5分間の冒険
これは私が小学生の頃のお話です。
みんな誰しも覚えがあると思うのですが、通学路を少し外れたところに秘密基地って作ってましたよね。私も例に漏れず作っていました。
通学路の脇に林道の様のものがあってその中の林で見つけたいい感じの木の棒を振り回し、必殺技をよく練習したものです。
いつものように午後3時頃学校を出てから秘密基地へ向かったのですが、どうやら私のクラスだけ少し早めに終わったらしく、ついた時には私一人だけでした。
一人で待ってるのもなー と思った私は秘密基地から更に奥にある林を冒険することにしたのです。
急な坂道を降りて歩いてると、とてもいい感じの棒を見つけたのでみんなに自慢してやろうと思いながら更に奥に進んでいくと、木漏れ日と夕焼けが差していて背の高い植物もあまり生えていない中、大きな木が一本だけ生えている何とも幻想的な場所にたどり着くことができました。
しばらく見惚れていたのですが、みんなもこの場所に連れてきてあげよう!
と思い立ち、急いで秘密基地に帰ることにしました。
かなり歩いてきたし、秘密基地につく頃にはみんな帰っちゃってるかも…
そんなことを思いながらクタクタの体を引きずって秘密基地につくとやはり誰もいなかったので、仕方なく家に帰ることにしました。
だいぶ遅くなっちゃったかな…そう思いながら家に着くとこちらも誰もいなかったので、そういえば何時なんだろうと思って時計を見たところ
なんとまだ3時30分でした。学校を出て30分しか経っていなかったのです。
私の家から学校までがだいたい25分程の場所だったので、5分間しか冒険したことにならないのですが、
どう考えても5分以上冒険していたし、体も凄い疲れていました。
何なら日付がずれて次の日の3時30分になってるのか?とも疑いましたが、
そんなことはなく学校を出た時の日付のままです。
最終的にあの大きな木が生えていた場所で少しタイムスリップしたんだと決めつけることしかできず、不思議なことってあるんだなぁと軽く思っていました。
後日友達にそのことを話したのですが、信用してもらえず、一人でもう一度あの場所に行こうとしてみたのですが、どれだけ探してもやはりたどり着くことはできませんでした。
秘密基地に隠したいい感じの木の棒も消えており、今では本当にそんなことあったのかも少しだけ怪しんでいる自分がいます。
けれどもあの時みたとても幻想的な光景だけは生涯忘れることは無いと思います。
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