴りという前転しながら、かかとを相手の顔にぶち当てるという大技を食らって負けた。
長く空手をしてきたけど、一本負けは初めてで
しかも思いっきりこめかみに食らってしまったので試合中の記憶が飛んでるし、3日たったいまでも腫れてて下手くそなツボみたいな輪郭になっている。
今回の大会は通っている道場が主催ということもあり
結構練習頑張って調子も良かった。
一回戦はかなりいい感じで勝てた。
だから二回戦での一本負けはショックだった。
そして何より、怪我のリスクを再認識した。
僕はフリーランスだ。
家族もいる。
大きな怪我をして仕事に支障が出てしまえば多くの人に迷惑をかけるし、生活の基盤もゆらぐ。
今回の負け方はそんな危険性をはらんでいた。
もし鼻に当たっていれば折れただろうし目にあたってれば失明したかもしれない。
自分はそんな危険な競技をやっているんだなと。
「自分はなんのために空手を続けているんだろう」
ズキズキとこめかみが痛む中で考えた。
最初は、純粋な「強くなりたい」という気持ちがきっかけだった。
その後、道場は居場所になった。
仕事やプライベートで嫌なことがあっても空手をしている時は忘れることができた。
道着を着て帯を締めた瞬間、スイッチが入る感覚がとても好きだ。
そして、試合の緊張と高揚感。
あれはやってみないと分からない感覚だと思う。
「戦ってどちらが強いかを決める」というシンプルで本能的な世界は、
どこか非現実的で映画の世界に入ってしまったようだ。
そして、勝っても負けても終わって家に帰ってきた時の安堵感は
「生きてるぜ〜」と実感する。
空手は50歳を超えても試合に出続けている人が沢山いる。
引退するのがとても難しい競技でもある。
武道の奥深さを知ると、歳を重ねても強くなる気がする
実際に強くなっている人がいる。
僕も同じように、20歳の頃よりも反射神経は落ちているけど、
組手の強さなら38歳の今の方が上だと思う。
武道は生涯競技と言われることがある。
たとえ体の向上が止まっても、心の鍛錬は死ぬまでつづく。
激しい競技なので、長くやっている人は古傷だらけだ。
それでも今できる最大の稽古を行って常に武の探求をする人たちはかっこいいし心身ともに強い。
多分僕はそんな武道家への憧れがどこかにあるんだと思う。
今の時代「死ぬことと見つけたり」みたいな考え方は古臭いのかもしれないけど、そうした覚悟を持って挑む精神性は心の奥に宿していたい。
空手の試合に出て死ぬことは滅多にないけれど
長年鍛えてきた者たちが素手素足で思いっきり殴り合う舞台に立つ前には
死んでも文句はいいませんと誓約文にサインをする。
今回の一本負けで、揺らいだ心は
3日後にはもっと強くなるためにはどうするか?という思考に切り替わり
バッグに道着を詰め込んでいるので、もうしばらくは試合に出続けるんだろうなぁ。
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