
~循環型経済から考える”豊かさ”とは①~
玉木 直季 さん
英国王立国際問題研究所 チャタムハウス 研究員
大学卒業後に大手金融機関に勤務し、中東に12年駐在。日本と中東の架け橋となりエネルギー向けのファイナンスを行う。現在は国際協力銀行から派遣されている英国王立国際問題研究所にて循環型社会の研究をすすめる中で、個人個人の精神的な豊かさの実現を追求する。
今回は新春特別企画、玉木直季先生にお話しをお伺いします!
玉木先生との出会いは、かれこれ10年以上前に友人と参加した玉木先生の誕生会でした笑。現在はロンドン在住で世界を忙しく飛び回る中、インタビューの直談判を快く受けてくれました!今世界が直面しているエネルギーや食の問題から、個人のウェルビーイングに至るまでもりだくさんのお話。Road to TamoriインタビュージャーニーRoute3は玉木先生からスタートします!
Q1:英国王立国際問題研究所・チャタムハウスとは?そこでどのような研究をされているのですか?
英国王立国際問題研究所とは、国際情勢に関する情報交換・分析を専門とする英国のシンクタンクです。そこで私は主に循環型経済(サーキュラー・エコノミー)について研究しています。循環型経済を理解する前に、今我々が生きている線形経済を理解する必要があります。線形経済はリニアエコノミーと呼ばれ、産業革命以降の大量生産・大量消費・大量廃棄という一方通行の経済活動のことを言います。それに対して循環型経済はreduce・ reuse・recycleの取組に加え、他人と物をシェアしたり、メンテナンスをして物を長く利用したり、再販売・再製造し、平たく言うと、地球から掘り起こした資源を循環させることによって、これ以上地球の資源を掘り起こさずに経済活動を行うことを目指しています。
食物連鎖を考えてみるとよりわかりやすいかもしれません。植物は光合成により無機物から有機物を合成し成長・繁殖します。その植物を動物が食べることで有機物を摂取し、その動物の糞や死骸、落ち葉などの有機物を分解する働きをするのがカビや細菌などの分解者です。このように自然界では食物連鎖によって物質が循環されています。いうなればこれが循環型経済です。しかし我々が営む経済は外から化石燃料や鉱物を取り入れて大量生産・消費活動を行い、その結果廃棄物を排出し、またエネルギー源として人間が摂取したものは体脂肪などとして体の中に残るような一方通行の営みを線形経済に例えられると思います。
今世界中から注目されている循環型経済(サーキュラー・エコノミー)についてわかりやすく説明いただきました!次回は、世界を飛び回り、中東でエネルギー向けのファイナンスビジネスを展開されていた玉木先生が、なぜ循環型経済を研究されるに至ったかの経緯、玉木先生が考える”豊かさ”についてお話いただきます!②へつづく
