外を眺めるテディベア
ぶらぶら市街地を歩いているとピンクの何かが目についた。
一軒家の2階に目を向けてみると可愛らしいテディベアと一瞬、窓越しに目が合った。
ぬいぐるみか…そう思って10mほど歩いた後、ある一つの疑問が生まれた。
「なんで目が合ったんだ?」
そのテディベアの持ち主は毎日テディベアの背中を見ているのだろうか。
外を見せてあげたくなったから?
かわいい姿を通行人に見て欲しいから?
どれもなんとなく微笑ましい理由だ。もし私に子どもがいて、そんなことをしていたら心が優しい子だと周りに言うだろうなと思う。
ただ、ド派手なピンクだった。
普段ぼっーと考え事をしながら歩いている私が視界の隅に入っただけで目を奪われてしまう。そんなショッキングなピンクだった。
あの熊、目立つ目印として外を向いているのだとしたら…
子どもにとって一番の恐怖、それは親の怒りだと私は思う。
宿題をやらずに遊びにいってしまった”たかしくん”に「今日こそはガツンと…」という気持ちを親がにじませる。
それを感じ取った妹がすかさずピンクのテディベアを外に向けて置く訳だ。
”たかしくん”の家がギリギリ目視できる内通者は特定の部屋に特定の角度でこれまた派手なぬいぐるみを置いていく…
これが繰り返されることにより”たかしくん”はいつどこにいても親の怒りを察知することができるのだ。
そんなことを考えながら歩いていると何だか派手なぬいぐるみに町ごと監視されている気がしてしまう。
それはそれで何だか愉快だから別にいいか。
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