DV相談のお仕事18
親や兄弟、姉妹からの暴力相談が増えています。でも、それは残念ながらDV相談では受けられません。
コロナ以降、親や兄弟、姉妹から暴力を受けている、どうにかならないか、行き場かないという相談が増えています。特に若い女性から多いように感じます。
「親からDVを受けています。」「家庭内暴力で困っています。」
と言われたら、誰からの暴力で、誰が困っているのかまず聞き取ります。
DV防止法が2001年に制定されてから約20年になります。DV(ドメスティックバイオレンス)が「家庭内の暴力」と訳されて、日本で浸透したためか、家庭内で起こるすべての暴力がDVであると誤解されています。
DV防止法の対象となる暴力は「配偶者または親密な関係にある男女の間で起こる暴力」です。
DV法ができるまでは、夫婦間の暴力は「夫婦喧嘩、痴話喧嘩」などと呼ばれて、警察も介入しませんでした。その結果、たくさんの女性が大怪我をしたり、命を落としたりしました。
家庭内で起こる暴力だからこそ、外からはわかりづらく、見えにくいものでした。相談先もなく、多くの女性が苦しみました、我慢を強いられました。それでできたのが、DV防止法です。夫や親密な関係にある男性からの暴力も決して許されない、見逃してはならないと。
DV防止法が対象にするのは誰からの暴力か。
夫、内縁関係にある男性、元夫、同棲中の彼、同棲していた元彼、などなどです。(などなどと曖昧な表現をしたのは、聞いてみないとわからない関係が他にもあるからです)
現在あるいは過去に生活を共にしていた、男女の親密な関係にあった人が対象です。(LGBTのカップルの場合ももちろん相談可能です)
明らかにDV法の対象にならない場合は、他の相談先を案内します。
「暴力はどれも一緒でしょ、話をきかないのはおかしい」
と怒られることがあります。でも、話すだけでなく具体的な助けを求めていたり、支援索を知りたい場合はDVセンターでは無理なのです。
内科を受診して、外科の手術をしてくださいという感じでしょうか。
正しい相談先につながることが、相談者の支援につながるものと思います。何度も同じ話をさせないように、きちんと聞き取りたいと思います。
気をつけないといけないのは、父から暴力を受けていると言われた時です。父親から母へ、つまり配偶者からの暴力も同時に起きている可能性が大きいです。丁寧に、落ち着いて聴く必要がありますね。(自戒を込めて)
相談者が18歳未満のときは、たとえ相談内容がDVでないとしても、こちらから児童相談所につなげることもあります。
市町村の女性相談とうたっている相談先は、DV法以外の暴力相談も受けている所が多いようです。DVセンターと市町村の女性相談では、受けられる相談範囲が違うということです。本当にいろいろわかりにくくてごめんなさい。
相談先を紹介できる時はまだいいのですが、たまにまったく相談先がないような相談も入ります。お手上げ状態です。
そんなときは、無力感を抱きかかえるしかありません。実際、相談員ができることはかぎられているので、やるせなさは一番身近な感情かもしれません。
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